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アザゼルリバイブル   作者: スピネル・サンタマリア
第一節 胎動
11/12

Genesis4 ラグナロクの方程式 中編「蜘蛛」

「クモオオオオオオン!!!!!」

「!!」

突如、紫恋の背後の天井から巨大な化け物が落下してきた。その容姿はサソリとクモを合わせた様な見た目をしており、鋭い造形の8本脚に凶悪な針のついた尻尾、そして6つの目を持ったおぞましいものだった。体色は黒に近い紫、と言ったところか。


「こ、こいつが黄泉獣!?」

「そう。黄泉獣NO.27”岱王愚喪(ダイオングモ)”。まあ僕はスコーピオングモって呼んでるけど」

「ネーミングセンス!!」

鋭いツッコミを入れた冷華だったが、黄泉獣にそんなものは関係なかった。

8本の脚を使って跳躍し、冷華に飛びかかる。


「...っ!!駆動機神サザンカ!!」

しかし彼女もすかさず戦闘態勢に入る。脚を上手くサザンカで抑え、冷気を放ち動きを鈍らせた。

「クモッ....!!!」

このままではまずいと判断したのか、ダイオングモは器用に脚を動かし脱出した。見た目とは裏腹に機動力はかなり高いようである。


「すばしっこい奴だね」

冷めた声でそう言うと、紫恋は駆動機神キキョウを取り出しダイオングモ、もといスコーピオングモに勢いよく斬りかかった。


「クモオォォ...!!」

その攻撃を脚で抑えるダイオングモ。だが押しているのは紫恋のようだ。


「うおおおぉぉぉ...!!」

徐々にダイオングモに迫る紫恋。だが直後、敵は脚を使って跳躍し、廃工場の天井に張り付いた。


「クモッ!!!」

「ちょっと、逃げる気!?」

そしてそのまま、暗闇に隠れてどこかへ消えてしまった。


冷華が大声を発しながら紫恋に近づく。

「ちょっと、あいつ逃げちゃったんだけど!?」

「まあそういうこともあるよ。深追いは得策じゃない。今日はここまでにしとこう」

「...」

「てか君、普通に戦ってるじゃん」

「...!!」

図星だったのか少し焦るような顔をする冷華。


「じゃあ、僕は帰るから」

「...」


夕方の廃工場。先ほどまで激しい戦闘が繰り広げられていたが、残ったのは冷華だけだった。



1週間後


「先生、昨日なんで早く帰っちゃたんですか??」

「ちょっと警察の人と話してたんですよ」


「...」


あれから一週間。紫恋と冷華はお互い特に話すこともなく、いたって普通の学校生活を過ごしていた。


この沈黙期間で、なぜ紫恋が嫌われているのかが嫌というほど分かった気がする。



「えー、ではこの問題分かる人いますk」

「はい、そこはxが9でyが7です。その後の問題はxが4、yが2...」

「憐夜君、先の問題の答えまで言わないでください。まだみんな解き終わってないので」


「いやーこのアイドル絶対人気出ると思うわ!」

「この世界に絶対なんて概念は存在しないよ。あとそのアイドル、そんなに可愛くないし」

「なんだこいつ」


「あ、清水!君この前歩いてる女子高生の下着見ようとしてたよね!」

「おい!なんで知ってんだよ!!てか女子の前で言うんじゃねえぇぇ!!!!!」


もう嫌われる行動しかしてない。

正直こいつとの縁を切ろうかと思ったほどだ。


そんなある日の休み時間。冷華はクラスの友人、”奥谷美香(おくたに みか)”と話していると、突然衝撃的な事を言われた。

「友達が言ってたんだけどさー、冷華ちゃんって憐夜君と仲いいの?」

「!?!??!!?いやあいつみたいなクズ...じゃなくて、れ、憐夜くんとはほとんど話したことないかな...」

一瞬素の口調が出てしまったが、慌てて修正する。やはり放課後一緒にいるところを誰かに見られていたのか。


「ふーん。ま、確かに冷華ちゃんと憐夜君はあんまり馬合わなそうだよね―...」

(あ、危なかったー...)


正直このままでは完全にバレるのも時間の問題。あんなKY(空気読めない奴)とつるんでいることが知られるのは夕食の箸を落とすより嫌だ。何か策を考えなければ。


「ねえ、れ...憐夜」

「?」

その日の放課後。リスクは承知で彼に話しかけた。だが今後のことを考えるとこうするしかないのだ。


「そ、その...やっぱりあたしはラグナロクには参加できないかな」

「ふーん...」

はっきりと拒否の意思を示す。悪質な訪問販売も、なにやらデンジャラスな宗教団体の勧誘もこの手法が最も効果的だ。ラグナロクに参加しないとはっきり言えば、紫恋と話す機会もほぼなくなると考えたのだ。


「...分かった。君がそういうなら仕方ない」

「...!それじゃ...!」

「でも」

「?」

「一つ条件がある」

微笑を抱えながら、紫恋は人差し指を冷華に向けた。


後編に続く

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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