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アザゼルリバイブル   作者: スピネル・サンタマリア
第一節 胎動
1/12

Genesis1 Violet & Foreign 前編「再会」

どうも皆様。

処女作です。よろしくお願いします。



5年前ー-


「......」


その日は、強い雨が降っていた。


これも最近続く異常気象の所為か。こんな日じゃタバコも吸えない。


今日は今までの中でも最悪の天気。


こんな日に”適合者”が見つかるわけもない。そう思っていた。



だが、あいつは見つかった。


路地裏に打ち捨てられていた。



この日俺は、



羽のない天使と、再開した。





アザゼルリバイブル


第1節「胎動」





西暦2051年5月14日

ある中学校


「この前の数学のテスト返しますよ」

「うおおお!!紫恋また100点かよ!!」


「おーし、100メートル走やるぞー」

「うおおおお!!すげえ紫恋!!9秒34とかありえねえよ!!」


テストは常に100点、身体能力もアスリート並。

華奢な体に黒い髪とミステリアスな紫の瞳、そして美少女とも美少年ともとれる美しい顔立ち。

彼の名は憐夜紫恋(れんやしれん)

完璧ともいえる能力を持った彼だが、唯一欠点があった。


「あ、武田! この前本郷の彼女寝取ったんだって?」

「はあ!?な、なんで知ってんだよ!!」


「梅田さん!汗で下着透けてるから着替えた方がいいよ!」

「はあ!?それ言う??サイッテー!」


そう。彼はデリカシーが皆無なのである。

彼は他者の気持ちを理解することができなかった。

もっとも、彼にとっては理解する必要もないが。


彼は謎に包まれている。

彼の家も、性別も、生活も、家族も。


クラスメイトが知っているのは、

彼が完璧に近い能力を持っていることと、デリカシーがないことだけ。



ー-そしてそんなある日



「なあ紫恋!!聞いたか!今日転校生来るらしいぜ!しかも女子!!」

「zzz...」

「寝てんのかよ...」

今紫恋に話しかけた男子の名は神風修斗(かみかぜしゅうと)

紫恋と仲良くできている数少ない生徒の一人だ。


「むにゃ......ああ、修斗か。どしたの?」

「どうしたも縁の下もあるか!!転校生!!女子の!!!女子の転校生が来るんだぞ!!!

しかも超かわいいって噂だ!!!!」


「ふー-ん、それがどーかしたの?」

「いやいやいや!!女子の転校生とかテンション上がるに決まってんだろ!!」

「......僕にはよく分からないな」


彼は他の者に興味がなかった。ましてや異性に対する恋愛感情などひとかけらも持ち合わせてはいない。

人を愛したことも、愛されたこともない。


「愛を知らない」ー-とでも言うべきだろうか。


「zzz....」

「寝るの早えなおい」

よほど興味がないのかまた寝てしまった。



「はいみなさんおはようございます」

騒がしい教室に、いつも通り地味な風貌をした担任の黒田先生が入ってきた。


「おはよーせんせー!今日来る転校生ってもう来てますか?」

男子が尋ねる。

「ええ、今からHRを始めるので、まずは入ってきてもらいましょうか」


「では入ってきてください」

「はい」


そういって入ってきたのは、

華奢な体に透き通るような水色の髪と清純さを感じさせる蒼い瞳、そして現実とは思えない美しい顔立ちを持つ、絶世の美少女だった。


「では自己紹介をお願いします」

「はい」

そう言うと彼女は自己紹介を始めた。


「みんな初めまして、花宮冷華といいます。青森県の青森市から来ました。特技は歌を歌うこと...じゃなくて料理です。これからよろしくお願いします。」


「え、マジでかわいいじゃん」

「声かけちゃおっかな」

早速男子たちが小声で話していた。それほど彼女が可愛かった、ということだ。


「むにゃ...」

自己紹介が終わったタイミングで紫恋が起きたかと思うと、冷華の方を見た。

すると何かを思い出したような顔をし、突然声を上げる。


「ねえ花宮さん!」

「憐夜くん、花宮くんに質問ですか?」


「はい!あのさ!花宮さんってもしかしてもしかしてネットアイドルの ”ブリザード♦レイカ” ?」


「......は?」


にぎやかな雰囲気だった教室が一瞬で凍り付いた。もちろん今は冬ではないし、”ブリザード♦レイカ”のブリザードの部分が言霊として影響したわけでもない。


「...ちがうよ?誰それ?」

「いや、でもどうしても僕には同じ人にみえてならn」

「はいはい、本人が違うといってるんだからその辺にしときましょう。」

先生に収められた紫恋はまた寝てしまった。


「じゃあ花宮くんはそこの席に座ってください」

「は、はい...」

彼女が座った席は紫恋の隣。

(あ...よりにもよって憐夜の隣なんだ...)

クラスメイトの思いが珍しく一致した。

「よ、よろしくね?憐夜くん」

「zzz...」

(こいつまだ寝てやがる...)

またもやクラスメイトの思いが一致した。


「冷華ちゃん今どこ住んでんの?」

「今度遊びに行かない?」

「LINE交換しよーよ」

「彼氏いるの?」

「料理研入らない?」

「手相占いしてあげよっか?」


まあそんな感じで、冷華はいわゆる転校生への質問責めを男女問わず喰らっていた。

意外にも彼女は嬉しそうだ。


「...なあ紫恋、お前は花宮さんに話しかけないのか?」

「え?いやあんな奴に話しかけても何のメリットもないでしょ。何言ってんの?」

その瞬間、紫恋は多くのクラスメイトから冷たい視線を向けられた。

前から一緒にいる紫恋よりも、今日来たばかりの冷華の方が人気のようだ。


「......おい紫恋、あんまそういうこと言わない方が良いぞ......さっきも花宮さんがアイドルだとか意味わからんこと言ってたし」

「え、いやだってほんとのことだし」

「...そのブリザードなんとかって何なんだ?」

「”ブリザード♦レイカ”、動画配信サイト”TuTube”を中心に活動するいわゆる地下ネットアイドル。基本的にボカロの歌ってみた動画や投げ銭目当ての配信などを投稿しているけど、どれもきわどいカットが多いのが特徴」

「なんでそんな知ってんだ」

「ネットで少し目に入ってね。それを覚えてるだけだよ」

「相変わらず意味わからん記憶力だな...ってか、きわどいって...花宮さんがんなことするわけねーだろ」

「何でそう言い切れるの?」

「え」

「第一印象だけで人を判断しちゃだめだよ。むしろああいう奴ほど裏がある。」

その瞬間、紫恋は再び多くのクラスメイトから冷たい視線を向けられた。

一人の美少女転校生と協調性0の天才によって、初めてクラスが団結しようとしている。

「...紫恋、みんなこっち見てるからとりあえずやめとこうぜ??」

「なんで?他人の視線なんて気にする必要はないよ」

「いや良いこと言ってる風だけどさぁー!」


中編に続く


最後まで読んでいただきありがとうございました。

面白いと思った方は、感想・ブックマーク・いいね等を頂けますと幸いです。

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