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ショートストーリー アカンバス

作者: 夢前孝行

九月中旬に北川は北海道に三泊四日で行っていたのだが、

北海道は姫路と比べ気温が十度も低く朝夕は寒いくらいだった。

長袖のTシャツを持って行っていたので丁度良かった。

 それに本州と全く違う点は夜が四時半になるとあけていている。

この時期姫路では六時がこないと夜が明けないが、北海道は四時半には明るくなっている。

 その代わり夜は五時半が来ると暗くなり、午後六時には真っ暗闇である。

 日中の気温も姫路と十度ほど差があって二十二,三度くらいだった。

 三泊四日の旅だったけれど全く世間の俗事も忘れて、楽しい旅だった。



 北川は北海道旅行から帰ってくると、早速現実の世界に戻った。

 株は暴落しているわ、円はすごく高くなっているわ、

詩集の出版の進行状況とか俗事がもろに覆い被さってきて、

これが現実と改めて認識した。



 スポーツジムにも通いだしたが、そこでしばらく北海道旅行で休んでいたので、

ジム仲間が心配してくれていた。

「どうしていたん長いこと顔見なかったけれど、又病気になったんか」

 一寸ジムを休むと病気にされてしまうか、

死んだことにされるのがジム仲間の間では不条理な世界が常識になっている。

「北海道に行っていたんや」

 北川が自慢げに言うと、

「飛行機で」

「そらそうや、JRでなんか行かれへん」

「北海道に着いたらどうしたんや」

「勿論バスで四日間北海道を旅する」

「バスの旅かそりゃ良い」

「それがアカンバスやったけれど結構楽しかった」

「アカンバスやのに楽しいって」

「アカンバスだったけれど楽しい旅やったっていているやろ」

「アカンバスやのに楽しい。いったいどう言うこっちゃ」

「バスガイドもついて申し分のないバス旅行やった」

「それなら良いバス旅行やないか」

「それがアカンバスや言うているやろ」

「けったいなこと言うな北川はんわ」

「ああ、いったいどう言えばいいんや。アカンバスって漢字で書くと阿寒バスのことやで。

バス会社の名前が阿寒バスっていうんや」

「そうか。阿寒バスのことか。それを早くいわへんから話が混乱するんや。それでよう分かった」



 と言うわけで関西人が聞けば阿寒バスって、アカンバスに聞こえて勘違いを起こしてしまう一幕でした。

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