第2幕ー1
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ブルエスター帝国には城郭がある。そこにはソフィア・アレンツァーという皇女が住んでいた。しかし現在はサメの城に幽閉されている新たに皇帝となったユリウス・カーロイドによりベルディエ・ガーやヨハネス・リー、ガルディエ・ロウらがいる多頭系の城に囚われた。
先代皇帝の崩御により、皇帝への譲渡権を失ったソフィアは現在も城の奥深くに幽閉されている。
そして魚人の上には聖剣人が存在する。彼らはAからZまでの26の数字を与えられた聖剣士でかなり戦闘能力を鍛えられた、殺戮部隊として魚人からも恐れられている。そんな彼らは魚人より遥かに強い人間だ。
アロイスザンは城郭に26人の聖剣人を集めた。彼らは、魚人と異なり、人間であるため、容姿端麗な男や女が多いのも特徴の1つである。
「集まったか、聖剣人の者ども!!魚人軍隊がアレイティ帝国の軍隊と接触したとの事だ。ガルディエ・ロウ、ルンファン・トゥエクスらが戦ったらしいが、かなり手強い相手だとのことだ。」
アロイスザンは26人の聖剣人に呼びかけた。
それに反応するかのように、90キロ級の格闘系聖剣人のボルガン・ザールタは、口を出した。
「アロイスザン様よぉ、そいつらを倒せば俺たちに報酬は入るんだよな。まさかそんな雑魚を俺らに倒せって言いてえんだならよぉ。ある程度の金はもらわねえと引き受けねえからよぉ。」
ボルガン・ザールタは拳を叩きつけた。
エスタール・ヴィネットは冷静沈着に口を開いた。彼女は水色の髪をなびかせ、顔半分をマスクで覆っている。
「陸上人と言ったな、今回の私達の獲物か。」
「でもさ、でもさ、ガルとかが、絶対倒してくれるって私は信じてるよ。だって私たちこの国の聖剣人だよ。外の世界の人と戦うなんてあたしは嫌だなー。」
ヴィーガン・ヴィータは、天真爛漫な笑顔で口を開いた。腰までの茶髪を揺らしながら、言った。
「おいおいー俺たちで陸上人をぶっ潰したじゃねえかよ。核ミサイルをわざわざ投下してよ、ヴィータの能力上昇で極限まであげてよ。船を沈没させた。」
「エクソキスの全虐殺のおかげだよ。うざい陸上人達を全員殺しちゃえばそれほどお金も手に入るからねえ」
ヴィータの能力上昇とエクシキス・リューヘンジャックの全虐殺の魔術を与えたところ、核ミサイルの威力は格段に上がった。それにより確実に陸上人を殺すことが可能になった。
「あーあー、とりあえず金だ。最悪魚人をぶっ殺してでもやれば、美味い飯くらいは食えるからよ。あーなんか腹減ったよな。」
毒舌のクライス・ゲールシェルタはお腹を空かせたのか焼き鳥を口にした。
「あー焼き鳥あたしも食べたいーー」
ヴィータは、クライスが焼き鳥を食べている様子を見て、食べたかった。
「いいか、無駄口を叩くな。お前たちの役目は魚人がアレイティの部隊に倒された時のアレイティの人類を滅亡させることだ。いいな。」
アロイスザンは、厳かな口調で聖剣人達をまとめた。ブルエスター帝国の城で、聖剣人達の野望が動きだそうとしていた。
その夜、クワイガンはベッドで思い出していた。あの爆発事故が起きてミサイルで艦隊が沈む前に最後に言ったあの言葉。それが朱理にとっての生前最後の言葉になってしまったのだ。クワイガンを苦しめた。
『ねえ、公平、結婚してって言ったら、聞いてくれる??』
あの時、ちゃんと言っておけばよかった。琹にちゃんと伝えてれば、どうして本当の気持ちを伝えなかったのか。しかし今からではもう遅い。琹は核ミサイルによって死んでしまった。
「ごめん、朱理、琹、綾、、由佳、、梨沙ちゃん、、皆んな本当に、ごめんな、、、、」
琹を助けられなかった事を、クワイガンは悔やんだ。そしてその夜、クワイガンは、泣き続けた。
ただただ泣き続けた。涙でベッドが濡れていた。
室田公平はふと大学時代を思い出した。まだ皆んなが生きていたあの日々。大学では、男子、女子に問わず、友達も出来て楽しい生活を送っていた。
大学では、生物海洋学を専攻していた。
そんな中、大学生活の花形とも言える、彼女を作るという行為を怠っていた公平にとって、恋愛をするという行為自体が憧れであり叶えたい夢であった。高校時代から恋愛には無頓着であった公平の夢が叶ったのは大学に入ってすぐに払拭できた。村尾由佳と付き合って初めて彼女ができて公平は嬉しかったのだ。大学の同級生4人も付き合う事になるとは当時も思ってもいなかった。
大学2年生の時、ゼミに所属すると、初めて後輩の女子が入ってきた。その中でも打ち解けた後輩の女の子は2人だけだった。当時結城綾と付き合っていた公平は仲良さそうに女子と喋ると綾と喧嘩になってしまうのが悩みだった。
9月のゼミの講演の打ち上げで初めて加納梨沙という名前の白髪の女の子であった。彼女もチャレンジャー号の犠牲者の一人であった。
「室田先輩ですよね。良かった。やっと喋れました。覚えてませんか。私のこと。ちっちゃい時に近所に住んでて、よく遊んでくれた。」
「もしかして、加納梨沙ちゃん??
梨沙ちゃんなのか???」
公平は思い出した。小学生の時、近所に住んでいた一人の白髪の少女。公平が、中学2年生で転校する時に、離れ離れになってしまった。
「当時仲良く遊んでましたよね。家も近所で近くの公園で、一緒にドロケイしたりブランコ押してくれたりしたの覚えていますよ。中学も一緒でしたよね??」
「そういえばそうだったね!市川中だったね。俺は確か水泳部で梨沙ちゃんは吹奏楽部だったっけ??思い出した。懐かしいね。トランペット吹いてたよね??」
「吹いてました!よく覚えてますね!!
私ド下手くそだったのに、、覚えています?
私が、先輩にラブレター書いたのとチョコあげたのを。。」
「あーー、、、思い出した。貰ってたわ。
それにあの下駄箱に入っていたラブレターに返事書いたっけ!そうだ。同じグループで遊びに行ってたっけ!ラウンドワンとか」
「彼処は今はもう無いんですよ。駅前のラウワンは都市の再開発で無くなってしまったんです。それより覚えています?あの最後の挨拶と先輩がくれたチョコのお返し!!」
中学2年生の時、公平は両親の転勤の都合で、転校することになってしまった。最後のお別れの挨拶をする為に、引っ越しをする3日前に訪れていた。
公平は、梨沙に挨拶をした。これでもう会う事は二度とないだろう。そう思っての事だった。
梨沙は涙を流していた。
『じゃあ梨沙ちゃん、、今までありがとね。』
『先輩、、、、』
梨沙は当時公平が好きだった。公平の事を考えると夜も眠れない日が続いたのであった。精神的に辛い状態が続いていた。
『梨沙ちゃん、これを。今までありがとう。』
公平は、お菓子を渡した。またどこかで出会えたら、、ただそれだけの思いで、今までの感謝の思いと、公平なりの優しさであった。
そんな梨沙と、6年の月日を得て、大学で再開するなんて、夢にも思っていなかった。
「先輩があの時、最後にお菓子をくれた時は、私ほんとに嬉しかった。当時先輩の事本当に好きだったんですよ。先輩が行ってしまった日の晩も泣いていたんですよ。」
「そうだったのか。そうやって好きでいてくれて嬉しかったよ。でも良かった。まさか大学が一緒になるなんてね。」
「それにゼミが一緒になるなんてね。私も思っていなかったですよ。先輩、注ぎますよ。ねえ先輩って好きな人とかいるんですか??ねえ、教えてくださいよ。」
加納有紗は、ハブハイを片手に、ほろ酔い気味に言った。確かに公平は、言われてみれば、女っ気がゼロに近かった。これまで彼女などできたことがない。高校生の時も、仲良かった親友の女子がいたが、告白して振られてしまうの繰り返し。公平は、それ以来自分から告白できなくなってしまったのだ。
「今はいねえよ。そこまで出会いもないしなー。」
「嘘ですね。先輩絶対好きな人いるでしょ。もしかして朱理先輩じゃないですか。ねえーー、、教えて下さいよ。」
「ちげえよ。まさかな、、今は彼女いるからさあ。。」
「綾先輩ですよね。最近どうなんですか??
上手くいっているんですか?ゼミも一緒なんだったら気まずくないんですか?」
「別にそんな事はないけど、、でも毎日顔合わせてるからお互い不満みたいのは結構あるよ。まあでもそれで喧嘩もするしさあ。でも、、、本当は、、、、」
そう公平は本当は朱理が好きだったのだ。由佳とも綾とも栞とも付き合ったけど、心の中には朱理がいた。大人しくて、清楚系な朱理がずっと好きだった。違う。。俺が本当に好きなのは、、、そう由佳も綾も琹も付き合っていくうちに思っていたのは公平が自分達を本当に好きなのか疑問に思うようになった。3人は公平が大好きだったのに、、、公平はいつも違う人が好きなのだ。
チャレンジャー号の事故の後、、朱理と公平は何度もデートを重ねた。その日も9月10日だった。朱理と付き合って一年の記念日であった。
横浜みなとみらいを訪れていた。朝の満員電車の中今日は1日デートに行こうと決めていた。
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