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サンソンくん  river 編  作者: ハクノチチ
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二つの出来事は互いに共鳴しあった

 ー二つの出来事は互いに共鳴しあったー


 「三途川」の白い行列は、東屋のもっと先にある鬼戸(キド)という「朱杉(アカスギ)」で造られた木の戸を開けて、まるで岩場から滴る川の始まりの一滴のように一人ずつ現れます。そして鬼戸は「ヒカリエ」と呼ぶ場所に繋がっています。そこは文字通り光に包まれています。

 人は、あるいは人の意識はその光の中で己の魂を、下界で言う「あの世」に返すといいます。それでも中には魂を返却することなく、下界で言う「この世」に戻ることになる人、あるいは人の意識がありました……


 「ヒカリエ」に来た「白い行列」のいわば要員は、明るい光の中でわりとしっかりした姿の影のまま 「ヒカリ」という人の形をした「光」から順次、例の木札を配られるのですが、その木札の中に「当たり札(なかには下界の暮らしを揶揄して外れ札と呼ぶこともあります)」なる木札がありました。誰がどのような理由で引き当てるのか、どのような法則で出るのか、誰かのさじ加減なのか、それらは誰にも分かりません。「ヒカリエ」の所長も「三途川」の所長(彼は彼岸にいます)も、実はそれほど高い役職ではありませんでしたし、高い役職にいて唯一姿のある地獄の「ボス」はたとえば砂の惑星が辿る運命よりも口が堅かったからです。

 そんなわけで、小さな彼が「三途川」の中州に現れた日に、三つもの「当たり札」が一度に出たのはとても稀なことでした。二つの出来事は互いに共鳴しあったのかもしれません……

 ところで「ヒカリエ」はさすがに始終騒がしいところでした。光の中でホッとする者ばかりではなかったからです。当たり前のことですが、余りに突然だったり、戦争くらい理不尽すぎたりで、とうてい納得などできない者が光の中に混じっているからです……




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