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《ゲーム転生⁈》正体不明の毛玉が、冷酷皇帝陛下に育成されてます  作者: はなまる
第二章 お城の毛玉と皇帝陛下

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第十六話 その頃ヒューゴは

ミーヤに『正式契約の成立』アナウンスが流れる少し前の、ヒューゴsideのお話です。


同時に光に包まれた二人ですが、ヒューゴの方には契約に関するアレコレがあったようです。


ちなみにヒューゴにとっては、体感で五分程度のやり取りですが、実際には二秒くらいしか過ぎていません。


えっ、強引過ぎるって?


不思議現象は、ファンタジー世界には付き物ですよ!




 己を包むような光の中で、ヒューゴは冴蒼の瞳に強く警戒の色を宿した。低く構えて腰の剣に手をかける。


 少し離れて控えていた護衛騎士が二人、素早くヒューゴを護るように配置する。


「陛下、如何(いかが)なされました? 曲者ですか?」


 声を潜めて聞かれ、眉間の皺を深くする。


「この光が見えぬのか? 管楽器の音は?」


「怪しい光? どの位置で御座いますか。音はどちらから?」


 危険箇所を特定出来ていない護衛の質問で、ファンファーレが己の頭の中で鳴っていることに気づく。


(他の者には、この光も見えておらんのか?)


「即刻、皆を連れて退去せよ! 以後、私の許可があるまで、安全を確保して待て!」


 異変が自分の周囲のみで起きていると判断したヒューゴは、飼い主友の会(仮)のメンバー共々、自分から距離を取ることを護衛騎士に命じた。


 護衛騎士たちは、ヒューゴが自分たちの誰よりも強く、誰よりも生き残る手段を持つことを知っている。


「承知!」


 短く叫び、迅速に指示に従う。ヒューゴと共に泥沼のような戦場を生き抜いた彼らには、それが脊髄反射のように沁みついているのだ。


(何が起きる? 何が起きているんだ?)


 ヒューゴは油断なく警戒の網を張り巡らせながら、事態が動くのを待った。


《個体名ミーアリーヤと“ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエール”との正式契約に至る条件が達成されました》


 ヒューゴの頭の中に、ミーヤとは若干違うアナウンスが流れた。どうやら一段階前の質問らしい。ヒューゴにとっては初のアナウンスだ。


「ミーヤ? ミーヤに何をした!」


 ヒューゴはギリリと歯を食いしばりながら言った。古今東西、卑怯者が要求を突き付ける手段は変わらない。弱い者、大切な者の身を盾にする。


 ヒューゴはミーヤが、何者かの手に堕ちたと思ったのだ。


「何者だ? 答えろ!」


《ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエール。あなたはミーアリーヤの生涯を見守り、慈しみ、幸せを願うことを誓いますか?》


 続いて頭の中に響いたのは、まるで結婚式の誓いの言葉のようなアナウンスだった。


(はっ? な、何なんだこれは! 天からのお告げの(たぐ)いか?)


 ヒューゴの頭に真っ先に浮かんだのは疑問だったが、すぐに迂闊に返事は出来ないと自らを戒める。


『神のお告げ』、又は『邪悪な存在からの(かどわ)かし』。どちらにせよ『正式契約』というからには、何かしらの“縛り”が発生する。


 文言だけを精査するならば、邪悪なものは感じられない。ミーヤの生涯を見守ることなど、ヒューゴの望むところだ。もちろん慈しんでゆくつもりだし、幸せを願ってもいる。


「何者だ? 答えろ」


 もう一度、同じことを問うてみる。


《ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエール。あなたはミーアリーヤの生涯を見守り、慈しみ、幸せを願うことを誓いますか?》


 相手も譲らなかった。再び同じ質問をぶつけてくる。これでは(らち)が開かない。


「その質問に『応』と答えた場合どうなるのだ? 『否』と答えた場合は?」


 ヒューゴは深呼吸してから戦闘態勢を解いた。相手は得体の知れないものではあるが、殺気は感じられない。


《『応』の場合、正式契約が成立し、ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエールは、ミーアリーヤの守護者となります。『否』の場合は現状との変化は発生しません》


「守護者とは、どういったものだ?」


《護り、慈しみ、幸せを願う者です》


「今の私と何が違う? 私はミーヤを護るつもりだし、慈しみ、幸せを願っている」


《世界が認めます。あなたとミーヤの繋がりが特別なものとなります》


 ヒューゴは、世界になど認められる必要性は感じなかったが、『ミーヤの特別』という言葉には若干心を動かされた。


「その契約とやらで、こちらが差し出さねばならぬ物は? ミーヤに害が及ぶ可能性は?」


《ミーアリーヤが何者であろうと、どんな姿になろうとも、あなたの意志では、契約の解除が出来なくなります。又、ミーアリーヤが望む限りは、保護責任が発生します》


「うむ……」


 契約の内容自体は動物の飼い主としての役割から、そう大きくは逸脱していない。だが、なぜそんな契約が必要なのか。そして、この声の主は何者なのか。


「いいだろう。契約を結ぼう。我、ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエールは守護者となり、ミーアリーヤの生涯を見守り、慈しみ、幸せを願うことを誓う」


 ヒューゴは、この何者かが用意した茶番に乗ることにした。


(ミーヤに害が及ばぬならば、多少の弊害は引き受けられる)


 ヒューゴには国を揺るがす事態にでもならない限り、対処出来る自信とそれを可能とする実力がある。


 そして、もし何か困ったことが起きたとしても。


 ヒューゴはミーヤのことで、右往左往してみたいと思ったのだ。


(ははっ! こんな契約を結んでしまっては、容易(たやす)くは死ねなくなるな!)


 自分の中の大切な場所に、他者を座らせること。


 皇帝としてではなく、『ただのヒューゴ』として、自分勝手に死ねない理由が出来てしまったのだ。


 そのことは、驚くほどヒューゴの胸を甘く、ほろ苦く締め付けた。


『生涯を見守り、慈しみ、幸せを願う』『この子が自分で幸せになるまで、今はまだ死ぬわけにはいかない』


 それは恋人や伴侶への想いと言うよりは、両親が我が子に向ける想いに近い。『ミーヤが望む限りは保護責任が生じる』というのは、いつか手が離れて巣立つことを前提としているのだろうか?


 そのことを思うとまた、ヒューゴの胸は甘く痛んだ。




《ヒューゴリウス・アウステリア・リミュエールと、ミーアリーヤの正式な契約が成立しました。あなたはミーアリーヤの守護者となります》







読んで頂きありがとうございます。


この後は人間の姿で洗濯場まで逃げて来た、ミーヤsideへと話の舞台が移ります。久しぶりの洗濯下女パートです。人間の姿のミーヤとヒューゴのニアミスが発生しますよ! 『異世界転生恋愛ジャンル』のフラグは回収出来るのでしょうか? それは作者の最大の不安です笑


遅筆で申し訳ないですね。待っていて下さる方がいると信じて更新します。

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― 新着の感想 ―
[一言] そうか…そういえば異世界(恋愛)だったんですよね… いつか肉球を生やしてくれたらもふもふとぷにぷにで最強生物に!なんて考えてました(((^_^;) 人型恋愛に肉球は必要ない………くぅっっ…
[一言] のんびり待ってますよ〜 毛玉好きのおばちゃんより
[一言] ゆっくり更新、楽しみにお待ちしていますよ!
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