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第3幕ー8

東京タラレバ娘やってんじゃん


 ふと辺りが真っ暗になった。

アレイスターは猛烈な頭痛に苦しみながら、見渡すと、真っ暗な中に幻覚が映っていた。

その幻覚は、朱理の幻覚だった。


辺りが真っ暗な中朱理の幻覚は、アレイスターへと忍び寄っていく。

そして、ナイフをアレイスターの胸に突き刺した。

アレイスターを朱理はただひたすら責めるのであった。


「人殺し!!

あんたのせいで、、私は死んだのよ!!!

いつも見捨てて!!!

あんたは私を助けてくれなかった。

あんたが身勝手に逃げ出したから、私は、焼け死んで、喰われた。あんたが喰われれば良かったのよ!!!」


朱理は泣き叫びながら、アレイスターに辛辣な言葉を投げかけていく。

その幻覚を見ながら、アレイスターは必死に涙を流した。

アレイスターの胸に刺さったナイフから赤い鮮血が滴りたっている。

そしてアレイスターを責め立てていく朱理の一言に、アレイスターは、叫んだ。


「やめろ!!やめてくれ!!!

俺だってお前の事を助けたかった。

本当にごめんな!!

俺が、お前を助けてやれば、、、気づいてあげれば、、、俺がカスピ海なんかに誘わなければ、、、、、俺のせいだ!!俺を殺せ!!!!」


「黙れ!!

そうやってあんたは何もかもを言い訳にして逃げるのよ!!!

あんたは周りの人間の命、全てを奪っていく!!!

あんたは呪われた存在!!!

生きる価値もない、、ゴミ当然の存在!!!

人殺し!!!!!

人殺し!!!人殺し!!!!!!!

死ねよ!!!!!!!!!!!!!!」


「やめろ!!!!!これ以上俺を苦しめるな!!!!俺の前から消えろ!!!!

やめろ!!!!!やめろ!!!!!!はっ!!!!!!!!!!!」


ふとアレイスターは目を開けた。

周りが幻覚ではなく現実世界になっている事に気が付く。

一体どういうことなのだろうか。

時々思い出す謎の記憶。そして以前にも来たことがあるこのアレイティ帝国。

心配したソフィアはアレイスターへと声をかけた。


「大丈夫、、また幻覚に悩まされたの??」


「皇女様、私は確かに、幻覚を見ておりました。

何かが私の心を乱して、死んだ恋人が私を責め立てるのです。

それに、あなたに会うのも初めてではないのです。

あなたとは何処かで会ったことがあるのですか??

私の心と精神は、、壊れてしまいそうなのです。

私は怖くて、、、、」


ソフィアはアレイスターへと優しく唇を近づけるのであった。これは慰めのキスなのか、それとも本心のキスなのか。


「このキスは、、私達の世界では、陸上人だからって関係ありません。

あなたは私の命の恩人です。

私を救ってくれた。私に笑顔を取り戻してくれて、、私に優しくしてくれた。

今度は私があなたを救う番です。

私が救えるなら救わせてください。」


アレイスターははっと顔を赤らめた。この世界に来て初めて湖底人とキスをした。しかしとろけるようなキスではない。それでも冷たいけど、どこか暖かさがあるような気がする中、慰めの味がした。


「皇女様、ソフィア様、、いけまけん。私は帝国の一兵士なのです。私達のような身分の違う恋はこの世界において禁止されているのです。私にはかつて共に歩むと決めた相手がいました。しかし、、、」


アレイスターは無我夢中でソフィアとキスをしていた。

気持ちを抑えられなかった。

しかしキスをして間もなく猛烈な頭痛がアレイスターを襲った。そ

して再び朱理の幻覚がアレイスターの頭の中へと現れると胸に刺すような痛みが走った。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!朱理!!!!!!やめろ!!!!!」


「私は、、あんたを許さない!!

あんたのせいで私が死んだのなら、、あんたが私と同じ運命を辿ればいいのよ。

あんたが苦しめばいいのよ。

分かる、、痛みというものが、、死ぬ時には、、辛い思いをして、、、絶望の中でもがき苦しんで、、、、周りも見えなくなって、、、あんたも、、、、」


「朱理、、、、どうして、、、、本当に痛かっただろ。

分かるさ、、俺も痛みを経験した。痛かっただろ。

辛かっただろ。

ごめんな、、本当にごめんな、、俺が守ってやれなくて、、俺が食われれば、良かったんだ。

俺が、、、ゲルディ・ジャックに喰われれば良かったんだ。俺が死ねば、、死ねば、、、俺はお前のことを守ってやれなかった。カスピ海なんかに連れていったから!!!!!」


次の瞬間、朱理の幻覚はアレイスターの元へと近寄った。涙を流していた。

三田園朱理は、核ミサイルの爆発に巻き込まれた挙句、ゲルディ・ジャックに食い殺されたという酷い事実を知ってしまいアレイスターは自らを責め立てた。

その結果朱理の幻覚に刺されるという事で罪を背負わなければならなかったのかもしれない。

そんな中、朱理は涙を流しながら言葉を放ったのだった。


「公平、、、楽しかったよ!!

あんたと過した時間、、私が大好きなカスピ海に連れて行ってくれた。

私はあんたが大好きだった。

あんたにはいつまでも幸せでいて欲しかった。

なのにあんたは、、私を殺した。

あんたのことが大好きだった私を、、、裏切った。

あんたが本当に好きな人。

本当に愛している人と幸せになって、、私はもう死んでいるからあんたとは一緒に居られないの。

あんたには死んで欲しくない。

あんたには助けるべき人が沢山いる。

この国の人。守るべき人。

大切な人。

アレイティ帝国を幸せにする為に、沢山の人を助けて幸せになってね。

公平、、クワイガン、、、、いや、、、アレイスター!!!

さようなら!!!!!!!!!!!!」


朱理は涙を流しながらその場から姿を消した。

鮫魚人により、友人を喰い殺された大火傷を負い、ゲルディ・ジャックに食い殺された三田園朱理の幻覚は、アレイスターの目の前に現れた。

最後に言葉を掛けた彼女の姿は幽霊であったのだろうか。

消えていく幻覚を前にして、アレイスターはただ泣いていた。


「朱理!!

綾、琹、由佳、、、梨沙ちゃん、、、

ごめんな!!!

お前らの仇は、、、俺が取る!!!

俺がブルエスター帝国をぶっ潰す!!!!!!!!!

アロイスザン!!!!!

よくも、、、、よくも、、、、

朱理を!!!!!!!!!!!は??

何だ。」


再び猛烈な頭痛が襲った。

しかも先程より激しく、アレイスターの脳内を苦しめる。

血みどろに赤く塗られた真っ赤な液体が流れると同時に辺りは真っ暗になり再び処刑台が映る。

処刑台で首を切り取られた朱理の遺体は何度も何度も斬り裂かれてゆく。

斬り裂かれた四肢や胴体の一部はグツグツに煮えた鍋に放り込まれてゆく。


「もう頼む!!!これ以上、、俺に幻覚を見せないでくれ!!俺はもう見たくないんだよ!!!!やめろ!!!!!朱理!!!!

頼む!!!!!!


アレイスターはそう叫ぶ。

頭が四つある鮫の魚人がバラバラに調理された朱理の四肢を喰いつくすと、一気に炎が上がったのであった。

燃え尽くすように口から炎を噴き出すとその炎で朱理の四肢を焼き尽くしてゆくのであった。


そしてアレイスターはとある事を思い出していた。

その様子を見たアレイスターは更に更に絶望してゆく。

記憶は薄れていき、曖昧になった。


アレイスターはソフィアへ聞こうとした次の瞬間、再び幻覚が現れた。朱理の幻覚はアレイスターの側へ来ると、小さく囁くように言うのであった。そしてその真実は耳を疑うものであった。


「違うの、、、違うの、、鮫じゃないの、、、、、、」


鮫じゃない。

一体どういう事なのか。

だがアレイスターにとってその言葉は理解できなかった。


違うとはどういう事なのか。

綾達や朱理を喰い殺していたのは鮫の魚人達であった。

彼らは核弾頭を放ち船を焼き尽くし生き残った人間達を生贄として食べていたのであった。


所謂捕食者であった。

ふとアレイスターはその場を見渡した。

朱理の幻覚が消滅すると朱理の言葉の意味を理解した。


「アレイスター、一体どうしたのです?変わり果てた世界が映ったのですか??

また幻覚が映ったのですか??その幻覚は一体??」



「鮫じゃないって、、、鮫じゃないって、、、一体???」


「アレイスター、、私はあなたとは初めてあったのではありませんか?

忘れないで。

前にあなたと私があっているのならば、、恐らくそれは違う世界の記憶。

時間を遡っていたのではありませんか??

でも何度目であろうと私にとってあなたが好きであることは変わらないのですから。」


ソフィアの発言には、否定の気持ちと愛情の気持ちがあった。

確かに思い出せば、ソフィアに会うのも初めてでは無いかもしれない。

またソフィアにそっくりな顔をした皇女にかつて会ったことがあるのも。

もし彼女が別人ならこの世界は4回目の世界。アレイティ帝国には4回来ている事になる。


「俺は、、時間遡行者。朱里って誰だ???」


その時ふと恐ろしい音が聞こえた。

刻々と近づいてくる足音にソフィアは身を潜めた。

アレイスター時ソフィアの元に近づいてきた足音はピタリと鳴り止むと斧を下ろす恐ろしい音が聞こえた。


そして少女を床に投げ下ろした。少女の姿を観て、アレイスターは驚愕の声を上げた。


「ドリステン???まさかあいつが、、、、、あいつが連れ去ったのか???」


そして恐ろしい咆哮と共に巨大な鮫魚人が姿を現した。鮫魚人は3つ頭を持つ魚人。ミエスタで対峙したヨハネス・リーであった。

読んで頂きありがとうございます。

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