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第3幕ー2

真夜中のふふふ。


 ヴァルデンス・ユーグベルトは一気にソードの能力を解放した。すると炎に包まれ炎の渦が巻き上がり、一気にエスタールの方へと接近した。エスタールは握った剣を使い呪文を唱えた。すると氷の結界が巻き起こったがそれをヴァルデンスの炎の渦はかき消した。


「何??私の氷が効かないだと???」


エスタールは困惑した。それはあまりにもヴァルデンスの能力が強すぎる故だった。炎の渦はエスタールを包み込むと、エスタールの周囲が次々と爆発した。


「爆破煉道ー炎渦翔!!!」


ヴァルデンスの炎に巻き込まれたエスタールは上空へと移動すると再び氷の剣を生成すると、次々と氷の剣は増えて増殖した。そして増殖した氷剣は、一気にヴァルデンスに向けて放たれた。

(この氷の剣は、マイナス300度近くに冷やした氷剣。この男に効かぬはずがない!!!炎など砕いてやる!!!!)


だがそこへベレドゥール・ローデンベルグが現れた。ベレドゥールは、ソードを構えると、赤黒い斬撃が放たれたその攻撃を食らったエスタールの氷剣は1つ残らず掻き消された。


「くそ!!!!」


「なんて事だ。油断したわ。まさか幹部が2人も出てくるとは想定外だったわ。全く、覚えていなさい。まああなた達などアロイスザン様は相手にもなさらないと思うけど。」


そう言い残すと、エスタールは姿を消した。一気に氷が熔けて冷気が姿を消した。ベレドゥールは間一髪、負傷しそうになったヴァルデンスを助けた。ベレドゥールは鞘に剣を収めた。


「危なかったな、ヴァルデンス」


「すまぬ。ベレドゥール。間違いない、艦隊は壊滅した。鮫の城にまで歩いて向かうしかないのか??」


クワイガンは聖剣人の圧倒的な強さに屈服した。これから先、魚人と対峙しなけばならないのに何故、新たな敵に、闘わなければならないのか。


「こんな状況なのに、何故、聖剣人などと闘わなければならないのか。おいアミャーダあれは聖剣人だよな。」


「間違いないですね。あれは聖剣人。アトランティスの魔族が作り出した聖剣を手にした魔術師。恐るべき能力の使い手。魚人を操っている奴らで間違いないです。」


アミャーダは表情を固くするとそう言った。そしてそんな中、クワイガンとアミャーダの周りに複数の村人が集まってきた。そして村の中の1人の男がクワイガンへと尋ねた。


「あなたはもしかして勇者様ですか??」


その男は村長らしき男であった。クワイガンを勇者と呼ぶ村長らしき男にクワイガンは疑問を抱いた。ここら一体は、ブルエスター帝国の小さな村が存在しており、そこには何人かの村人が静かに暮らしているようであった。


「お兄ちゃん、その格好、帝国の勇者様なんでしょう??」


「帝国の勇者、、とんでもない。俺はただの出兵中の軍人だよ。そういう君は??」


クワイガンは少女に質問した。少女は、6歳くらいの可愛らしい容姿をしている。


「ちょっと、そう簡単に自分たちの素性をばらしてはダメよ。」


先ほどの戦いで負傷していたドリステンは、クワイガンへと忠告した。軍人である以上敵国に自分達の存在を知らせてはならない。それほど、機密事項であったのだ。


「私はコニーよ。宜しくね。お兄ちゃん達、アロイスザン様を倒しに来たのでしょう??酷いんんだよ。アロイスザン様の命令で聖剣人はいつも悪さをしにくるの。」


少女は喋る。そう。コニーの言う通りならこれは悪魔である聖剣人を目撃している為重要な話になってくる。


「ダメだぞ。コニー。それ以上の追求は、自らの命の危険に繋がりかねないぞ。勇者様、申し訳ございません。この辺りではアロイスザン様の悪口を言うものならば、魚人の生贄にされてしまうのです。」


村長は恐るべき事実を口にした。それは、アロイスザンに歯向かったものが迎える恐ろしい末路である。生贄という単語に、クワイガンらは恐怖を感じた。


「ちょっと待てよ、、、それって奴の悪口言った奴は、、喰われて殺されるってことかよ。」


デビットは怒りを顕にして、声をあらげてた。


「村長、詳しく教えてください。魚人と奴らの秘密を。」


クワイガンは村長へ質問した。村長に案内されてクワイガンは、コニーという少女の家に連れられた。ベレドゥールは、クワイガンらにグループに別れて行動をするように、言い放った。


「よろしい、これより、グループに別れての行動を許可する。」


コニーの家に到着したクワイガンとドリステンは少女の家の作りに感慨深さを感じた。

村長は、クワイガンに恐るべき事実を語り始めた。


「あなたがアレイティ帝国から来ているという事実を何故私達がご存知でいたか。ソフィア皇女がそう予言されていたのです。そしてあなたが素晴らしい程の能力の持ち主であるという事も。」


「予言。やはり、この世界の事も、全て予言されていたのですね。しかし何故私なのですか??数ある勇者の中でも何故私を。」


クワイガンは何故自分が選ばれた勇者であるという事実が聞きたかった。もしかしたらソフィアには、予知夢のような能力が存在しているのかもしれないのではないか。


「あなたはバミューダトライアングルをご存知かな??大西洋のバミューダ沖に眠る深淵の場所。幾多の飛行機や船を食い物にしてきた魔の3角海域。バミューダトライアングルの存在を。」


「聞いた事があります。船や飛行機が消えてしまう。」


クワイガンはその事実に聞き覚えがあった。そして魔の3角海域の存在と聖剣人の存在。恐るべき謎が明かされようとしている。

クワイガンは軍隊へ入所した直後に魔の三角海域、通称バミューダトライアングルの謎を、ドリステンから聞いた事があった。昔アトランティスの遺跡があり、そこに、魔族の国があったという事も。


「俺は聞いた事があります。鬼核弾と呼ばれている恐ろしいミサイルの存在を。それは、国中を脅かし、地球を死の星へと壊滅させる恐ろしい兵器だと。それだけでは無いです。聖剣人の存在も、、奴らは、、聖剣人とは何者なのですか??」


「奴らは、、聖剣を使い、、人間の力を手にした魚人の集まりです。聖剣、、それは、、魔族が作り出した、帝国の最終兵器なのです。

魚人は驚異的な生命力を誇り、この聖剣でなければ、、魚人の核を破壊する事はできません。

つまり奴らは死んでも、、生き返るのです。

聖剣は、人間の未知なる境地、しかし魚人達の手に渡ってしまった以上、どうにもならないでしょうね、魚人は魔術を使うことはできません。でも、聖剣を手にすれば、恐るべき魔術を使い、、帝国を滅ぼすでしょうな。」


村長は、、、警告した。その目付きは今までの彼の表情と一変していた。その様子を見ていたクワイガンは聞き返した。


「まさか、、聖剣人が動き出したのも、、バミューダの海底火山の噴火が関係しているのでは無いのですか。海底火山の噴火により、、ブルエスター帝国が活動を開始したのならば、、ブルエスター帝国が戦争を初めたのもアトランティスが原因ということですね。」


「そうだ。アトランティスは恐ろしい。でも、まずは、、ブルエスター帝国のアロイスザンと、魚人達の城を破壊して頂きたいのです。我々も協力致します。ソフィア皇女を助けて頂きたい、、勇者は貴方しかいないのです。」


村長の通告はクワイガンへと重くのしかかった。鬼岩城を破壊するという最大にして最強の任務が刻々とクワイガンの心を刺激していく。


その晩、、クワイガンは一人で小屋の外で剣を握っていた。もし核ミサイルが陸上へ投下されたらと考えると、落ち着いていられなかったのだ。その恐ろしさに、身も心も震えるばかりであった。そんな中、、ドリステンは、小屋から目を覚ました。エスタールの攻撃を喰らい、ひどく痛みが消えなかったが、喉を渇いたので、、水を飲みに来たのであった。


襲いかかる危機難題にクワイガンの心は、憔悴しかけていた。そんな中、偶然起きていたドリステンは、アクワイガンが気になりクワイガンに話しかけた。


「クワイガン、、こんな時間に何してんの??」


「ドリステン、、ドリステン、、、いてもたってもいられねえんだよ。俺は、、明日には、サメ魚人の城へ襲撃すると思うと、落ち着いてられたくてな。」


クワイガンは剣を下ろすと、ドリステンへとブルエスター帝国に対する自分の思いを話し始めた。かつて自分が、思っていた陸上人と海底人の価値観の違いや、それに朱理が死んだ事など、とにかくドリステンに聞いて欲しかったのだ。


「俺は、この世界で育った事がないから湖底人の気持ちは分からない。でも一つだけ言えるのは、やっぱり争って欲しくはないって事だ。陸上人だって、何度も行われた昔の戦争で、多くの人が失われ死んだ。多くの犠牲と絶望しか生まれないのは俺だってわかってる。でも解決できないこの問題にどう立ち向かえばいいのかさっぱり分からなくて。」


「そうね、、そこまで抱え込まなくてもいいんじゃないかな。あなたは十分、考えているよ。

私なんか目の前で魚人に親殺されて、復讐するために軍隊に入ったのにその目標すら達成できてない。それがほんとに虚しくなるし、どうしようもなくなるよ。」


笑いながらも心の奥の悲しみを押し殺しながらドリステンは喋った。


「前言ってたよな。一体何があったんだ。」


以前ミエスタで、親を殺された事を話していたのを思い出したクワイガンは、ドリステンへ聞き返した。するとドリステンは自分の悲しき生い立ちを喋り出した。


「私が、、8歳の時だった。私はミエスタからは少し離れた街、ガズブル出身だった。そこで家族4人で幸せに暮らしていたわ。お父さんは、戦争の経験がないのに、激しくなっていく戦争の影響で、出兵を余儀なくされた。お母さんは反対したのよ。家族を見捨てて、、命を奪われかもしれない戦争に行くなんて、、父親として私達子供を守るべきなんじゃないかって、それでお父さんとお母さんは連日喧嘩していた。でもお父さんは言うことを聞かなかった。出兵してそして死んだの。でもね、、私が聞いたのはもっと恐ろしい事実だったのよ。お父さんは戦争で死んだんじゃない。捕虜となって魚人に食われて殺されたってね。それはお父さんから来た最後の手紙だった。魚人に殺される1週間前、、そのような手紙を送ってきたわ。でも、、それがきっかけで私の街は、、ガズブルは狙われたの。私は学校に行っていて、襲われなかったけど、その間にお姉ちゃんとお母さんは、、魚人に食い殺されたわ。

あなたには分からないでしょうね。目の前で親と家族を殺された経験なんかないんでしょうから。そうやって私達は馬鹿な争いを続けて、、滅亡の糸を辿って。。私はね、、復讐に全てを注いできたの。魚人を殺す。それに、私達はアトランティスの民なのよ。いくら人類を殺す兵器を作ったって陸上人のあなたにとっては、私達の祖先のアトランティスの民が、悪魔かもしれないけど、、そんな言い方はいくらなんでも酷すぎるわ。ムーをめちゃくちゃにするような悪い連中かもしれない。でもね、?全てのアトランティスの人々がそうだとは限らない。私の父も母もそういう人々だもの。馬鹿な私達の祖先がやってしまった大きな過ち。。だから滅亡なんてしない。絶対にしない。地球は、私達の手で、、、守る。魚人を、、ブルエスター帝国を止められるのは私達だけなのよ。こんな馬鹿な戦争のせいでお父さんもお母さんも死んで。。だから私は復讐の為だけに生きてきたのよ。」


その言葉を聞き、クワイガンは、驚愕したというより、怒りを抑えられなかった。


「そうやって復讐に囚われたら身を滅ぼすだけだ。いいか、憎しみに憎しみを重ねたってな、、なんも産まれないんだよ。

お前言ってただろうが、、、平和な世界作りたいってよ。孤独なんかじゃねえ、、お前には仲間がいるだろ。俺たちや、、それに、、みんなだって、、お前は一人じゃねえさ。なあせっかくここまで戦ってしたんだろ。俺だってそうだ。

大事な人を亡くして辛い気持ちを乗り越えてそれを糧にして、でも必死に生きてるのさ。

勝手におこがましいうざったいかもしんないけど、辛い時に助け合って、笑い合う仲間がいる。それだけで孤独なんかじゃねえんだよ。

だから孤独なんて思うな。俺たち仲間を信じろよ。なあ。」


クワイガンは、ドリステンに対して、、強く呼びかけた。ただそれを聞いたドリステンは、再び昔の悲しい過去を思い出して1人で、クワイガンに反論するのであった。家族を失った悲しみを知らないクワイガンに対して、彼女は強い怒りをぶつけた。


「勝手な事言わないでよ。身寄りもない、兄妹もいない。辛い時支えてくれる家族も失った私に仲間仲間、なんてそんなのやめてよ。

あんたに分かる??8歳で目の前で親殺された子供の気持ちがさ。どんなに願ったってもう戻ってこないんだよ。笑う事も、喜んだり、悲しむ事もなんもできないんだよ。私がどれほど辛かったかあんたに分かるの??

仲間っていうのは確かに一緒に笑ってくれたり喜んでくれたりする。それは嬉しいし、それで助けられる事もある。でもどんなにそうやったって所詮血は繋がっていない他人。ほんとに信じてくれる家族がいないなんてやっぱり孤独なんだよ。私たちの祖先が、馬鹿な核兵器なんか作ったせいで多くの人が死んで、私はそんなの耐えられない。やっぱり私達の祖先は、は悪魔当然なのかもね。」


「悪魔なんかじゃねえさ。皆道を間違えただけだよ。だって考えてみ。元々は同じ人間だぜ。

種族は違っても共に助け合う、そうやって世の中のバランスは成り立っているんじゃねえか。

自分達の過去の過ちが起こした結果がこういうのに繋がったけど、だからこそ立ちあがんなきゃいけねえんじゃねえか、俺たちの次の世代にこんな事は起こさせないようにさ。だから俺は、レオペエウスが悪魔だなんて思ってねえよ。だからお前も復讐なんかに囚われるな。自分を強く持って、本当のお前の心を取り戻すんだ。きっとできるさ」


「うるさい!!!お前なんかに何がわかる。あたしのきもちなんかわかりもしないくせに。ふざけんな。あんたなんか魚人に殺されればいいのよ。」


ドリステンはクワイガンの頬に強烈なビンタを食らわせた。その強烈なビンタは、クワイガンの心にグサッと響いた。冷たい風と共に、、ただただ痛さだけが残っていた。

読んで頂きありがとうございます。

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