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なんだこれ!凄く面白い本じゃないか!


ヨシヒロが『フォーリヴァ国とフォーリヴァ戦争 下巻』を読み終えた感想だ。


自分の中にある記憶…島津義弘もミユビと同じく局所で局所で感覚的な判断で素晴らしい結果を導き出すことがあった。まぁ島津義弘の才能はそれだけではないから戦国最強なのだが…。日本の戦国時代の最強の男と同じ才能を持つミユビに興味が沸いたし、実際彼の戦争を間近で見てみたい。


レオンハルトにしても彼の野望は素晴らしい。第二都市のスチュートで生活している時にも感じたが、アルフレッド王国は良い国とは言えない。彼がこの国を変えるために多くの優秀な人材を集めているその1人としてヨシヒロも誘われているのだろう。

こんな気軽に読める場所に彼の野望…というより傾国心を記した本があって良いのかと心配になる。




ガチャ……


書庫に誰かが入った音がする。


「そろそろ読み終えた頃かなと思いまして…」


第三大隊副官のフタユだ。


「執務で忙しいんだろう?俺に会いに来ても大丈夫なのか?」


「これも仕事の内なんですよ。」


そう言いながら、彼女は『フォーリヴァ国とフォーリヴァ戦争』の上下巻2冊を回収した。


その動作を見て、ヨシヒロは勘づいた。


「もしかして……この本は俺に読ませる為だけにここにあったのか?」


「そうです。レオンハルト様の目標やミユビ様の戦争の仕方、機密事項である第四大隊のジャクソン将軍の情報が記された本を誰でも閲覧できる此処に置けません。貴方に読んでもらう為にレオンハルト様の指令で貴方が読むように仕向けました。」


「またもレオンハルトに謀られたか。」


「謀ったのは事実です。しかし、その本の内容は虚言なく記されています。実際に当時第三大隊の副官だった私が内容の保証をします。」


「確かに、この本を読んでミユビにもレオンハルトにも好感が持てた。レオンハルト軍の第三大隊に配属された俺にはピッタリの書物だったよ。」


「そうでしょうね。この本はレオンハルト軍の書記が執筆した物ながら、戦後にミユビの協力を得てフォーリヴァ国側の視点からも書かれています。レオンハルト様の目標が果たされれば世の中に広く出版されるでしょう。」


「少し質問してもいいか?気になった点がある。」


「勿論です。貴方の質問に答えることは私の仕事の範囲内です。」


「この第三大隊の元将軍のヤシルを倒したのは現将軍のミユビだよな?仇が現将軍って上手くいっているとは思えないんだが…。」


「そもそもレオンハルト軍はレオンハルト様が倒した敵をスカウトする形で形成されています。王国に深く関わる人物では彼の目指す未来を共有できません。私も上官をミユビに殺され、一時的に恨みに近い感情は抱きましたがレオンハルト様の為に戦う彼を見てその感情は薄れています。第三大隊自体も元ヤシル将軍時代からの古参だけではなく、元フォーリヴァ国民の戦士も参加していますし、何より拠点にしているこの村は元フォーリヴァ国民が移住した場所です。共存していく中で同じくレオンハルト軍として纏っています。ああ見えてミユビ本人の人望は厚いという点もあり第三大隊は上手くいっていますよ。」


レオンハルト軍自体が元敵を多く徴用している点で、特殊な価値観が生まれているのかもしれないな。新参者のヨシヒロにも住みやすかった公都がそれを物語っていた。


「なるほど。それと第四大隊について知りたいんだが…」


「申し訳ないですが、その件については機密事項ですので本に書かれている以上の事は申し上げられません。」


「頑なに誰も教えてくれないな…」


「軍のイメージを良くしようとしている中で、彼等はあまり世間に公表すべきでないですから。ましてや仮で入軍しているだけの貴方に詳細は教えられません。」






淡々とフタユは質問に応え続けた。質問が途切れた所でフタユ側から話があると言い、口を開いた。


「私の方から2点、貴方に伝えることがあります。今回、ヨシヒロさんは第三大隊の小隊長として配属されたので100人の部下を持つ立場です。しかし、新参者の貴方が急に上官になる事を不満に思う人も多いでしょう。なので、貴方自身で部下となる人をスカウトして下さい。第三大隊内でも隊外でも構いません。これが1点目です。」


「それは有難い。新参者の隊長で素直に部下を従わせられるか心配だったんだ。ロイドの人脈を頼りながら自分で探す事にするよ。」


「貴方の情報はチャッピーさんから聞いてるわ。スラム時代の仲間を探してるのよね?スチュートでの戦闘で捕まった人たちは捕虜としてベロ商業国に連行された可能性が高いのだけど……、その商業国から数百人の捕虜連れた一団が王国内に入国したとの情報が届いたの。もしかしたら探し人もその中にいるかも知らないわ。これが2点目。」


「そうなのか!?情報提供感謝する!早速ロイドに伝えてその一団に会ってくる。」


ヨシヒロは書庫を駆け出てロイドの元へ走る。


パウに会えるかもしれない…そんな期待がヨシヒロの足を早める。



遂に有益な情報が!


次回あの人に再会します。

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