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Three questions

あけましておめでとうございます!

もっと多くの人に読んでいただけるように頑張ります。

興味を持っていただければ、ブックマーク等お願いします。

ヨシヒロは村を守りきった。

夜が明けた後に正規の守備兵と交代する形でその場を離れた。捕縛した山賊らしき人を連れ拠点としている空き家に戻る。


ルキウスは起きていたが、カレンはゴンと共に寝ていた。


「おはよう、ヨシヒロ。いや、お疲れ様・・・かな。襲撃には気付いたんだけど私が行っても弓を射るぐらいしかやることがないからね。ここで情報の整理をしていたよ。」


ルキウスは戦闘のセンスは人並みだ。剣術も体術もヨシヒロとカレンと戦えば100回やって100連敗するだろう。しかし、弓矢は人並み以上の才能があった。ただ才能があるレベルなので軍内に彼よりも上手の人は沢山いる。

彼が深夜の戦闘に参加しても、悪い言い方をすればいてもいなくても変わらないので彼の判断は正しい。


「それでどうだ?犯人は分かりそうか?」


「とりあえず、君の連れてきた捕虜に話を聞くよ。ヨシヒロも寝てていいよ。」


「了解。あとは任せた。」


捕虜をルキウスに任せててヨシヒロは眠りについた。



◇ ◇ ◇ ◇



7時間ほど眠りの世界にいた。昼飯を食べに行くという事で起こされたのだ。ヨシヒロとカレンは眠たい目を擦りながらルキウスとゴンに着いていく。因みにカレンは10時間ぐらい寝ている筈だ。ゴンのおすすめのお店に着いたので4人は着席した。

注文を済ませ、4人は出された水を飲みながらルキウスの報告を聞く。


「今朝ヨシヒロが捕まえてきた捕虜に話を聞いた。彼曰く王弟派閥の人間に人を攫って自分の領土に連行するようにと依頼されていたみたいだ。」


「ほーん。じゃあ王弟派が首謀者っことで間違いないのか?」


「うん。そうだ・・・・と考えるが普通なんだと思う。でも、この事件は()()()が多すぎる。犯人が自白した内容を信じて結論とするのは早計だと思う。」


「兄さんはどこが気になっているの?」


「昨晩の襲撃、何かおかしいとは思わなかったかい?カレン。」


「うん?そう?普通に門から攻めてきて人を攫おうとしてなかった?」


「そうだ。普通に()()()()()()()()()よね。私達は昨日の昼間に何を探していた?」


「前例から門以外からの侵入だと考え抜け道を探していたな。」


「そうそう。あたし達は抜け道を・・・ってあれ?昨晩は門を攻めてきたの?なんで?」


「そう。そこが疑問点の1つ目だ。」


ルキウスは昨晩の襲撃に対し疑問点を提示した。それは敵が門を攻めてきた点だ。村長の話曰く、これまでの人攫いは門に異常はなく他の場所から侵入されている・・・にも関わらず昨晩の襲撃は門に異常がありまくりだ。この点を1つ目の疑問点としている。


「昨日ヨシヒロはゴンからの話を聞いていないよね?」


「そうだな。ゴンの母と姉が攫われている事しか知らない。」


「ゴンの母親と姉は、ゴンの父親がこの村を出た次の日というタイミングの良すぎる日に攫われたらしい。」


「それを偶然として扱うのは短慮すぎるな。」


「そう。これが疑問点の2つ目。」


ゴンの父親が村を離れた次の日に母と姉が攫われた。そんなタイミングで人攫いが入る訳がない。前例通りなら門に異常はなく攫われている事になる。内通者や協力者が村の中にいる可能性が浮上する。これが疑問点の2つ目だ。


「そして、私達の着いた日にイレギュラーな襲撃が発生したのも疑問に思わないかい?これまでは門に異常なく人を攫うという完全犯罪を成功させていたにも関わらず、私達がこの村に来た昨晩だけ堂々と門を攻めてきた。」


「確かに、あたし達の動向を知っているみたいね」


「今朝、市場で商人の人達に聞き込みをしたんだ。すると、他の村では昨晩の様に山賊が堂々と人攫いをしていくみたいなんだ。」


「つまり、この村だけ完全犯罪的な人攫いをしている?」


「そう。つまり、普段は他の村にしか武力行使による人攫いしていなかったのに昨晩だけこの村にも行った。これが3つ目の疑問点。」


この村の周辺の公領の東北部では人攫いが多発していたが、基本的に武力行使で堂々と人を攫っていたが、この村だけなんの痕跡も残さずに神隠し的な方法で人が攫われていた。しかし、ヨシヒロ達が村へやってきた日だけ他の村と同じく武力行使によって人攫いをしようとした。これが疑問点の3つ目だ。


「これらの疑問点が思い違いでないとすれば、ある人がきな臭くなってくる。門を使わずに人を攫うことができて、村の人の事情に詳しく、私達がこの件の調査の為に来村している事を知っている人物・・・・・、」


「え、、、村長・・・?」


今まで黙って話を聞いていたゴンが驚きの声で答えを呟く。


「正解。村長がとても怪しい。勿論、これだけで犯人だと確定させる事はできない。村長の家を調査しようと思うんだけど・・・、ゴンは村長の家に行ったことはある?」


「も、勿論。」


「間取りと家の中にいつもいる人数を教えて欲しい。」


間取りと家内の人数をゴンは伝えてくれた。

まずは間取り。廊下を除き執務室を中心に周りに6部屋あるという間取りの合計7部屋がある。

入り口を入ると廊下が横長であり、正面・右奥・左奥に扉がありそれぞれ執務室・管理室・厨房へと繋がっている。執務室は以前ヨシヒロ達も挨拶の際に行ったことがある。右側の管理室の上には村長の居室、その上には書斎がある。左側の厨房の上には食事処、その上にはお手伝いさんの休憩室がある。

家の中には基本的に6人。厨房か休憩室にお手伝いさんが3人、管理室に村の運営管理が仕事の男が3人いる。


「もし村長が裏切り・内通者であった場合、その証拠となる書類、形跡、人は人目につかない場所に隠蔽もしくは破棄されている可能性が高い。そうなれば、居室か書斎が怪しい。補助している男達がも共犯であった場合は管理室も怪しい。どちらにせよ、村長と管理人3人を引きつけて内部を調べたい。」


「あたしが全員気絶させてもいいけど?」


「それは最終手段だ。できれば穏便に済ませたい。」


「村長は簡単だ。私が人攫いについての報告がしたいと言えば、執務室で応待をしてくれる筈だ。その際に、難癖をつけて財政について確認がしたいと言えば、管理人の1人は執務室に来てくれると思う。財政管理は大変な仕事・・・おそらく村長本人ではなく管理人の1人に任せている筈だ。」


「残りは管理人の2人ね!どう部屋から出そうかしら。」


「その仕事はゴンが適任だと思う。村で生活している中で、管理人が部屋を出てなにかしてくれた事はないかい?」


「うーん。村人じゃ対処できないような難しい問題や外来の人の対処には管理人さんが対応していると思う。」


「うん、それでいいと思う。では、私は村長に面会の約束を取り付けてくるよ。」


作戦が決まった。ルキウスが村長と面会し、村長と管理人の1人を執務室で話をする。ゴンが偽の情報を伝え残りの2人を管理室から出す。そのうちにカレンとヨシヒロが管理室、居室、書斎を調査するという形だ。


ルキウスと村長の面会は即日行われることになったので、この作戦はすぐに決行される事になった。



◇ ◇ ◇ ◇



ルキウスは村長の執務室に入り対面していた。執務室には村長1人しかいない。管理人を1人誘き寄せなければ。


「昨日の今日で面会をお願いしてしまい申し訳ございません。村長。」


「いえいえ、私達のために調べてもらっているのですから当然で御座います。昨夜は襲撃があったみたいですが皆様ご無事ですかな?」


「はい。精強な者達ですので。本日は人攫いの件とは別件で参りました。レオンハルト公から任務ついでに財政調査をする様にとの任を受けまして、ご協力いただきたい。」


「おぉ…、抜き打ちの財政調査とはレオンハルト様をお厳しいな。しかし、日頃からきちんと管理しておる故にやましい事はない。すぐに資料をお持ちしよう。」


「ありがとうございます。財政を管理している方に直接お話を聞きたいので呼んでいただいてもいいですか…?」


「分かりました。すぐに準備させお呼びします。」


「かたじけない。」


作戦成功!


後は頼んだよ。ゴン!



◇ ◇ ◇ ◇



ゴン、ヨシヒロ、カレンは村長の家の近くで待機していた。管理室が見える場所で30分ほど待機していたが、やっと管理人の1人が執務室に移動するのが見えた。


ゴンは緊張した面持ちで覚悟を決める。


「僕、頑張ってくるね!」


「うん、頑張れよ」


「危なかったらすぐに戻ってきて良いからね。最悪あたしが気絶させるから。」


カレンが親指を立てゴンを見送る。




コンコンッ、管理室のドアをノックする。室内からはい!どうぞ!と返答がある。ゴンは部屋に入室した。


「こ、こんにちは。失礼します。」


「やぁ、ゴン。どうしたんだい。」


「あ、あの。南の門で村長に会いたいって人に話しかけられたんだけど、どうすればいいですか??」


「ん?今日はもう面会の予定無いんだけどな。飛び込みかな…。ちゃんと事前に伝えてくれよな。」


「うん。なんか急いでたから行ってあげて。南の門の外にいたよ。」


「あー、はいはい。行ってくるよ。ありがとうな、ゴン」


管理人が1人部屋を出ていく。


「あ、あと。」


もう1人の管理人に話しかける。


「なんだい?」


「おじちゃんはお店屋さんの管理をしているんだよね?」


「よく知ってるね。私は商業関係の管理をしているよ。」


「なんかね。北の門の近くの市場で、魚屋のおじちゃんと肉屋のおばちゃんが言い合いをしていて誰も止めれてないんだ。何とかならない?」


「あの2人か・・・。いつもいつも喧嘩ばっかで困るなぁ。多分昨日の襲撃で店が焼けたのを良い事に場所争いをしているんだろうな。ありがとう、ゴンちょっと仲介してくるよ。」


管理人が部屋を出た。


ゴンは緊張の糸が解け、腰を下ろす。


ふぅ、作戦成功。



◇ ◇ ◇ ◇



ゴンは2人を招き入れ、捜索を始めた。

ゴンは管理室、カレンは居室、ヨシヒロは書斎の捜索だ。


ヨシヒロは壁一面に本が並べられた部屋を隈なく捜索がしていた。証拠になるような物は見つからない。本棚の中を全て探すしか無いか・・・、多量の本を全て捜索がするのは気が引けたが嫌々本を一つずつ調べ始めた。

中央の本棚の本を出した時違和感を感じた。

ここだけ()()()()()()()()()がある。違和感を感じた所を次々に本を出していく。


「うん。これは隠し部屋かな?」


本棚の中から取手が現れる。それを押すと扉が開き、地下に続く階段が現れる。

階段を下る前に、カレンとゴンを呼び寄せ3人で地下へと足を進める。


地下には衝撃の空間が広がっていた。


「ははっ!これは決定的すぎる証拠を見つけてしまったね

…。」


「なんてことを…。」


「……!お母さん、お姉ちゃん!!」


地下の空間は痩せこけた人達が大人数収容されていた。

その中のにいたゴンの母親と姉にゴンが駆け寄る。


「よかった。皆生きてはいたのね。」


「人売りをする為に収容していた様だな。でも、これだけの大人数・・・、村長の独断で行ったとは考え辛い。やはり大きな勢力が関わっているな。」


この国の大きな闇に触れ、ヨシヒロとカレンは目を疑いたかった。



国内で最も平和なレオンハルト公領に忍び寄る国の闇、その正体は・・・

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