第2幕ー3
ベテルギウス・クロウリーはヴァルデンス・ユーグベルトと、べレドゥール・ローデンベルグを呼び出した。昨日の激闘で鮫魚人らは多くの兵士達を喰い殺して退散した。ガルディエ・ロウらは退却した。
「クワイガンになぜ真相を気付けさせるような真似をしたのだ!?クワイガンとクロスは心に多大なる傷を負っている事を知っているのだろう!!全く何度も言ったはずだぞ。特にクワイガンは帝国の未来の鍵を握る程重要な役割なのだ。その復讐で暗黒面に囚われば、もう終わりなのだ。魚人の奴らはブルエスター帝国と手を組みアレイティ帝国を狙っている。」
ベテルギウスは机から立ち尽くすと怒鳴り散らしながら机を叩くのであった。机に散らばった無数の書類が床に落ちるとベテルギゥスはパイプを吹かしたのであった。ベテルギゥスの部下にあたるヴァルデンス・ユーグベルトは頭を下げて謝罪した。
「申し訳ございません。ベテルギゥス大尉!!私も最善を尽くしたのですが帝国の者共にはなんとしてもこの事実が知らされぬよう、、、」
「もしそうならば、、、ユーグベルト、、お前も生贄の対象となるぞ。我がアレイティ帝国の背後には魔導理事会が存在する。お前の立場も権力も魔力も全て奪えるのだぞ。」
それに加えて、ルナティエ・リヴェルデ・ドン・ラヴォン=ルディもこう答えた。
「これでは、ブルエスター帝国を負かすことはできぬな。クワイガンの強いアビリティがいずれは予期せぬ方向へ向かっていく。いずれは国家を巻き込むほど恐ろしい何かをな。ところで、クロアチア理事会からの使者はまだか??」
ルナティエがそう叫ぶと、1人の魔道士が現れた。アレイティ帝国には、魔術を使える人間が存在しており、この帝国におけるライフラインを賄っているの90パーセントが魔術によるものなのである。
魔道士の名は、ゲルハード・リオペレェッタである。クロアチア理事会の代表として礼装術師である。
「クロアチア聖教は、これまで湖底軍隊と協定を結んでいなかったけど、ルナティエ様からの命令で、陸上人を記憶消失させるはずだったのに記憶を取り戻してしまうとは想定内だったはすですがね。私の魔術を使えば1発ですのにね。」
ゲルハード・リオペレェッタは、自信をありげにそう言い放った。
「私の失敗でした。お許し下さいませ!!!アレイスターは今後も監視しておきます。暗黒面に落ちぬためにも!!!」
ヴァルデンスはゲルバードへ頭を下げた。
そのまま地獄の朝訓練を行わなければならない。ヴァルデンスは心を入れ替えると、放送室へ向かった。
「朝の5時半前だぞ!!訓練生共、起きろ!!!起きろ!!」
ヴァルデンスの怒号が響き渡るとクワイガンは目を覚ました。怖い夢を見ていた中だったので余計ヴァルデンスの怒号が恐ろしく聞こえた。
「昨日の今日でまだやんのかよ。」
クワイガンは、起き上がったが、傷が痛んだ。そんな中、めまいが襲った。急激な吐き気が襲ってきた。クワイガンは、あまりの気持ち悪さに、嘔吐したが出てきたのは、血液だった。
「まさか、俺は、感染したのか。放射能に。くそ、どうしたら。」
クワイガンは休もうとしたが、再びヴァルデンスに怒鳴られるのを想像すると、休むわけにはいかないと思い、ランニングシャツに着替えて、体育館へ向かった。
「大尉、すみません。今日のランニングなのですが、、、、」
「なんだ、まさかサボるというのか。そんなことは許さんぞ!!甘ったれるな。昨日あれだけ戦ったらかと言ってな、気を抜くことは許さん。ちゃんと毎日のことも考えてランニングはやれ。いいな!!返事は!!」
「はい!!」
クワイガンは、大きく返事した。ヴァルデンスは、明らかに厳しかったが、クワイガンは、昨日のヴァルデンスの行動を見てたおかげで印象が違っていた。
クワイガンは他の訓練生達と一緒にランニングを開始した。
「おい、てめえらよ。手抜いてるとぶっ殺すぞ、この野郎!!!!ああ????、昨日の今日だからって誰が手抜いていいって言ったんだよ。フォームきちんとしろっつたじゃねえかよ。真面目にやれ!!!!!!!!!!
ドリステン・リーズリ、エヴァンス、デビンス!!!!!」
ヴァルデンスの怒号は体育館中に響き渡った。あまりにも昨日とはうって変わった恐ろしい剣幕に終始俯きながらも訓練生達は走り続けた。
汗も溜まり、クワイガンは朝からのめまいによってランニング中に倒れてしまった。
「クワイガン!!!!」
ドリステンは叫ぶと、ヴァルデンスに詰め寄った。
「あんた最低よ。なんで部下がこんなになるまでやらせんのよ!!!!」
「なんだと????貴様、、、、減らず口を叩くんじゃねえ。こうなるのは、貴様もわかってんだろうが。舐め腐った態度とってると、殺すぞ、、、、ああああああああぁぁぁ????????」
ヴァルデンスはムチで、ドリステンをひっぱたいた。
「おい、デビンス、アルフレッド!!!!クワイガンを保健室へ連れていけ!!!!それ以外はランニングを続行しろ!!!」
するとドリステンはヴァルデンスの頬をひっぱたいた。
「この体罰野郎!!!!」
「先輩、もうやめて下さい!!!!大尉に対して失礼です!!!!」
アミャーダは、ドリステンを必死に止めに入った。ヴァルデンスは厳しさの中にも優しさがあった。しかしドリステンは全ての怒りをヴァルデンスへとぶつけなければ気が済まなかった。女性に対する体罰など総合的に見ても湖底軍隊のやり方に納得がいかなかった。
クワイガンは、救護室へ連れて行かれた。意識を失ってからはっと目を覚ました。
「お久しぶりね、クワイガン君。」
「あなたは、ミーナ先生??」
それはクワイガンが爆発に巻き込まれた時に手当てをしてくれたミーナ・ラヴィンツェだった。
「しっかり覚えておいてくれたのね。」
「あなたも上層部と同じなのですか。記憶を消すために俺の事を!!」
「違うわ。私は、あなたの味方よ。あなたには生きてもらいたかった。アロイスザンみたいな奴に命を奪われるなんてそんな残酷な事、私には理解できない。本当に沈没のことを聞いた時は、可哀想だった。あなたのことが。」
「先生、、、、教えてください。魚人は、あいつらはどうして人を襲うんですか。あいつらと戦って、俺全くわかんなくなって。どうしたらいいのか。あいつら強すぎますよ。」
「奴らは、人間を食わなければ生きていけない。あたし達が食事をしなければ生きていけないのと一緒。奴らは人間を喰う事で成長する生き物なの。だから食べ続けなければ死んでしまう。だけどあまりにも数が多すぎる。下手すればこの湖底基地までもが奴らの支配下になってしまう。」
「そんな、鮫の魚人に襲われたんです。でも頭が三つあって、あれは一体。」
「それは俺が説明してやる。クワイガン!!」
「ベレドゥール大尉!!」
救護室には、ベレドゥール・ローデンベルグが入ってきた。ベレドゥールは、魚人の秘密そしてガルティエ・ロウら、鮫魚人の事を淡々と話し始めた。
「鮫魚人は、魚人の頂点に君臨する最も恐ろしい奴らだ。お前も見ただろうが、奴らは人間を喰らい、下手すりゃその力を使うこともできる、しかも戦闘能力も他の奴らに比べて馬鹿にならねえほど強い。しかもその中でも多頭系は、恐ろしく凶暴だ。俺たちも驚いたんだが、おそらく多頭系の元を辿れば、魚人を作り出す遺伝子が何らかの暴走を起こしたんだろ。それによって本来は、二匹、あるいは3匹で生まれてくる奴らが一匹として生まれた。ただし頭だけは三つや4つあるな。しかも他の魚人を食っていくことで頭も成長を続ける、下手すりゃ頭の数が増え続けるっていう恐ろしい現象にもなりかねない。ガルティエ・ロウ、それが多頭系の鮫の最高幹部魚人だ。俺たちは奴を殺す事が最優先なんだ。それに俺達の把握する限りでは鮫魚人の背後には鯱もいるって話だからなあ。」
「あんな奴らと、戦って行かなければならないんですか。俺たちの目的は、人々を助ける事じゃ??」
「俺たちの力じゃどうにもならねえことはある。だから俺たちはマリンアビリティを使って奴らを殺すんだよ。お前は、強いアビリティを持っている。だから訓練して、より強い力を手に入れろ。そのためには、俺たちもサポートする。」
「わかりました!!」
クワイガンは、冷静に、返事を出した。




