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独立小隊

人攫い事件収束後、レオンハルトに呼び出された3人…

「人攫いの件、3人ともご苦労様。」


人攫いの事件を解決に導いた論功を与えると言われ3人はレオンハルトに呼び出された。


「レオンハルトさんが素早く対応してくれたからこそです。」


「まぁ、そこはグレイヴに感謝してあげて。」


「はい。」


「それで……これを読んでもらっていい?」


レオンハルトは自身の机の引き出しを開けて国王からの書状を広げ、3人に覗き込む様に促す。


「こ、これは……」


「内容は読んでもらった通り、人攫いの件は国王の関与はないと虚言を垂らしている。」


「ちっ、あのクソ親父(国王)め。ちゃんと証拠も提示したんでしょ?」


「書状での自己中親父(国王)の文章の真意は今回の件は黙殺せよってことだねぇ。」


ルキウスとカレンは王子と王女。父親がこの国の国王なのだ。子供である2人がこれ程までに自身の親を嫌っている状況に、ヨシヒロは国王の酷さを推し量る。


「これから………僕たちは国王と対立するかもしれない。ヨシヒロは問題ないと思うけど、ルキウスとカレン…君達は大丈夫かい?」


「はい、勿論。あの世界で居場所がない私を救い出してくれたのは貴方ですから。それに此処で様々な事を学び、父が国王として相応しくないと実感しております。」


「ありがとう、ルキウス。僕は国王と対立はする覚悟はあるけど、彼を王位から引き摺り降ろした後に()()()()()()()()()()()()()()()。その時は頼んだよ、ルキウス。」


「!?は、はい。畏まりました。」


レオンハルトは婉曲に伝えていたが、直訳すれば現国王を引き摺り下ろしルキウスを王に据えるという事だ。


「それで……カレンは?」


「あぁ、あたし?此処に来た時に王女の位は捨てたつもりだし、今はただの一武人だ。国王との対立に何の思うところもないよ。」


「それはよかった。それでね、君達には()()()()になって欲しい。ルキウスとカレンは客人、ヨシヒロは保留中だったよね?」


「そうだな。」


「客人・保留のままだと、いざ対立が明確化した時に今まで通り接する事ができなくなる。例をあげれば、ルキウスが戦略会議室に立ち入れなくなったりとかね。君達3人の力は我が軍の皆も実力を認めている。だから、一時的にでも部下になってよ。」


一時的にと言ったのは、次の戦以降は自由にしていいという事だろう。そもそもルキウスを王に据えると考えるならいつまでも部下にはしておけない。


ルキウスとカレンは即答で臣従を許容する。


「ヨシヒロはどうだい?」


「王弟領だったスチュートとレオンハルト公領を見て、明確な違いがあった、貴方は疑う余地すらなく良い政治を行っている。そして部下になんだかんだ慕われてる。そして、命の恩もある。とりあえずルキウスをこの国の王にする迄は貴方の部下になろう。」


「うん。王を打倒して、ルキウスを王にしよう。そうすればこの国の未来は明るい。」


ルキウスは王の器がある。頭が切れるのは勿論、人望もあるし、気付けば人の中心にいる様な男だ。この国を任せるなら彼がいい。


「改めて、これからよろしく。ルキウス、カレン、ヨシヒロ。今日から君達は僕の部下だ。」


「「「はっ!/はーい!/おう!」」」


3人はバラバラの返事をしたが、心の中で沸る気持ちは同じだろう。


「早速だけど君達には()()()()を率いてもらう。」


「独立小隊?」


「僕の軍隊が4つの大隊に別れているのは知っているよね?1つの大隊は約1万人……それをグレイヴやチャッピーなどの将軍が率いてる。そして、その大隊は10つの中隊に分けられる、規模は1000人。この1000人を10つに分けたのが小隊、希望は100人。それぞれの隊長が率いている。つまり、僕の軍では100人気規模の纏りを小隊と呼んでいる。」


「その小隊を俺たちは率いるのか?」


「少し違う。独立小隊は将軍直属の100人隊、通常の小隊の様に中隊の中に含まれてはいない。君達のような才能のある人間を軍の規律の中に収めたくは無いからね。将軍からの命令以外には戦場で自由に動いていいし、あまり口を出さない様に言ってあるから、重要局面以外自由に行動していい思うよ。」


「特別扱いという事だな。部下から不満はないのか?」


「君達なら活躍で黙らせられるでしょ?頼んだ。」


「不満は出てるって事ね。でも安心してあたしが強さで黙らせるよ。」


「それは頼もしいね。」


「それで、ルキウスはチャッピーの第二大隊で、カレンはグレイヴの第一大隊で独立小隊長として働いてくれ。ヨシヒロは第三大隊だ。」


「そういえば俺は第一と第二しか見たことないな。第三大隊って言われてもピンとこない…」


「第一と第二は公都に駐軍してるからよく顔を合わせたんだと思う。第三大隊は将軍の性格上都会が好きじゃないから田舎に散らばって任務をゆったりとこなしてる。基本的に公都の北にある湖畔の村に将軍はいるから挨拶しておいで。」


「分かった。明日挨拶しに行くよ。」


「ねぇ、レオンハルト。あたし第四大隊について知らないからついでに教えて。」


「彼らはちょっと他の大隊とは毛色が違うからね。今もどこにいるか分かんないし、気にしなくてもいいよ。」


「逆に気になるじゃない!」


「そのうち会う事になるからその時まで待ってな。」


「はーい……」



レオンハルトとの話は終わった。


ルキウスは第二大隊独立小隊長として、

カレンは第一大隊独立小隊長として、

ヨシヒロは第三大隊独立小隊長として、

レオンハルトに召し抱えられた。


ヨシヒロは明日、第三大隊の将軍に会いに行く。





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