第3幕ー1
18日後、親衛隊が一同に集められた。軍服へ着替えた、アレイスターとドリステン・リーズリ、アミャーダ・ローヴェン、そして、デビット・ポーター、クロス・レッサーは、そして大尉と総合司令官の2つの業務を行うこととなったヴァルデンス・ユーグベルト。ベレドゥール・ローデンベルグを迎えて、待ちに待った侵攻が始まろうとしている。アレイティ帝国の巨大艦隊、ヴェセクロウに総勢、200名近くの兵士達が一斉に乗り込み、サメの城を襲撃する。そして城の崩壊後は、アロイスザンが居る城郭へと侵攻する。誰しもが不安を抱えていた。
これから3日程かけて、ブルエスター帝国の鮫の城を攻撃する。そして城が崩壊した後は、ブルエスター帝国の本拠地であるアロイスザンの城郭を襲撃する。
艦隊、ヴェセクロウは一斉に汽笛をあげると、出兵した。
「これより艦隊、ヴェセクロウは出兵する。長い長い闘いになる事を了解して欲しい。3日後には、鮫の城を攻撃する。常に危険な場所だ。自分の命だけでなく仲間の命を守る事を最優先にして欲しい。」
ベレドゥール・ローデンベルグは艦隊の隊員達に呼びかけた。ベレドゥールは、今回の出航の最高責任者を務めている。ヴァルデンス・ユーグベルトは今回の侵攻にあたり、親衛隊の隊長を任せられた。ブルエスター帝国への侵攻は、これで3回目だが、魚人の城を攻撃するのは、今回が初である。
クワイガンは窓の外から、眼下に広がる街を見下ろした。
「俺たちが普段近くに感じていた街がこんなに、小さく見えるなんて、、、世界が小さく感じるな。」
ふと眼科に広がる街が、小さく写ると、煙が上がっているのが見えた。核ミサイルにより崩壊したミエスタの街が見えてきた。
ミエスタは、崩落した廃墟のように煙が上がり、クワイガンはため息を着いた。
しばらく経つと街並みが変わってきた。どうやら国境を越え、ブルエスター帝国に入ったらしい。一気に中世の遺跡のような街並みへと変化していく。
「まもなく、ブルエスター帝国の最初の街。クサヴェンヌだ。」
ベレドゥールがそう言うと、突然、艦隊が襲撃され、左翼が爆発した。轟音が鳴り響き、爆風が広がった。サイレンが一斉に響き渡る。
「なんだ??何が起きた??」
「敵襲です。国境近くに配備されていた迎撃部隊に攻撃されたのだと。」
「くそ、、これは!!!」
ベレドゥールが悔しがる中、ヴェセクロウの右翼は物凄い勢いで爆撃されていく。そして爆発の煙は、一気に押し寄せ、煙が上がっていく。
クワイガンら訓練生はヴェセクロウの異変に気づき、慌てた。
「落ち着け!!!訓練生共!!!
瞬間移動で安全な外へと避難するのだ。
くれぐれも、慌てない事だ。」
ベレドゥールとヴァルデンスは大声で叫び続けたが、炎はガラスを突き破ってきた。
国へと侵攻した事で迎撃ミサイルが放出され、一気に艦隊は焼に包まれていく。そして迎撃ミサイルを放ったのはブルエスター帝国の巨大艦隊であった。その名は「レオティーク」である。
レオティークにはアロイスザンが乗船していた。アロイスザンだけではない、ブルエスター帝国の殺戮部隊が、一気に乗り合わせていた。
「ちくしょう、、一体どうなってやがんだよ。
いきなり出兵初日からこんな事って。まさか魚人か?」
ベレドゥールとヴァルデンスの命令通りにクワイガンら訓練生は一気に、アビリティを発動させると、外の地面へと瞬間移動をした。
凄まじい勢いで燃えるヴェセクロウは、次々に撃たれ込むミサイルによって墜落した。
その様子を見ていたクワイガン、クロス、、ドリステン、デビット、アミャーダの表情は青ざめていた。
「私達の船が、こんな事になっちゃうなんて。酷すぎるよ。」
ドリステンは驚愕した。このままでは魚人の城へと辿り着かないのではないかと心配したのだ。だがそんな心配をせぬように、クワイガンは言った。
「大丈夫さ、きっと歩いてもいけるに違いない。だから。」
「見つけたわよ。獲物を。」
突然背後から謎の女の声が聞こえた。そしてクワイガンの身体を女の剣が切りつけていた。
クワイガンは倒れた。ドリステンらは、一斉に後ろを振り向いた。そこには、1人の女が立ち尽くしていた。
女は、濃い青色の短髪に端正な顔立ちをしていた。そして剣を所持している。姿は魚人というよりは人間に近い姿をしていた。
その様子を見かねたデビットは、女に対して、睨みつけると、ソードを取り出した。
「誰だ。てめえは??」
「あたし??あたしは魚人では無いとだけ言っておこうか。まあ所謂、聖剣人。ブルエスター帝国の傭兵部隊。私の名はEの頭文字を与えられし『氷の談笑』、エスタール・ヴィネットよ。教えてあげるわ。鮫野郎よりは遥かに能力が上だって事をね!!!」
エスタール・ヴィネットは聖剣を抜くと物凄い勢いで凄まじい冷気が溢れ出した。そしてその冷気はデビットに襲いかかった。そして地面を伝った氷の結界は一気にクワイガンにも襲いかかった。
だがクワイガンはソードを抜いた。ソードから出た赤い閃光は氷の結界を跳ね返した。そしてクワイガンは体制を整えると、一気に剣を抜き、エスタールへ斬撃を放った。
氷の結界を一気に破壊して、エスタールへと向かっていく。だが再び氷は生成され、攻撃は外れる。
「アミャーダ??あいつらは一体??魚人の上にあんな奴らが???」
「間違いありません。奴らは、ブルエスター帝国の魔術師の集団。アロイスザン直属の殺戮部隊、聖剣人です。」
「まさか魚人の更に上にそんな奴らが??」
「なんだか知らないけどあいつの氷はあたしがぶっ潰してあげるわよ。」
ドリステンは、ソードから電撃を貯めると、一気に振り下ろした。彼女の電撃は大きく竜巻を起こすと、氷の結界へと突進していく。
氷は破られ、破壊されていく。
「ナイスだ。ドリステン。こんな氷は俺が溶かしてやらあ!!!!」
クワイガンは、ソードに一気に力を貯めると、氷を一気に溶かしていく。そして氷の中心にいるエスタールの目の前に瞬間移動すると、エスタールの剣と、クワイガンの剣は激しくぶつかり合った。
激しく剣がぶつかり合う度に火花が散って行く。
「言えよ。。お前らが、魚人を操って、アレイティ帝国を襲ったのかよ!!!」
クワイガンは、険しい表情でエスタールへと問い詰める。それに対してエスタールは、痺れを切らして言う。
「あたしは街の襲撃には、なんの関係もないわ。とりあえず、アロイスザン様の命令によりブルエスターに侵攻してきた馬鹿な軍隊共をぶっ殺すように指示を受けただけ。国の秘密はあんた達みたいな雑魚には教えてあげないけどね。まあ教えてあげるわよ。とりあえず、魚人にすら立ち向かえないだろうって事をね。さあ集まるがいい。あたしの氷の可愛い可愛い、、、子供達。覆い尽くせ『絶雹蛾』」
エスタールがそう唱えた瞬間、巨大な氷の塊が一気に雹として集まると、親衛隊の隊員の方へと飛んでいく。そして集められた雹は巨大な蛾の形を生成すると蛾の翼からは氷の鋭い剣が生成された。一斉に吹雪が上がると氷点下マイナス50度近くの冷気が放たれた。
「ちくしょう!!!!寒い!!!!!」
ドリステンの身体に冷気が吹き付ける中、ドリステンは必死に冷気に耐えながら、ソードに貯めた電撃を一斉に放出する。
「サンダー・ストライザー!!!!」
ドリステンは、放った雷撃をエスタールの凄まじい冷気は、一瞬にして揉み消した。そして氷の剣は、ドリステンの身体に突き刺さった。
「ドリステン!!!」
クワイガンが叫んだその瞬間エスタールの姿は背後に移動していたそして一気にクワイガンへと斬撃を振り下ろしていた。
「その女と同様あんたの身体も氷漬けにしてあげようか。」
凄まじい冷気が吹雪のように押し寄せると、クワイガンの身体の半分は既に氷漬けになりそうになっていた。見かねたヴァルデンスは、アビリティソードを構えて、エスタールへと斬りかかった。
「いい加減にしろ!!!炎翔六火砲!!!」
ヴァルデンスのソードから炎が上がると一斉に氷が溶解していく。クワイガンとドリステンを追っていた氷は炎により溶解していく。
「中々やるじゃない??あんたはこの男の上司みたいだけど!!!随分派手に遊んでくれたみたいだけど。覚悟して起きなさい。あんた達人間では太刀打ち出来ない事証明してあげるから。」
エスタールは再び剣を握った。




