第2幕ー5
あーー暑いなあ。涼しくなんねえかなあ。
ベテルギウス・クロゥリーは、100名近くの、軍人達をアクアポリス湖底基地の体育館に集めて、徴兵式を行った。
そこには、選ばれたクワイガン、アルフレッド、アミャーダ、クロス、そしてドリステン・リーズリは正面に立ち演説を行おうとするベテルギウス・クロウリーを見あげた。
「諸君、集まってくれた事に非常に感謝しよう。本日より20日後にブルエスター帝国の魚人の城への侵攻を開始する。諸君らは親衛隊として、魚人の城へ奇襲を仕掛ける。
もちろん命が100あっても、足りないのであろう。何故なら、諸君もかつて闘ったように、
魚人の力は恐ろしい。もちろん、我々も応戦するが、並大抵の軍人では奴らに立ち向かえない。私は諸君の強さを見込んだからこそ、諸君は選出されたのだ。感謝して欲しいとは言わんが、気持ちは理解して頂きたい。敬礼!!!」
演説を聞きながら、デビット・ポーターは欠伸をした。そしてもうクワイガンが入隊して7ヶ月が立ったこそを受け入れられず、デビットは、ぼそっと口を開いた。
「お前が入ってから7ヶ月とか早いな。時が経つのは、早く感じるぜ。なあクワイガン。
俺はやっとこの時を待っていたぜ。家族を殺した、あいつらを魚人をぶっ潰す。その為に、ずっと待っていた。」
あの日、兄を魚人に殺され、家族もブルエスターの魚人に殺害されたデビットは、復讐心に燃えていた。全ては、魚人の殲滅の為に、親衛隊に選出される為に必死に毎日特訓した。
「俺もだ。やっと、朱理の仇を取る事ができる。全ては、朱理をこんな目に合わせたアロイスザンを抹殺することに意味があるからなあ。」
クワイガンは心の中でひとつの決断を下していた。それは、暗黒面に囚われないという、強い意思の現れだった。
「俺達、皆、家族を魚人に殺害されている。
家族の仇が打てなければ、俺には軍人でいる資格がねえんだ。だから、皆も同じ思いだろうな。」
訓練生を含めた100人近くの大軍勢で、ブルエスター帝国へと出兵する。そして20日後の、出兵の前に、19日間の休暇に入る。
クワイガンは流石にその休暇で解放されたかった。
式の夜、クワイガンはベッドで寝ていた。
出兵に向けて不安な気持ちが出てきた。これから、一体どうなるのか、考えるだけで、不安だった。鮫の城への侵攻。すなわち、命を投げ出すという事を意味する。余りにも、危険すぎる気がする。
その時、部屋のドアがコンコンとなった。クワイガンはベッドから出るとそこにはドリステンがいた。
「ドリステン、、一体どうした??こんな時間に。」
「クワイガン、ねえ、バーに飲みに行こう!!ここから少し歩いたとこにあるのよ。バーカウンターがさ!!」
ドリステンから呑みに誘うのは珍しかった。どうしても、酒を呑みたいとの事だった。
クワイガンは歩いて、バーカウンターへと向かった。クロスアンジュというオシャレなバーにやってきた。
「マスター、、あたしソルティドッグね。お願い!!」
「俺はブラッディ・マリーで!!」
バーのマスターは注文された通りにシェイカーを振り、カクテルを作っていく。クワイガンはカクテルを呑むのが好きだった。
それは公平だった時から変わっていない。
「ねえ、あんたブラッディ・マリーとかカッコつけすぎじゃない??もうクワイガンはすぐカッコつけようとするんだから。もう。そろそろ教えてよ。陸上人だった時の恋バナとか。。」
「なんでそんな事なのよ。それより、俺は出兵の方が不安だよ。これから、鮫の城へ向けて、出兵なんだからさ。普通に命落とすんじゃないかってさあ。。。」
クワイガンは不安を吐露した。そう今の彼に取って、不安なのは魚人との戦闘なのである。7ヶ月前に大戦した魚人には歯が立たなかった。
「そんな事言ったら、あたしだって同じよ。怖いのは皆同じなのよ。でも、私はひとつ踏ん切りがついた気がするなあ。だって、家族を殺したあいつらに魚人に復讐できる。魚人は憎い。あいつらさえ殺されば、あたしは死んでもいい。」
グラスに入ったソルティドッグの最後のひと口を口にして、ドリステンは怒りを露にした。
「あんた達、、、、デート???ねえねえ、あたし達も混ぜてよ。」
「クワイガン、、ドリステンと仲良く呑んでるなんて楽しそうだねえ。」
見覚えのある声がした。ルーシーとエヴェッタの声がした。2人も偶然このバーに来ていたみたいだ。
「お前ら、、、違うわ!!!たまたま偶然だわ!!!!それよりお前らも呑もうぜ!!!」
そして、ルーシーとエヴェッタも加わり、4人で楽しく呑む事になった。既にクワイガンのお酒も4杯目を周り、酔っ払い始めたクワイガン。
やがて呑みが終わると、酔っぱらったクワイガンを抱えてドリステンは、クワイガンの部屋まで連れて帰った。クワイガンは寝ぼけながら、朱理の名前を口にしていた。
「あ、、朱理、、むにゃ~~~、あへぇぇぇぇ~、、、」
酔っ払って、潰れているクワイガンを心配したのかドリステンは呆れた。
「全く、あんた強いと思ってたけど意外と弱いのね。もう何が俺、ブラッディマリー!!よ。
カッコつけちゃってさ。もうしっかりして、そんなんじゃ、ヴァルデンス大尉にしばかれるわよ。」
ドリステンは、部屋を開けさせると、クワイガンをベットまで放り出した。
「ここでいい。じゃあまたね。おやすみ。酔っぱらいさん。」
「お、おう」
クワイガンは、そのままベッドに横になって寝てしまった。そしてそのままぐっすりといい気分で睡眠を取り始めた。
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