生産クエスト2
受付の人につれられて生産ギルドのギルドマスターの部屋にはいる。
扉が開いた音で気づいたのか、奥の机に座っていた人がこちらを向いて話しかけてきた。
「君がアイン君か。わたしはここ生産ギルドのギルドマスターを任されているウェンだ。よろしく」
「あ、こちらこそよろしくお願いします。」
差し出された手をおもわず握るとウェンさんも握り返してくれた。よかった。
「君のことを呼んだのは、君の生産ジョブが『生産者』で始めにこの生産ギルドの門を叩いたからだ。」
ん?どういうことだ? ウェンさんにいわれたことが分からず頭を悩ませていると詳しく説明をしてくれた。
長いので要約すると
1、各生産職のギルドには古来から受け継がれてきた秘伝の技術が存在しておりその技術を各ギルド長と
一定の技量になった者に受け継がせることで、その技術が途絶えることのないようにしてきた。
2、しかし、ここ数年受け継ぐに値する人があらわれず、技術が途絶えかけていた。
秘伝の技術は使い方を誤れば戦争の火種になってしまうため継承させる人物はきちんと見定めなければいけなかった。
3、そんなとき、ここ数年にかけて俺たちプレイヤーつまり異邦人たちがふえてきたため
技術を託すことができる可能性が出てきた。そこでまずは試験的に生産ギルドに来た生産者の職を持った異邦人に
各ギルドから手解きを受けてる少しづつ技術の継承をしようとしたらしい。
しかし、生産者という職についた異邦人自体が少なくついていたとしても他のギルドにさいしょにいってしまうため各ギルドの調整がうまく行ってなかったらしい。そんなときに、俺が来たといわけらしい。
そこまで話終えてからウェンさんから改めて「この話うけてくれるかな?」と言われそれと同時に
『SC・C 技術の継承・1がはっせいしました。 受注しますか?』
と表示された。
そんな問いに俺はもちろん…
「わかりました。ぜひうけさせてください。」
こんな面白いこと受けない方がおかしいしな。それから、詳しい話を聞くことになった。
結果として、伝えられたのは以下のこと
・ この街にいる各技術の人に指導を受けるその間はそのスキルしか使用できない
・ 指導者の人に認定されるとはれて免許皆伝になる
・ 練習に必要な素材は自分でとってくる場合もあるが基本的には指導者の人が用意してくれる
とりあえずは大きくわけてこの三つだった。身につけたい生産技能は自分で好きなように選べるらしいので
最初は自分の武器を作るために鍛治を選んだ。開始の時間や指導のタイミングは好きにできるとの事だったので
とりあえず指導をしてくれる人のところに言ってから決めようかな。
ウェンさんから指導してくれる人たちの場所を聞いてギルドを出たタイミングで電話のコール音のようなものが響いいた。よく見てみると視界の端に電話のマークがでていてそれが反応しているみたいだったので触ってみる。
「やっと、繋がった!今どこにいるんだよ。アルト待ち合わせの時間になっても言っといた場所に来ないし。
フレンド通信にも出ないし何かあったと思って心配したんだから。」
・・・あ、忘れてた。そういえば約束の時間とっくにすぎてるじゃん。いつもは俺が、あいつのこと注意する方だったのに・・・
「ごめん、えっとこっちではレットで、いいんだよな?」
あいつ紅がいつもゲームで使っている名前を呼んでみる。
「あぁ、それであってるぜ。で?なんで待ち合わせ場所にもこなかったし、時間にも遅れたんだ?」
遅れてしまったお詫びにレットにこれまでの話を端折るところは端折りながら説明して言った。
「は?おまえそれ……。ちょ、ちょっとまて確認する」
そう言って一度電話を切りどこかへと連絡を取るレット。あーやっぱりこれまだ出てない情報なのか。
それから約10分後
掛けなおしてきたレットから一回あってほしい人がいると言われたので最初に予定していた待ち合わせ場所に向かうことに。そこには現実で嫌というほど見た腐れ縁のレットもう一人眼鏡をかけたザ委員長みたいなタイプの女性がいた。
「おまたせ、えっとレットそちらのプレイヤーの人は?」
「おせーぞ、アインいきなりで悪いんだけどこの人ルースさんにさっきの話もう一度してほしんだけど」
「こんにちは、あなたがレットの言っていたプレイヤーのアイン君ね。私は情報ギルド未知の探究者のギルドマスタールースよ。今レットが話した通り君が受けたクエストについて聞きたいの」
まさか、ギルドマスターとは思わなかったな。うーんクエストの話かしてもいいんだけど…
「あの、さすがにここだと人が多いですしどこか別の場所で話しませんか?」
俺の言葉にルースさんは納得して、情報ギルドの個室で話すことになった。もちろん、レットも一緒に。
「ここが私のギルド未知の探究者よ。」
案内されたギルドには多くのプレイヤーがいて、情報を得ている人や何か地図のようなものを受け渡している人など様々な人がいて、思わず「すっげぇ…」と声を漏らしてしまった。
そんな、俺の反応に満足したのかルースさんは楽しそうに俺たちを中へと案内してくれた。
周りのプレイヤーはあのギルドマスターと魔法鍛冶師の二人が連れてきたあのプレイヤーはいったい何者なんだ?とささやかれていたがそんなことは知る由もなかった。
ギルドの中を進んで一つの個室のなかで、詳しい話をはじめようとしたときに勢いよく扉を開けて、息を切らしながら一人の男性が入ってきた。
「遅いわよ。「す、すみません」まったく、紹介するは、うちのギルドで唯一生産者の職に就いているエルドよ」
そういわれてエルドさんは頭を下げた。なんでも最初のサービス開始から今日にいたるまで一人で生産者の職について調べてきたいわば生産者のエキスパートらしい。
「さっきのクエストの話をするには適任かと思ってアインくんには申し訳ないけど連れてきたわ。」
「いえ、大丈夫です。では、さっきのクエストの話をしますね」
そういって、俺はここまでの経緯を話した。その際にもらった称号と作った武器も見せたのだが…
「なに、この剣。チュートリアルの木材で作ったとは思えない…。「それにこの称号もこんなの全プレイヤーが求めてやまないですよ!」」
と、大好評だった。ちなみにレットにも見せたのだが苦笑いをされよく近所の子供たちに作ってやってたもんな、と納得されてしまった。解せぬ…
とりあえず今だ興奮冷めやらぬ二人にクエストについて聞いてみると。
「その、クエストの情報はうちのギルドにはないわね。情報ギルドはうちだけだから自然と情報は集まるし、さすが隠しクエストといったところかしら。」
と妙に納得されてしまった。
エルドさんは、これで生産者にも人が増えるかもしれないと喜んでいたし。まぁよかったのか?
その後、話は終わって解散となるときにルースさんから情報代として、お金をもらった。
その額何と1Mつまり100万だった。
「ちょっと、もらいすぎですよ!?」「いいのよ、まだ出回ってない情報だったし君の情報にはいろいろな可能性があると思うし。それにこれからも御贔屓にしてもらいたいしね。」
そういって、ルースさん達は去っていった。なんだか、とんでもない目にあったような気がする…。
とりあえず、これからの話をレットとしようか。話はそれからかな。