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最低の領主かつ優秀な将軍

少し投稿に間が空いてしまいました…

次の日、ヨシヒロは自らが以後所属する第三大隊の将軍に会うべく公都の北にある湖畔の村に向かっていた。馬で移動しているので公都から約2時間で到着予定だ。


「もうすぐか?」


「あぁ、チョビー湖が見えてきたらすぐに将軍の住むオキソ村だ。」


今回の旅路はヨシヒロ1人ではない。同伴者がいる……ロイドだ。ロイドとの関係は長い、スチュートの元北スラムの支配者で、陰ではレオンハルトの部下としてスチュートの情勢を探っていた男……ヨシヒロとのタイマンに負けた後は部下としてスラムを纏めるのを助けた。多くの仲間を先の戦で失ったが、現時点で判明している唯一のスチュート時代の仲間の生き残りだ。


レオンハルトが気を利かせ、ヨシヒロが就任した第三大隊独立小隊の副隊長としてロイドは就任した。


かつてヨシヒロと渡り合った程の実力であり、関係性も深い…完璧な人選だ。


歓談や昔話をしているうちに前方に大きな湖が見えてきた。チョビー湖…綺麗な湖だが、地政学的には重要な場所である。分かりやすい例としては、この湖にアルフレッド王国・サイプレス高原国・ベロ商業国が接している。それだけで重要拠点だと理解できるはずだ。


その湖畔に存在する村がオキソ村、これからヨシヒロの上司になる将軍の拠点だ。5年前に軍を離れたロイドは副官とは旧知の仲だが、3年前に就任した将軍とは面識がないらしい。


「村に着いたらまず中央にある執務室に行こう。」


「了解。」


ヨシヒロは視認できるほど近づいたオキソ村に向け馬を走らせる。



◇ ◇ ◇ ◇



村の門では、軍の拠点らしく身体チェックをされ、その後事情を説明すると執務室へ案内された。


「此処に将軍がいるのか?」


「うん?聞いたところによると…いないと思うぜ。」


「??」


「基本的に実務は副官がしているらしい。先にそっちに挨拶しに行こう。」


ヨシヒロとロイドは執務室の前に立ち、入室が許可されるのを待つ。


「どうぞ。」


部屋の中から女性の声がする。

それを合図に扉が開かれ、2人は第三大隊の副官と対面する。

副官と思わしき人物は大量に積み上げられた書類を捌きながら入室した2人と目を合わせる。


「初めまして。私は第三大隊副官のフタユ。将軍は今会いに行っても()()()と思うからもう少し待ってもらえる?」


「フタユちゃん、久しぶりだな。毎日仕事三昧で大変だって聞いてるぜ?大丈夫か?」


ロイドは旧知の仲であるフタユに尋ねた。


「第三大隊が今の将軍(ひと)になってからは大変ね。実務はほぼ放棄してるし、基本的に部屋から出てこない……、でも日々の不満を我慢できるぐらい戦時に活躍するから何も言えないのよ………レオンハルト様も黙認してるしね。チャッピーさんが自身の実務班を派遣してくれたから最近は少しは楽になったわ。」


フタユの言うことをそのまま信じれば、将軍は平時は働かずに自室で怠惰な生活を送っているようだ。

彼女曰く大体13時過ぎに起床するとの事なのでヨシヒロとロイドは2時間待機する事になった。


フタユの側近が待ち時間の間に村を紹介してくれた。オキソ村は軍の拠点だけあり人口の多い村だ。人攫いがあった村の様な普通の村とは異なり完全に軍の統治下に置かれている。その村の外れに大きな屋敷があり、そこに将軍がいる。

屋敷が村の外れにあるのは村の中だとうるさいからという如何にもイメージ通りといった理由だ。



◇ ◇ ◇ ◇



2時間後、太陽が1番高くなった頃に「将軍起床」の報を受け、副官のフタユに案内され村の外れにある屋敷に移動した。屋敷の奥の方にある部屋……寝室の扉をフタユがノックした後に開き、ベットの上でまだ眠そうにしている将軍に面会した。


「おはようございます。本日は報告の前に…先日お伝えした独立小隊の隊長がいらしています。隊長のヨシヒロさんと副隊長のロイドです。」


「おはよう。あー、この前|()()()から言われてた人たちね。初めまして、ボクは()()()()()()()()()()。ボクは22歳だから歳も近いと思うし気軽に接してよ、これからよろしくねヨシヒロ。」


レオンハルトのフルネームはペドロ・レオンハルト。彼を名前の愛称であろうペディと読んでいるという事は相当に仲が良いのか、性格的に人当たりがいいのかどちらかだろう。


「初めまして。俺はヨシヒロ……、16歳。フォーリヴァ将軍にはこれからお世話になります。」


「そんな大層な呼び方しなくていいよ。ミユビって呼んでおくれ。」


「分かりました。では、ミユビ…これからよろしく。」


「うんうん。ペディから君のことは聞いてる。彼からのオーダーは出来るだけ自由にさせる事だから此処では勝手にやって良い。ボクも管理するのめんどくさいし丁度よかった。他に何か要求があったら副官のフタユに言ってくれればいいから。」


フタユの眉間に皺が寄る…、丸投げされて仕事が増えた事に対する反応だろう。


「また仕事が増えた……。」


「よ、よろしく…」


ヨシヒロとロイドはフタユに頭を下げる。


「ふぅ、という事でこれからよろしく。ボクは二度寝するから………おやすみ〜。」


先程起きたばかりのミユビは布団の中に戻る。


「お、おい。また寝るのかよ?そんなに寝てて部下からの信頼とか大丈夫なのか?フタユも大変そうだし、ちっとは手伝ったら………!?」


旧知の仲であるフタユに全ての仕事を任せる(ミユビ)を目の前にして、ロイドは少しイラついたのか軽口を叩いてしまった…


そんな軽口を叩いたロイド。

その頬には傷がつき、血がたれる。

ロイドの背後の壁には短刀が突き刺さっている。


「君達を自由にしろとは言われたけど…、ボクの睡眠を奪うなら容赦しないよ?」


先程までの優しい雰囲気とは打って変わり、睨む様にロイドを見つめる。ミユビは続ける。


「ボクの軍は自由に行動する事を許可してる。君達も同じく自由にしていい。でも、3つだけルールを守ってもらう。

1つ目、ボクが仕事をサボる事に対し意見しない事。

2つ目、ボクの睡眠を邪魔しない事。

3つ目、ペディを敬うこと。  

まだ、君達には伝えてなかったから今回は許す……次はないよ?」


部下に自由にさせる代わりに自分も自由にさせろ(サボらせろ)という事だ。


ロイドが短刀を投げられた理由は、仕事・睡眠に対する意見をしたからだ。どこまでが本気か分からないが、これ以上軽口を叩けばロイドの命の保証はない…さっさと退室しよう。


「わかったよ、ミユビ。今日は失礼する。おやすみ。」


剣を抜きかけていたロイドを制し、部屋を後にする。


「おやすみ〜」


将軍ミユビ・フォーリヴァと言う男…一見軽薄そうに見えて彼の琴線に触れた時、彼の心の奥底に恐ろしい物を感じた。やはり、将軍の器に違いはないようだ。



◇ ◇ ◇ ◇



将軍ミユビの屋敷からの帰り道、ロイドは先程の件で不満を垂れている。


「おい、フタユ。なんなんだ、アイツは。俺は軍を離れてたからアイツのことは知らねぇが、あんな奴が将軍を務められるのか??最悪じゃねぇか。」


「領主ミユビ・フォーリヴァはロイドが言う通り最悪最低の領主です。しかし、将軍ミユビ・フォーリヴァは優秀そのもの。レオンハルト様がミユビの才能に惚れ込み、直接将軍の位を授けています。他国の人間にいきなり将軍の位を与えた…その事実だけでどれだけ優秀かが理解できるはずです。」


「レオンハルトがそこまで惚れこんだ男……、アイツの才能ってのが気になるな。」


「うーん。村戻ったら村の書庫に行ってみたら?3年前のレオンハルト軍とミユビ・フォーリヴァの戦争の記録が残っているはずよ。」


ミユビは3年前にレオンハルト軍と戦闘しているだと……?

レオンハルトと彼が才能を認めたミユビの戦争……非常に気になる。ヨシヒロは本質的には戦争が大好きなので興味深い2人の戦争に興味が湧いた。


楽しみだ!


ヨシヒロの馬のスピードが少し上がった。


レオンハルト軍は4つの大隊があります。

レオンハルトの一言とともに紹介↓


第一大隊

隊長 グレイヴ

「突撃させるなら第一」


第二大隊

隊長 チャル・ピートル

「理詰めの戦争するなら第二」


第三大隊

隊長 ミユビ・フォーリヴァ

「敵が優秀なら第三」


第四大隊

隊長 ???????

「できれば戦わせない方がいいかな??」

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