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いとしきもの
薄汚い彩りに溢れる 世界の片隅で
真実に気づかないまま
ずっと 瞼を閉じて
合図をかけるまで
君の側にいるから
昔から 灰色に染まっていく
この退屈な 不協和音の中
生まれた 無垢な命
このまま連れ去りたい
つないだ指 紅葉が絡んで
優しい風にさらわれた
耳に届く かけあがる小さな足音
一つ一つ石段 踏みしめて
けんけんぱ 誰もいない一人遊び
黄昏まで側にいよう
どうして、いつだって、
大人は否応なく巻き込もうとするんだ?
鮮血に塗れる 壊れた世界で
真実に聞こえないまま
僕だけに笑って 柔らかな唇で
残酷な色を その瞳にうつさないで
君の視界を閉ざそう
また一つ 色を喪った空
瞬きすら赦さぬ永年の中で
けんけんぱ 頬についた土埃
一つ一つ石段 踏み鳴らして
大きな鳥居をくぐりつけて見上げた顔
永遠の中で手をつなごう
薄汚い彩りに溢れる 世界の片隅で
何も気づかないままでいて
ずっと ほら 瞼を閉じて
合図をかけるまで
………おかえり……