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第1幕ー6


病院で寝ていた公平は、目を覚ました。

緊急手術と、全身に負った大火傷は、ヴェスターとヴェディピエールによって、回復の兆しが見られて来た。公平と共に、負傷した2人の海上自衛隊の兵士達も、特別治療室へと運ばれていたが、全身は包帯に巻かれた上に呼吸困難を起こし、意識も戻らぬ状態であった。

公平は、自分の肌を触ってみた。すると明らかに火傷のあとが、薄くなっているような気がしたのだ。きっとこれなら、治るだろうと勝手に思い込んでしまっていたが、油断は禁物であった。まだ、全身から来る倦怠感と激しい吐き気は、公平の身体を蝕んでいく。


「公平か、、」


ふと隣で声がした。公平はその声を聞き、声の主が、公平の親友の如月良一である事がわかった。


「良一、、、良一なのか!!!

おい、しっかりしろ!!!!

良かった、、、、お前は無事だったんだな。」


公平は親友の無事を喜んだ。良一は、、意識を取り戻したようであった。どうやらあの時、艦内の壁などが、ミサイルからの光を防いでくれたようであったのだ。放射能を喰らったとはいえ、体調の心配があった。そのような状態でも尚、自分の体調の方が心配であった。


「俺は、、何とか助かった。医者が俺の為に、頑張って下さったおかげで俺は、助かった。朱里は、無事なのか。」


「良一、、、朱里は、、もう既に、、、」


「何だと、、、、そんな、、、、、

嘘だろ、、、お前も俺も無事なのに、、朱里は無事な筈だろ。そんな、、ふざけ、、ん、、、、、な、、、、」


そこへ赤髪の看護師のリナリー・ストーンとヴェディピエールと女医のヴェスターの3人が病室へと入ってきた。ヴェスターは、ヴェディピエールの補助医であった。

「体調の方はいかがですか??室田公平さん。。え、、、もしかしてもう1人の陸上人の方も意識を取り戻されたんですね。先生、、、患者さんが意識を。」


「良かった。室田君、、君は、、本当に危ない所であったのだ。一歩間違えれば、、死に絶えているところであった。君の身体から放射性物資が検出されなかったおかげであろう。」


「先生、、、本当に助けて頂きありがとうございました。でも放射性物質が検出されなかったというのは一体??」


「君の身体には、、我々湖底人が持つ特殊なアビリティに近い、能力を感じる。それは並ならぬものだ。非常に強力で、、我々湖底軍所属の医師達ですら持つ事が出来ないであろう程。その中に放射性物質を打ち消す程の能力があるとしか思えんだろう。そしてもう1人の青年如月良一君も同じであろうな。」


そう言うとヴェディピエールは、検査結果を公平へ見せた。やはり放射性物質の存在が認識されていない、会話を聞いていた良一はヴェディピエールの言っている全く意味がわからなかった。


「先生、、俺達は、、、どうなるんですか、、陸上へと帰る事はできるんですか。

このまま、ここで暮らすとかそんな事は、、」


「残念だが、、、陸上へ帰るわけには行かない。状況が分かっているであろうが、、、現在戦争中だ。そのような状況下で本来知り得る筈のない我々の情報を陸上人に知られるという行為自体が、、厳しい罰則の対象なのだ。」

ヴェディピエールは公平と良一に対して厳しい現実を突きつけた。それほどこの世界で生きていくのは辛いという事だ。甘くない現実を突きつけている。

補足説明をするようにヴェスターは言及した。


「あなた達には申し訳ないけど、このアレイティ帝国で暮らしてもらう以外に他はないわね。

この世界における厳しい罰則なのよ。先生も言っていたけど、、この世界で働くには手段は働く以外に道はない。それ程この世界は甘くないのだから。ごめんなさいね。あなた達を脅かすつもりではないけどね。それに公平君、、あなたに見られるアビリティは確実に、湖底軍隊員と同等、、いやそれ以上のものであるわね。」

すると公平は激昴した。あまりにも冷たく突き放すような、ヴェスターの言動に公平は、、怒りを顕にした。


「ふざけないで下さい、、、、俺は、陸上へ帰りたいんです。こんな世界に未来永劫住み着くなんて冗談じゃない、、、、俺は、、、朱里と結婚をするために、、、、朱里はきっと無事なはずだ。探してくださいよ。。今もきっと冷たい水の中を彷徨っているかもしれないっていうのに、、、、、、」


公平は涙を流した。今までの思いが全て爆発した。幸せに筈であった結婚生活は最悪な形で引き裂かれてしまった。


「残念だが、、、、死亡した陸上人の数は膨大な数に及んだ。そんな中から見つけ出すのは不可能だ。」

ヴェディピエールは目を閉じて言った。


「誰が、、、ミサイルを放ったのですか、、、、一体どいつが、、、、教えてくれ、、、俺がそいつを、、、この手で、、、、

その瞬間、、公平は意識を失った。放射能による後遺症で完全に意識は失われた。


「それは、、教えることはできん、この事実を言うのは、、国家反逆罪に値する。。

リナリー、、暫く、、この患者らの面倒を見てあげてくれ。」


「かしこまりました」


縛らくすると、公平は意識を取り戻した。どうやら感情を無理に出すと意識を失ってしまという副作用があるらしいのだ。リナリーは、公平の側へ寄ると面倒を観た。


「ベットメイキングに入りますね。」


「看護師さん、、、さっきはすみませんでした。勝手に1人でキレて、でも俺は、、、」


「お辛い気持ちは分かります。でも、私達だって辛いんです。戦争で誰が死ぬのは見たくないでしょ。それと一緒ですよ。助けたい気持ちはあるのですが、、私達の病院にはもの凄い数の患者が訪れるのです。それをいちいち相手にしてたら参ってしまいます。だから今助けられる人の命を救う。これを目指しているんです。おトイレはご一緒しましょうか。義足だと歩きづらいでしょう。」


そう言うとベッドメイキングを終えたリナリーは看護師の補助を呼ぶと、公平を起こした。そしてまだ義足で歩き辛い公平を必死で支えた。手すりに捕まりながらも公平は何とか立ち上がった。そして公平は支えて貰いながらもトイレへと向かった。


「さあトイレに向かってくださいね。」


トイレから出ると、公平は、部屋へと戻った。目を覚ました良一は、ベッドから起き上がり、そして公平に尋ねた。


「さっきの話、、、聞かせてくれ、、ここは本当に、、、異世界なのか、、、。まさか湖底とか言っていたよな、本当に湖底からこの人達は湖底人なのか。」


「さっきはベディピエール先生がいたから、言えなかったけど、この世界は、カスピ海の底の世界。私たちがいるのは、アレイティ帝国。

そして元々カスピ海帝国というひとつの国であったの。しかしね、15年前、突然国内で内戦が起きたの。そして内戦によりカスピ海帝国は南北へと分裂をした。そして南は、アレイティ帝国。北はブルエスター帝国という、2つの国は戦争を繰り返した。そしてついにブルエスター帝国は核ミサイルを放った。それは、、ミエスタの街へと放たれたのよ。甚大な被害が出ると、多くの死者が出た。全く酷い話であるわよね。まあ後に詳しく話すわ。」


そう言うとヴェスターは、コーヒーを口にした。


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