第1幕ー6
ブルエスター帝国の奥地のディエクシ城の内部の一室に、一人の甲冑を身につけた男が佇んでいた。その男の名前はアロイスザンと言った。ミズーリとチャレンジャー号を沈没に追い込んだ張本人である。
「アロイスザン様、多頭系鮫魚人共が、ミエスタのドームに到着後、ドーム内に侵攻を開始したとの事です。増援部隊を要請した方がよろしいのでしょうか?」
「船の沈没に関してどう責任を取るつもりだ。
ミサイルを発射した事により、陸上を巡航中の戦艦や船まで沈没したらしいでは無いか??」
2人の男が交互にアロイスザンに話しかけた。ブルエスター帝国の国防大臣であるミリアム・クロイツはアロイスザンへと質問した。甲冑を付けたその男は、厳かな声を挙げた。
「ミエスタに落下させたミサイルの影響で沈没とは流石は鬼核弾の影響は凄まじいものだ。流石は最新の技術で開発されただけの事はあるものだ。威力が違う。最新の技術を詰め込み開発した技術の結晶だ。」
アロイスザンが見つめる先には、女のような姿が横たわっていた。焼け焦げている遺体であった。その女性が一体誰なのかは分からない。焼け焦げた遺体は顔の識別ですら難しい程、変わり果てていた。
「その女は??」
「沈没した船からの拾い物さ。
女の死体が浮かんで来てな。どうやらこの死体こそ私が待ち望んだ遺体らしいな。まあいい、、アレイティに乗り込んだあの馬鹿な陸上人の奴もそのうち殺すまでだ。室田公平!!!
如月良一!!!!」
アロイスザンは不敵な笑みを浮かべた。彼が持つ水晶のような透明な球体には、クワイガン(公平)とクロス(良一)の姿が写し出されていた。
その一方でドームでは、凄まじい音を立てて壁が崩落し始めたのであった。クワイガンがドームの外部を見渡すと、折り重なるように倒れ尽くす機動隊の隊員らの死体が目に止まった。首を喰われて血液が大量に飛び交う死体の山にクワイガンは呆然とした。
「そんな機動隊、、全滅だと!!!くそ!!!」
「こちらベレドゥール、、応答せよ!!!
機動隊、、狙撃部隊!!!応答せよ!!!
機動隊、、増援を頼む!!!!」
ベレドゥール・ローデンベルグは、必死に連絡する中、クワイガンの頭を不意に頭痛が襲ったのであった。ミズーリでの悪夢のような光景が急に頭を過ってきた。それだけではない。チャレンジャー号での事も、思い出したくない映像が地獄のように頭にフラッシュバックしてゆく。必死にしがみつき、助けようとしていた朱理の姿が頭をチラつかせた。
(朱理、、、朱理、、、俺は朱理を助けようとしたのに、、、何故だ!!!俺には、、思い出せない!!!朱理って一体誰だ!!!!
あの日カスピ海に俺は新婚旅行に行きたいと言ったんだ!!!俺が、、連れて行かなければ、、、朱理は!!!!!)
(公平、、、、、やめて、、、、助けて、、、、、熱いよ、、、、、)
全身に火傷を負った朱理の顔が頭をよぎった瞬間、クワイガンは猛烈な頭痛に襲われたのであった。その頭痛にクワイガンは悶え苦しんだ。
そんな時、クワイガンの背中に大剣が刺さったのであった。一気にクワイガンの背後から大量の血液が流れると、大剣を持った鮫魚人の男は笑みを浮かべてクワイガンに叫び尽くすのであった。
「おいおい、たくさん撃てば撃つほど、死体の山が増えるって事だったのによぉ、、たまんねえなあ、、陸上人、、てめえを待ってたんだぜ。」
「なんだ、、、お前は???」
「あん??自己紹介しなきゃいけねえのかよ???そんなものはいらねえんだよ!!!
じゃあまずは手始めに死ねよ!!!この糞ガキが!!!!!」
鮫魚人の男は、大剣をクワイガンの身体から抜くいた。クワイガンに猛烈な激痛が襲うとクワイガンは血を吐いてその場に倒れ尽くしたのであった。鮫魚人の男は、クワイガンを蹴り飛ばしたのであった。
「クワイガン、、逃げて!!!私が相手するわ!!!」
次の瞬間、ドリステンは雷剣を抜くと、ゲルディに斬りかかったのであった。凄まじい電撃がゲルディ・ジャックを襲ったのであった。
周囲に雷撃の竜巻の如く集約すると、ゲルディの身体に電撃が襲った。
「サンダー・ストライザー!!!!!!」
「おいおい、、電撃使いの女か!!!てめえそこの糞雑魚を守る為に、ムキになってんじゃねえか!!!だがな、、俺の身体は電撃を通さねえ、覚えときな、、ゴッド・オブ・へヴィテラス!!!!」
ドリステンの雷撃を男は、大剣で跳ね返すと高笑いをあげた。そして瞬間移動をするとドリステンを殴り飛ばしたのであった。
「おいおい、クソ雑魚じゃねえかよ!!!おいおい、、所詮はそんなもんかよ!!!そんな雑魚なんか喰ったって美味しくはねえだろうがよ!!!!あはははは!!!!!!!!」
鮫魚人の男は大剣を回転させると、一気に凄まじい衝撃波がドリステンの身体を襲ったのであった。ドリステンは吹き飛ばされると廃墟の壁に激突した。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!痛い!!!」
「ドリステン、、しっかりしろ!!!!
てめえよくも、、ドリステンを!!!!!」
クワイガンは、傷を押さえながら、鮫魚人の男に対して斬りかかった。アビリティソードの赤い閃光から斬撃を放ったが、鮫魚人の男はその斬撃を手で揉み消すとクワイガンを斬りつけた。鮫魚人の男は、クワイガンの髪を掴むと壁に押さえつけるのであった。
「おいおい、、てめえ、、クワイガンとかいう名前だったな、、俺の名前は、、ゲルディ・ジャックだ。てめえ、、アロイスザンから聴いたぜ。元陸上人だろ??」
「クワイガンから、、手を離せ!!!!」
その時、アビリティソードを持ったクロスがゲルディ・ジャックに向けて電撃の斬撃を放ったのであった。アビリティソードの刀身は黄色く鋭く光ると、辺りの砂を巻き込み電撃の渦となったのであった。その渦は、ゲルディ・ジャックのいる周辺で爆発したのであった。クロスの全身に大剣が突き刺さるとゲルディは串刺しのようにして投げ出した。
「貴様!!口を慎め!!!撃て!!!!」
機動隊の男らの声が響くと、銃を所持した機動隊らの男達が一斉に銃を構えるとゲルディに向けて弾丸は何発も発射された。そんな中、クワイガンは、ボソッと口にするのであった。
「あいつは、、、どうして、、俺の名を???」
「邪魔だって言ったよな!!てめえら、、、俺の大剣は盾のようになるって知らなかったのかよ!!!どんな攻撃だって効かねえんだよ!!!さあ、、いくぜ!!!てめえら全員、、俺の餌にしてやるよ!!!」
ゲルディ・ジャックは一気に口を鮫頭の口を開けると、口の中から破壊砲が集約したのであった。光は一点に集中すると肥大化していった。肥大化したその破壊砲は砲弾となり、ゲルディ・ジャックの口から放たれた。機動隊の盾を破壊砲は吹き飛ばすと周辺から爆風が上がったのであった。
「おい、、クワイガン・アラハルト、、てめえに言ってんだよ!!!てめえ、、艦隊の爆発事故から生き延びたんだってなあ!!!まさか、、あの事故で死んだ陸上人は俺が喰い尽くしてやったのによぉ!!!三田園朱理じゃなかったか??てめえの大事な女の名前だ???死ぬ直前も言ってたぜ!!!公平、、公平ってなぁぁぁ!!!それだけじゃねえ!!!7年前に焼け焦げた女4人の遺体をバラバラにして噛み殺してやった時もよ!!!そいつらは公平助けて、、、朱理助けてってずっと叫んだたんだよ!!!まさか俺の餌になるとも知らずになあぁぁぁぁ!!!!!いはははははは!!!!!!」
「朱理、、、朱理、、、4人を食い殺しただと????」
「今日ではっきりわかったぜ!!てめえが乗ったミズーリとかいう艦隊に核ミサイルを撃ち込んだのさ!!!1人残らず陸上人をぶっ殺せって命令だったからよぉ、、、そんな中で美味そうな女を見つけたのさ、、、そいつは、、熱い熱いって、、死にそうになるくらい叫んでたんだよ!!!公平、、公平って、、、うぜえんだよ!!!てめえら陸上人を見るとぶっ殺したくなるくらいイライラすんのさ!!!表向きじゃあミエスタに落ちたミサイルの反動で沈没した事になっているらしいが実際はそうじゃねえ!!!俺達、、ブルエスター帝国が放ったのさ!!!陸上人をぶっ殺すためにな!!!7年前、、、チャレンジャー号をミサイルで吹き飛ばした時もな!!!!」
その瞬間、猛烈な頭痛がクワイガンを襲った。消された記憶の映像が蘇ってきた。死ぬ直前、琹や由佳、綾、梨沙がスマホに送ってきた写真が頭の中を過った瞬間クワイガンは発狂した。
「やめろ!!!!やめろ!!!やめろ!!!!違う!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!違う!!!俺のせいだ!!!俺のせいで、、、俺が、、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「そうだ!!!てめえが殺したんだよ!!!てめえがその船に誘わなきゃそいつらは死なずに済んだのになあ!!!!あはははははは!!!!!」
ゲルディ・ジャックが笑い散らす中、クワイガンは、地獄の断末魔のように叫び尽くすのであった。




