第1幕-8
ベルディエ・ガーの凄まじい炎に巻き込まれてゆく中で、ヴァルデンス・ユーグベルトに対してアミャーダは、質問した。
「ヴァルデンス大尉、、教えてください。クワイガン先輩とクロス先輩の事を、、」
「駄目だ。まだこの事を教える訳にはいかん。これは、国家機密なのだ。これがバレれば我々の存在を陸上人に知らせる事になるのだ。」
「話してください!!帝国の為です。アレイティ帝国の為に。。」
「そうか、全てを話そう。奴らはブルエスターの核ミサイルにより陸上人が乗っていた艦隊からやってきた。ミエスタに落ちた核ミサイルとは別に撃たれたもう1発のミサイルが陸上近くで暴発したんだ。それによりその付近を通りかかった艦隊は壊滅した。陸上人は奴とクロスを除く全員が死んだんだ。もちろん奴を救護した時に記憶を調べさせて貰ったよ。奴の恋人もその艦隊に乗っていて死んでしまった。もし俺たちが奴から記憶を奪わなければ嫌でも恋人が死んだという事実を知ることになるだろう。だが奴から記憶を奪ったんだ。それがやがて、、暗黒面へと変われば、、、恐ろしい事になる。」
その事実はあまりにも残酷であった。クワイガンにとって、朱理の存在がどれほど大切であったか。
「俺もかつて家族を皆殺しにされてな、大切な妻と子供を目の前でなぶり殺しにされた。俺は復讐に復讐を重ねた。殺したヤツらをこの手で殺す為に、この力を手にした。復讐は、人の心を支配する。強い憎しみが溜まればそれは暗黒面への転落へと繋がる。アビリティが強ければ強いほど暗黒面へは、落ちやすいんだ。クワイガンのアビリティはかなり強い。何がなんでもそれだけは避けなければならない。」
クワイガンは、アビリティソードを強く握りしめた。朱理が死んだという事実とあの悪夢のような光景が頭の中を駆け巡り、強い憎しみへと変わった。その憎しみを全身から吐き出すと一気に爆発させた。
「ぶっ殺してやる!!!よくも、、よくも俺達の仲間を、、、何の罪もない陸上人達を、、、綾やる友達を、、、朱理を、、、、返せ!!!!!!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その凄まじい程にまで荒々しい憎しみはどす黒い渦へと変わると、クワイガンの全身を包み込んだのであった。強い憎しみの炎は塊へとなると、クワイガンはゲルディ・ジャックへと襲いかかっていった。ゲルディ・ジャックは襲いかかるように持つ大剣を回転させるとクワイガンの後方に瞬間移動をした。そんな中ゲルディ・ジャックは右手に大剣と左手に巨大な機関銃を生成すると、クワイガンに向けて砲撃を開始したのであった。凄まじい弾丸がクワイガンの身体を掠めてゆくと弾丸の雨は、クワイガンの身体を蝕んでゆくのであった。そんな中、ゲルディは1匹の魚人に機関銃を手渡すのであった。
「ミルフォード!!後はてめえに任せるぜ!!!この陸上人を食うなり、、ぶっ潰すな好きにしやがれ!!!!」
そう言い残すとゲルディ・ジャックはその場から姿を消すのであった。
「待て、、、待ちやがれ!!!」
クワイガンが必死に叫び尽くしたが直様クワイガンの身体を高速弾丸が貫通した。
ミルフォードと呼ばれた機関銃を所持しているその魚人は、舌を這いずり回しながら、機関銃を放ち尽くしてゆく。
「良いぜ、、、ゲルディ・ジャック!!!!!良いじゃねえか、、、てめえ、、、久しぶりにテンション上がったじゃねえか!!!!さあ致命傷となる傷はまだ与えちゃいねえぜ!!!!陸上人、、闘いと行こうじゃねえか、、、てめえをぶっ潰すためのな!!!!!」
ミルフォードは鋭利な剣を生成すると一気にクワイガンへと斬りかかってゆく。クワイガンは直様アビリティソードを生成すると赤黒い閃光が一気に光った。その赤黒い閃光はクワイガンの剣先であった。
ミルフォードとクワイガンの剣のぶつかり合いが激化していくと高速剣術が炸裂してゆき、激しい火花が散ってゆく。
「おいおい、、最高じゃねえか、、、久しぶりにテンションが上がったじゃねえか!!!やっぱり人間をぶっ殺すっていうのは気持ちが良いもんじゃねえじゃか!!!いはははははは!!!!」
「どうして、陸上人を大量に殺した??答えろ!!」
「そんなものは、決まってんだろ!!。人間共に対する恨みって奴だよ。工場排水を垂れ流しにし、このカスピ海を汚すような汚ねえやろう共なんかに生きる資格はねえ。それになアロイスザンは、取り戻そうとしているかつての俺たちの故郷、アトランティスをな。そのためには邪魔な陸上人を抹殺する事から開始するだろうが。」
ミルフォードは、力で圧倒された剣先に圧を込めた。
「俺は、人を食い殺す事に全てを注げて来た。だからな沈没した船から陸上人共を食い殺してわかったのさ。遥に爆発を直に食らったやつの方がうめえってことがぁ!!!」
ミルフォードは血相を変えて剣を持つとアレイスターの方へ駆け寄った。
剣先から黒い閃光が溜まっていった。
「ふざけるな。俺はお前らによって大事な彼女を殺された。死ぬのはお前らの方だ。」
クワイガンのアビリティソードに赤い閃光が一気に溜まった。クワイガンとミルフォードの剣と剣が一斉に激しくぶつかり合うと辺り一面に火花が散った。
しばらくしてミルフォードの剣先はクワイガンの鋭い斬撃によって折れ曲がった。
「そんな筈はねえ。どういうことだ。どうして俺の剣が、こんなクソガキに!!!うっあーッ!!!」
ミルフォードは、口からどす黒い血液を吐いた。凄まじい斬撃は、ミルフォードの身体を掠めていた。
「クワイガン、、よくやったな。こいつは俺が殺す!!俺が大尉として責任を持つ!!辛い思いをさせて悪かったな。さあ貴様覚悟
しろ!!」
ヴァルデンスはミルフォードに向けて怒鳴りつけた。他の訓練生も一斉にミルフォードへ銃を向けた。
ヴァルデンスがアビリティソードを構えて、ミルフォードを処刑しようとした瞬間、ミルフォードの心臓を巨大なガンランスが貫いた。一瞬の出来事に訓練生の一同も言葉を失うばかりだ。
3つの頭のサメ魚人の幹部の男、ガルディエ・ロウのガンランスであった。
「てっめえ、、、、ガルディエ・ロウ!!」
ガルディエ・ロウはミルフォードを処刑したのだ。
ガルディエ・ロウは、ガンランスを引っこ抜くと、ベテルギウスの方へやってきた。
(なんだ、、こいつ。なんで頭が3つもついてやがるんだ。さっきまでの奴らとは桁が違う。まさかこいつらが魚人の幹部。)
ガルティエ・ロゥと呼ばれた3つ頭の鮫魚人は、喋り始めた。
「他の奴らには、通じないみたいだから日本語で話そう。我こそが、3つ頭を持つ魚人の幹部、ガルディエ・ロウだ。この馬鹿に変わり、貴様らの相手をしてやろう。貴様らは、アロイスザン様の命により、処刑が決まった。ミルフォードに変わり我がそのクワイガン・アラハルトを処刑する。」
「Τη στιγμή της καταστροφής του κόσμου, είναι καθήκον μου να αφαιρέσω τις μνήμες και να σπάσω το τέλος του κόσμου, το ιδανικό, το τέλος του κόσμου. Όλα πρέπει να καταστρέψουν τον κόσμο με καταστροφή.
(世界の破滅の時、記憶を奪えし、世界の終末、理想を壊す事が私の役目、世界の終末。全ては、破壊すべきことで世界を壊すということだ。)
」
ガルディエ・ロウの1つめの頭は日本語に続いて、ギリシャ語を話した。
「ふざけるな、そんな理由のために俺の大事な部下を殺させてたまるか、クワイガン!!待避だ!!!奴は危ない。逃げろ!!お前達もだ!!!早くしろ!!」
「しかし大尉だけにそんなことは!!」
「早くしろ!!危険だ!!!俺以外に他のやつもいる!!!まだ訓練生のお前を傷つけるわけにはいかんからな!!」
ベテルギウスはクワイガンらを待避させた。
クワイガンは他の一般訓練生と共に、ドーム外へ退避した。そこには先ほどクワイガンが励ました少女が立ち尽くしていた。




