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第1幕ー8


公平と良一は関所の地下牢へと連れて行かれた。関所の役人は、2人を地下牢へと連れて行くと、散々怒鳴り散らしながら、2人を殴りつけた。役人は、公平を殴り、蹴りとばして髪の毛を掴むと、思いっきり痛めつけた。

公平はあまりもの激痛に、苦しんだ。

役人は、良一も同様に痛めつけた。拷問に近かった。


「お前らよ、どうして病院抜け出そうとしたんだよ、、、、ぁぁぁ????

勝手な事しやがってよぉぉぉ、、、、、

ぶっ殺されてえのか、、、このやろう???

なんでこんな目に合わせたのか知ってんのかぁぁぁ、、、」


役人は、更に2人を殴り飛ばして、ボコボコにしていく。公平は顔から血を吐いていた。

良一もかなり傷を負っている。これは陸上人に対する扱いが酷すぎる。いくらなんでも、このような扱いを受けるくらいなら、死んだ方がマシだ。そこまでするくらいなら、辛い。


「俺は、、陸上へ帰りたいだけだ。お前らなんかの言いなりにはならねえ、、、なんで殴られなきゃなんねえんだよ。俺には、、やりたい事もたくさんあるだよ。お前ら、、本当に心は冷めてえのかよ。俺の気持ちも、なんも知らねえくせに。」


公平は、役人の男に言い放った。それに便乗するように良一も役人の男に言った。


「そうだ、、、俺たちを陸上人のことを認めろって言ってんだよ。俺たちは被害者なんだぞ。

ずっと戦ってきた。もっと助けてくれたっていいんじゃねえのか。」


すると役人の男は、良一を殴った。顔の火傷の後を殴られ、良一は壁に叩きつけられ吹き飛んだ。あまりの激痛に良一は顔を抑えた。


「お前らの存在は、認められねえ。どんなことがあってもなぁ、ヴェディピエール医師から連絡があったのだ。監視をして、二度と我々に立ち向かえないように大人しくしていろとな。それほど我々の世界を甘く見てもらっては困るという事だ。2つの罰がある。暫く、この関所で生活してもらう。それから再び病院行きだ。

それに命を奪わなかったという事だけは覚悟しておけ。二度と勝手な真似はできないようにさせておいてやる。」


男は、公平と良一を縛り上げると、地下牢の奥深くへと幽閉した。そこへ、連絡を受けたヴェディピエールがやってきた。これから、2人を病院へと連れて帰るつもりだった。公平と良一は、ヴェディピエールと共に車へ連れて行かれると、強制的に病室へと戻された。


「勝手な真似は二度とさせんぞ。お前たちはな本来死刑になる程の有罪なのだぞ。それを無断で逃げようとするとは、一体何を考えているのだ。」

ヴェディピエールは、病室へと連れていくと、2人に対して怒った。公平はまだしも、良一は、まだ、火傷も治っておらず、怪我もろくに完治していない状態だ。


「先生、、俺達は、どうしたらいいんですか。

この世界でどうやって生きていけば。何もなずに、この世界で永遠に死ぬまで働くのですか。

どうして、これほどこの世界の人は冷たいのですか、、、」


「ただ、、この世界を知ってしまった以上は生かすわけには行かんと何度も言っておるのだろう。道はひとつだけだ。2人とも同じくらいに強いアビリティを感じる。これは士官学校に入る以外他はない。この世界で湖底人として生きていくのだ。アクアポリス士官学校に行き、軍隊へ入隊するのだ。そこでアレイティ帝国湖底軍隊へと入れば、きっと道は変わるのではないだろうか。」


ほぼ強制に近いような状態ではあったが、このままでは捕まり牢屋へ連れて行かれてしまう。そうならくらいなら士官学校へ入学しろとというほぼ強引な誘いだ。全くこの医師を含め、この世界の人間は何を考えているのだろうか。

遂この間、ミエスタという街にミサイルが落ちてしまったばっかりなのに。再び飛んでくるミサイルに気を配りながら生活しなければならないのであろう。


病室で公平は夢を見ていた。初めて朱里とデートをした日にち、それは2023年9月10日であった。その日を思い出す度に彼女から言われていた言葉。


「910、公平、私にとって大事な数字なの。あなたに初めて告白された日にちなんだよ。

それだけじゃないわ、私にとって8と9は運命の赤い糸が繋がった数字。だから私はこの2つの数字に運命を感じちゃうな。だってさ、初めてあなたに告白されたのだって午後の9時00分だった。普通は、午前0時だろって突っ込みたくなっちゃうけど。」


朱里と横浜にデートをしていた時に、彼女がよくその話をしていた。彼女はよく数字を好む理数系の学生であったことから、そのような、数字に運命を感じていたのか。そして午前0時にトキメキを感じるような乙女な一面も持っていたといえる。


「私の中で8も9も10も別のようで繋がっている。まるで運命の赤い糸のようにね。だから、きっと途切れないと信じている。きつく結ばれていれば、より一層。君は、どう??私にどう見える?あなたをきっと愛していると言える??数字が結んでくれたんだね。ふふふ」


夢の中での彼女の笑い声で公平は目を覚ました。彼女が言っていた言葉を思い出した。

ふと彼女に買った指輪を見つめた。結婚と同時に買った婚約指輪。わざわざ高い店まで行って買った婚約指輪は何があっても彼らにとっても一生の思い出の品だ。


「お前のその指輪は焼けずに残っていたんだなあ。お前にとっちゃあ命の次に大事な指輪なんだろ??」


良一は、公平に対して尋ねた。偶然焼けずに残っていたのは幸いであった。公平は、まだやりたい事を残していた。それはこの指輪を付けて、結婚式に出るという事であった。そして、経済的にも自立をして幸せな家庭を築きたい。もう一度朱里に会えるなら自分はどうすればいいのだろう。何を言えばいいのだろう。


「俺はもう一度会いたい、会って、、助けられるなら。」


「安心しろ。きっと朱里は生きているさ。だから諦めるな。」


良一は、強く、公平に対して言い放った。

次の朝早く、病院に1人の男がやって来た。男は病院の病室に姿を現した。看護師のリナリー・ストーンは、公平に声を掛けた。


「室田公平さん!!!面会の方ですよ。アクアポリス士官学校の方ですよ。」


「士官学校??」


公平は、反応した。昨日ヴェディピエールが言っていた軍の缶詰のような学校に入れられるのだろうか。そのように考えると急に心が重くなった。タダでさえ今の気持ちは、より帰りたいという気持ちが強いのに。


「初めましてアクアポリス士官学校から参りました。デュエラ・ボールスと申します。

この度は。室田公平様のアクアポリス士官学校への入学が決まった事をお伝えに参りました。

室田公平様、あなたの能力を検査した結果非常に高い濃度の数値が検出されました。これによりあなたには湖底人として生きて行く権利が与えられます。陸上人の処罰が重い中、あなたにはこの非常に高いアビリティを持っていることが何よりの証です。如月良一様、あなたも同様です。1週間後、アクアポリス士官学校にご入学をお願い致します。以上です。」


デュエラ・ボールスと名乗った男性は、軽く会釈をすると公平と良一の方へやってきた。

とっさの判断で公平は納得できなかった。自分が士官学校生。自分はついこないだまで海上自衛隊の一員であったのに非常にありえないこの事態に顔面蒼白であった。


「ちょっと待ってください。それ勝手に決めたんですか。こっちの許可もなしに??」


「許可??この世界で生きていくにはそれしか道はありませんからね。」


そういうとデュエラは、冷たくいうのであった。そしてさらにもう1人の男が現れた。そこで書類を見せてきた。それは入学許可証であった。アクアポリス士官学校生として当然のようにこれから士官生として働けという使命であったのだ。そして今の名前を湖底人らしく変えた方がいいと言われた。


「アレイスター、、、それかブレイス、、クワイガン、、、デルヴィスなんかはどうですか?」

デュエラは勧めてきた。そして公平は意を決して言い放った。


「デルヴィス!!!そうだ。俺は、、これからデルヴィス・リーフィレイアとして生きていくのか、構いません。」 


それで全ての力を使いこなし完璧なる剣人になる。その時公平いや、デルヴィスはどういう気持ちだっただろうか。個人的には、かの有名な魔術師である、アレイスター・クロウリーのようなかっこいい名前だと思っていたが、あえて選ばなかった。こうして公平はデルヴィス・リーフィレイアと名乗る事に決めた。

そして如月良一も名前を変える事に決めた。

良一は、ジェレミア・レンゴと名前を変える事に決めた。こうしてデルヴィスとジェレミアは、士官学校へと、入学する事が決定した。

とにかく今はこうした方がいい。デルヴィスとジェレミアの2人は安心を求めていた。帰る宛も無く、命が狙われるよりはマシであった。学校にいれば、守ってくれる。2人はそう思い、入学願書にサインをした。


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