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第1幕ー7


病院に入院してから約1週間が過ぎた。その間、リナリー・ストーンに如月良一の面倒を見ながら、自らの体調と今後について必死に考えていた。もう自分にとって道は一つしかない。

それはこの世界で、生きていく他になかった。

それ以外に、何が自分にとって良いのか。

今、陸上に帰るわけには行かない。きっと相当重い罰が待っているはずだ。


「帰りたくねえってそういう顔してるぜ。

確かにそうだ、、俺だってなんかもう帰るの面倒くさくなっちまった。でも、、現実を考えろ。生活だってあるんだぜ。朱理のことだって。どうすんだ。決断するには今しかねえんだぞ。」


良一は、公平に尋ねた。それに対しての公平の答えは自分の思いを全て背負込もうとする重い選択であった。公平は答えた。


「俺は、、この世界で生きていくしかないんだ。それが、、全て。何がなんでも、どうせ助けたって、、何も救われはしない。だから、、朱理を救う。どんなに時間がかかっても。

やり直すことになってもな。」


「ちょっと待てよ、、お前、、まさか本気でこの世界で生きていくつもりか、、、現実考えろよ、、お前は海底人じゃねえんだぞ。あんなわけわからない奴らの話鵜呑みにするっていうのか。何されるかわかんねえんだぞ。その上でさっきの答え言ってんのか。なあ一緒に帰るんだよ。下手したら。」


良一は激怒した。信じられなかった。あれほど帰りたいと言っていた公平がこうも諦めてしまうとは、、だが、こうしてはいられなかった。


「公平、、、今夜だ。逃げるんだよ。どこか遠くへ。。今しかねえんだ。今夜計画は実行する。一緒に出よう。病室から逃げ出すんだ。もう時間がねえぞ。頼む。力を貸してくれ。」


良一は帰る気でいた。それはそうだ。いきなり訳の分からぬ世界へと来てしまったのだ。

アクアポリス総合病院の二階からアクアポリス総合基地へと向かえば、きっと陸上の世界へと行けるだろうと、良一は鷹をくくっていた。


「良一、、、しょうがない。わかった。行こう。俺も、、、今夜脱走する。でも火傷は大丈夫なのか。酷い怪我なのに。最悪俺が何とかする。」


公平と良一は、病室の2階の窓を開けて、抜け出した。極力みんなに見つからないようにしなければならない。それは体力がいる事である。

病院の救護病棟を抜け出せれば、あとは、外へと抜け出すだけだ。


「大丈夫か。。全く本当に実行するとは、、思わなかったぜ。ここ抜け出せば、、辿り着くだろう。楽園だ。俺は情報を得てきたんだ。

アクアポリス総合基地だ、そこに行けば、きっと帰ることができるに違いねえからな。」


良一は事前に情報を調べていた。アクアポリス総合基地には、陸上へ行くための潜水艦があるらしい、それに乗れば、、突破口が見つかるということであった。公平は、義足ながらも必死に歩いた。これから行くのは、アクアポリス総合基地であった。まっすぐ外へ向かって歩いていると、そこへ見えてきたのは一つの学校であった。かなり広い学校であった。


「こんなところに学校があんのか、、、」

公平は、驚愕した。まるで海底人の為の学校ではないか。そこにはこう書いていった。


『アクアポリス士官学校』


一方リナリーは、病室に来た途端、公平と良一がいない事に気がついた。慌ててリナリーは、ヴェディピエールに報告した。


「先生、、、陸上人に逃げられました!!」



「馬鹿もん!!何しておる!!さっさと探せ!!!くそ、、、逃げられたか、、、めんどくさいことになるぞ。我々の秘密がばらされれば、、、、そうだ。これを使えばいいのだ。ふん無駄なことを、、逃げ出そうと思っても無駄な話だ。」


そう言うとヴェディピエールは、スイッチを押した。それは水中呼吸解除スイッチであった。

その頃、公平と良一は、夜の真っ暗な街を必死にさまよっていた。行く宛もなくどっちの方角に行っていいのかも分からない中、夜の下町のような街を何としても抜け出せなければならない。


「なあ、、ここで本当にあっているのか。さっきから全然違う方角に行っているような気がするんだがよ。」


「分かっているさ、、でも確かにこっちだって、、、、なんだよ、、、ちくしょう、、苦しい、、、くそ、、、バレたか。。。。

なんでだ。」


すると公平と良一は突然、猛烈に息が苦しくなった。ヴェディピエールが押した水中呼吸解除スイッチのせいである。身動きが取れない。公平と良一は、その場で苦しがった。これでは、窒息すると思った。だがそんな中でも、必死に走り続けた。まもなく行けばきっと外へと行ける。関所のような場所へとたどり着いた。そこには役人のような男が2人いた。


「ここを通らせてください!!!

苦しい!!!どうしても陸上へ帰りたいんです。。お願いします。。」


「陸上人だと、、、なぜここに陸上人がいるのだ。そうか、、、確保だ。業務法違反で逮捕する。」


役人の男は、公平と良一の2人を確保した。2人は既に気絶していた。そしてそのまま格好からアクアポリス総合病院から逃げ出した事を察した。公平と良一は患者が来ている病院着のままの格好をしていた。


「ただいま、、人質確保致しました。」


「よろしい、、、地下楼へぶち込んでおけ、、、、拷問の時間だ。」


関所の役人の恐ろしい一言で2人は地下牢へと送られた。



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