表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の家  作者: 上原 光子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/37

29


『いやぁあああ!!!助けてーー!!』

『五月蝿いなぁ』

照史は暴れる母親の体を押さえ付け、騒ぐ母親の口にゴミを詰め込むと、ガムテープで塞いだ。

『僕はずっと大人しくしてたでしょう?母さんも大人しくしててよ』

涙で濡れ、絶望に染まる顔。

照史はそのまま、母親を、いつも自分がされていた様に、押し入れの中に放り捨てた。

『んー!!んーーー!!!』

問答無用に扉を閉めると、照史は何事も無かったように、母親がそうしていたように、TVをつけ、戸棚にあったカップ麺を啜った。

悪い事をしている感覚は無かった。

全部自分がされてきた事だし、自分がやってみて、母親の気持ちを理解した。

(五月蝿くされると、耳障りだよね)

黙れ!!と、怒鳴った母親の気持ちをーーー。

それから、普通に生活した。

普通に学校に行き、家に帰り、ご飯を食べて、寝る。

『ーーあ』

3日程経って、母親の存在を思い出した。

母親は家を空ける事も多くて、その感覚でいたから、押し入れに閉じ込めた母親の存在をすっかり忘れていた。

『母さん』

すーっと押し入れを開ける。

『……』

母親は、目を開け、苦しみの表情で、事切れていた。

『……あーあ』

こんな簡単に死ぬんだ。

それが感想だった。

(僕はもう少し生きてたのにな)

正確な日数は覚えていないが、生き延びた気がする。

(暑かったのが駄目だったのかな)

今は真夏。

この家にはクーラーなんてものも、扇風機も無い。

『……母さん』

呼んでも、返事は無い。

照史は、母親の亡骸を、そっと、抱きしめた。

『……殴られない……』

生きていた時は、絶対に許してくれない行為。

照史の頬からは、一筋の涙が流れた。

悲しみの涙では無い。ただーー抱きしめられた事が嬉しくて、涙を流した。

『…ママ…!』

ギュッと、小さい頃に戻った感覚になり、強く抱き締める。

その腕が抱きしめ返す事は無いけれど、その体は、冷たいけれど、ずっと思い焦がれていた、母親だった。

母親は自分を愛してくれなかったけど、照史は無条件で、母親を愛していた。

これが呪いとゆうなら、そうなのだろう。

どんな母親でも、小さな子供だった照史は、母親を愛していた。

照史はそのまま、1晩、母親の腕に包まれながら、夜を過ごした。

こうして、彼は長年の虐待から、解放された。




ただ、彼は、もうーーー普通の感覚は、失っていた。





翌朝、照史はまず、母親の遺体を解体する事から始めた。


遺体がここにあり、殺害する意図が無かったといえ、結果的に殺してしまった今、面倒になる事を理解していた。

『どうしようかな…』

母親の遺体を前に、悩む照史。

照史は、小さい頃から頭が良かった。

決して良い環境では無いのに、覚えが早く、頭の回転も早い。尚且つ運動神経も良かった。

悩んだ末、彼はお風呂場で母親の遺体を解体し、海に捨てる事にした。

血の跡が残らないよう、部屋中にビニールを引き、解体後の風呂場も、万が一を考え、薬品を使用し、痕跡が残らない様に掃除した。

母親の遺体の解体作業、海への放棄。

全てを、照史は、何の感情も持たず、ただの作業として、淡々と行った。

(母さんは育児放棄の実績が多々ある)

例え行方知れずになったとしても、遂に子供を捨てて出ていった母親として、認識される可能性が高い。

家に帰り、照史は電気もつけず、暗闇の中、これからの事を考え深けた。





あれから遺体も発見される事無く、母親は思惑通り、失踪とゆう形で処理され、未成年だった僕は、そのまま養護施設に行き、暮らし初めた。


『ーー君が、照史君だね』

数ヶ月が経った後、祖父と名乗る人物が照史の前に現れた。

(なるほど…僕は、父似。かな)

まさか息子が出生の秘密を知っているとは思っていないのか、目の前の男は、自分が母親の義理の父親で、君の祖父で、ずっと探していた。と、涙ながらに語る。

小さい頃は理解出来なかったけど、大きくなった今なら、母親の言った言葉の意味を知っている。

(この人が母さんを無理矢理犯した、僕の父親ーー)

母親に強い愛着を持っていたから、父親にも何か感情が沸くかと思ったけど、不思議と何もうまれなかった。

『会えて嬉しいです……おじいちゃん』

照史は年相応の笑顔を作ると、歓迎の言葉を吐いた。

父親は照史が想像していたのとは異なり、身なりからしても、お金持ちなのが伺えた。

(生活が楽になりそう)

照史はただ、それだけを思い、父親の引き取りを受け入れる事にした。

父親は母親の事を深く愛していて、照史をすぐに自分の養子にし、自分と母親の血を引く照史の事を、どの自分の子供よりも、孫よりも、可愛がった。

大病院を経営していて、とても優秀な医者の父親。

そんな父親の遺伝子を濃く受け継いだ照史は、良い教育を受けれる様になると、元より頭の良い頭脳が一気に開花した。

それだけで無く、環境の性で不潔だった見た目や身なりは一掃され、元より端麗な顔がより良く目立つようになり、身に付ける物も一流になった事で、周りの自分に対する態度も、極端に変化する。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ