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第1幕ー3


 アレイティ帝国の街のミエスタには、3つ頭の鮫魚人が沢山彷徨いていた。彼らは破滅の帝国(ヴェルディ・フェローズ)所属の鮫魚人達だ。その殆どが多頭系である事からトリプルヘッドジョーズと呼ばれていた。その中も幹部クラスに強いのが鮫魚人の王であるガルディエ・ロウである。3つ頭を持つ多頭系は1つ頭の単頭系と異なり独自のコロニーを築いて生活していた。多頭系の城郭には、鮫の城郭と鯱の城郭が存在する。鮫魚人達は他の鮫を食い尽くす危険があるので他の城に追われたのであった。


「Tez yemək istədiyim yerdir. Yalnız insan oğlanlarını öldürün. Nə qədər yeməsən də.


《ったく、早く食い尽くしたい所だ。人間の野郎共を殺せるだけ殺してな。いくら食っても足りねえんだよ。》」


ガルディエ・ローの副臣であり、3つ頭のアオザメの魚人ヨハネス・リーは、ミエスタで生き残った人々を殺していた。

彼は、薙刀を振り回しながら生き残った市民を斬り殺すと3つ頭を交互に使いながら、食い殺していた。

ヨハネス・リーの目の前には、生き残った少女が三人捕まえられていた。


「お願い、殺さないで!!命だけ助けてください!!」


少女は皆、核ミサイルで両親や兄弟を失った戦災孤児達だった。悲痛な叫びをあげ命の危機を身近に感じてしまった少女達は、ただ己の命が、失われてしまう怖さを感じて、必死にヨハネス・リーの訴えかけたのであった。


「Cavab verməyə ehtiyac yoxdur. Nəhayət ölürəm. Gec uşaq(うるせえ、問答無用だ。とっとも死ね、糞ガキが、)


ヨハネス・リーの3つ頭の内の1つ目の頭がそう言うと、2つ目の頭も喋りだした。

3つの頭はそれぞれ独立しており違う人格を持っており多頭系の鮫魚人達の特徴でもあった。

2つ目の頭は、別の言語を話した。


「ჩვენ მხოლოდ არსებები ვართ, რომლებიც არ დაგვეხმარებიან ცხოვრებას. ძალიან ლამაზია სისხლის ძებნა და მოკვლა და შეშინებული ჭამა.


《僕達はね、命だけは助けてくださいとか、そんな言葉は通用しない生き物なのだよ。血を求め、怖がってる君達を殺して食べる事が大変美しいね。》」


そして3つ目の頭の一言言い放った。


「მოკალი(殺せ)」


「ねえ、やめてよ、やめて、きゃー!!!!!!!」


鈍い音が鳴り響いた。それは薙刀の刃先が少女達の身体を切る時の轟音に近かった。

ヨハネス・リーは鋭い刃先の薙刀で少女3人を斬り殺した。そして首を切り落とすと死体を丸呑みしてしまった。


「Axı, istiridyə həqiqətən dadlıdır. Hmmm, bu uşaq udmaq və yemək yaxşıdır.(やはり、ガキは美味えのは本当だな。ふん、こんくらいのガキは丸呑みにして食っちまうのに越したことねえ。)」


「Hey, tempera, qalanların hamısını öldür(おいてめぇら、残りの人間どもも一人残らず食い殺せ。)」

ヨハネス・リーの1つ目の頭が、残りの2つの頭と、他の鮫魚人達に向けて怒涛の声を上げた。


「ったくよぉ、たかが頭が多いからって威張ってんじゃねえぞって感じだよな。ったく。」

ゲルディ・ジャックは、イライラしていた。

彼は、元々鮫人の幹部的立場であったが、ヨハネス・リー達に、立場を奪われた事が原因だった。


「ったくガキの命をなんか食ったところでどうにも出来ねえだろうが。おい、爺さん標的はどうすんだよ?」

ゲルディ・ジャックは老鮫人のルイーズ・ボーンに質問した。


「ゲルディよ、噂によれば軍隊が近づいているとこの事じゃ。」

ルイーズ・ボーンは、廃墟の上から姿を現した。

ホオジロザメ族の中でも特に老鮫人である。


「ふーん、軍隊ねえ。まためんどくせぇのが来たって訳かよ。」


ゲルディ・ジャックは、立ち上がった。

クワイガンら訓練生達を乗せた車は、ミエスタの被爆者達が、避難しているドームへと到着した。そこは、今回の核ミサイルの攻撃を受け生き残った人々が、いる。


「おい、、これに着替えろ!!!」

ベレドゥール・ローデンベルグは、クワイガンら訓練生に防護服に着替えさせた。外に出ると湖の中とは思えない程、暑かった。

クワイガンはあまりにも暑かったが、中のクーラー装置のお陰で、何とか暑さを凌いだのであった。


「軍人さん。俺達の事はええ。早く重傷な被爆者達を助けてやってくだせえ!!もう何人も医者が到着するのを待ち続けているのがいるんです。頼んます!!!」


1人の老人がクワイガンらに呼びかけた。その老人は被爆の影響か、顔の半分が焼け爛れていた。するとベレドゥールの部下のアニャール・へーヴェルは、老人に説明した。


「分かっています。ただ放射線を浴びてしまっている以上、今現在、除菌する事しか、治療法は無いんです。我々としてどうすれば良いのか。放射線治療の最新施設が被爆により破壊されてしまっている現状です。彼らを助けたいのは山々です。」


「なあこれって、病院が足りていないのか。どう見ても被爆者達の数が多すぎるよ。これじゃいくら救護班が来ても足りねえんじゃねえか。」


クロスは、ドリステンに対してボソリと言った。するとドリステンはクロスに対してキレ気味に言うのであった。


「そんな事は分かっているのよ。戦場なんだから、そんなのは当たり前よ。」


「おいクロス・レッサー!!そんな事は皆、百も承知で分かっている。被爆者に対して失礼だぞ。口を慎め!!」


ベレドゥールはクロスの軽率な発言に対して、注意を促した。注意された事に対してクロスは嫌な気分になった。思わず、嫌味を言い放してしまったのであった。


「は??何で、、俺ばっか???」


クロスは思わず口にしてしまった。そんな中、クワイガンに近づく1人の少女の姿があった。その少女は、クワイガンの方へ寄ると、クワイガンの服を掴むのであった。布切れを纏い、服は熱線により焼け焦げていたのであった。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お母さんを助けて、、お願い。お姉ちゃんも助けて!!」


「お嬢さん、お母さんがどうかしたのかい?」


クワイガンは心配に思いつつ少女に質問するのであった。その質問をするという事は最悪の事態を想定しなければならなかった。


「お姉ちゃんが呼んでいるの。崩れた家で、お姉ちゃんが、家の下から呼んでいるの!!

お姉ちゃんが泣いているの!!泣いているの!!お姉ちゃんを助けて!!!」


少女は次第に泣き始めた。クワイガンは彼女がミサイルで両親を亡くしたという事に気がついた。


「辛かっただろう!なあ辛かっただろう。なあ俺達が、お姉ちゃんの仇を取ってあげるからさ!!!なあ大丈夫だから!!!」


クワイガンは泣く少女の頭を撫でてあげながらそう言った。


「クワイガン、、あんたなんてこと言うのよ!!この子の家族はまだ助かる命かもしれないのよ。それを、、仇を取るなんて何でそんな事いうのよ。ここでは大勢の人が苦しんでんのよ。死んだ前提で話すなんてあり得ない!!!だからあんたなんかが来る所じゃないのよ!!もう二度とそんな事言わないで!!!!」


ドリステンは強く言うと泣き続ける少女を抱きしめるのであった。その時クワイガンは泣き続ける少女にハンカチを出し少女の涙を拭うのであった。


「大丈夫だから、きっと助けてあげるから、だから泣いちゃだめだよ。」


少女の涙を拭った時に、クワイガンの胸に張り裂けそうな強い思いが、強くなったのであった。


同じ頃ドームには航空部隊も到着した。そこには、リリネット、シャルルらと同じ航空部隊であるローガン・ポーターもいた。リネットとシャルルは湖底軍隊隊長のデンスが率いる第1隊と合流した。


「デンス隊長、お疲れ様です。リリネットです。」


「シャルルです。」


2人は交互にお辞儀をした。湖底軍事隊長であるデンスの姿はどこか頼もしく見えた。彼の誇らしい姿を間近で感じたリリネットはデンスに対して尊敬の眼差しを向けた。するとデンスは帽子を脱ぎ、2人に喋りかけた。


「デンスです。湖底部隊がもう少しで到着すると連絡が入ったのでもう少し救護をしてもらって宜しいですか?」


「かしこまりました。」


リリネットはデンスからの報告にお辞儀をした後、溜息を零した。周りを見ると被爆者で溢れ返ていた。


「やっぱりミエスタの街だけじゃ、避難所の数は足りないみたいね。」


「ええ、、これじゃあ助けられる人の避難者の人数にも限りが出てきてしまうわよね。」


リネットとシャルルが、溜息を付いているとローガンは冷えた缶を持って来て、リネットの頬とシャルルの頬に付けるのであった。


「なんだ、なんだ、、2人して溜息なんかついちゃってよぉぉ、、、」


「ローガン、、やっぱりあたし達も医療術が使えたらいいのになあって思っちゃうんだよ。いいのね。あなたみたいにアビリティが使えたらなあ。」


「まあまあ落ち着け!!これを飲めよ!!」


そう言うと、ローガンから渡された缶をリネットとシャルルに渡すと、リネットとシャルルの2人は、ドームの外へと行くのであった。結局、ローガンはこれが2人にとっての最後の姿に取るとは思ってもいなかった。


読んで頂きありがとうございます。

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