第3幕ー1
趣味なので甘く見てね。
ヴァルデンスは竹刀を並べるとデルヴィスとジェレミアを先頭に並べさせた。一斉に全員からの視線が、2人に集中した。鋭い視線と同時にヴァルデンスは冷静に語り始めた。表情には怒りの表情が消えて何と無く冷静になっている様子であるが視線は恐ろしい目付きをしていたのであった。
「これから入隊式が行われる。このアクアポリス士官学校に入学すると同時にアレイティ帝国の湖底軍隊の入隊が義務付けられるのだ。良いな。そして今回新たに3名が入隊した。デルヴィス・リーフィレイア、ジェレミア・エヴァンス、ドリステン・リーズリだ。皆宜しく頼んだぞ。」
「デルヴィスです。色々と大変だと思いますが、宜しくお願い致します。」
「ジェレミアです。宜しくお願い致します。」
「ドリステン・リーズリです。宜しくお願い致します。」
3人が自己紹介をし終わるとヴァルデンスは自分の自己紹介を始めた。
「私は、アレイティ帝国の湖底軍隊陸上支部大尉兼アクアポリス士官学校の教官のヴァルデンス・ユーグベルトだ。宜しく頼んだぞ。御前達3人は新人軍隊員となる訳だが、あと2ヶ月もすれば現地で実戦的に闘う事になる筈だ。いいかここでは何よりも仲間との協力が大事である。誰よりもお互いを信頼し合わなければブルエスター帝国の軍隊は愚か魚人にすら立ち向かう事すら出来んだろう。我々の仕事は闘うだけでは無い。国民の命を、弱い人間の助けると言う事を肝に命じておけ。良いな。返事しろっつってんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!このやろうが!!!!!!!!!!!!!!!!後で来るのだ。リーフィレイア、エヴェンス。後で校長室へ来てもらう。」
「はい!!!!!!!」
総員30名近くが一斉に返事をした。
2人は朝礼後に校長室に呼び出されたのであった。デルヴィスは自分が陸上人であった時の記憶が思い出せなかった。昨日目が覚めてから何より猛烈な頭痛がしていたのであった。
朱理という名前だけは覚えていた。しかし何故か過去の記憶が思い出せなかったのであった。何故か猛烈な頭痛が襲ったのであった。
「こちらへ来い。デルヴィス・リーフィレイア、ジェレミア・エヴァンス。アクアポリス士官学校の副校長であるベテルギゥス・クロウリー様がお呼びだ。私はデリューベルク中尉だ。御前達がこれから湖底軍隊員として入隊して戦闘するに辺り改名を行わなければならない。今御前達に与えられた名前は仮の名前だ。御前達には軍隊員として相応しい名前を授けるのだ。それにより市民権を獲得する事ができるのだからな。」
するとデリューベルクは校長室に2人を案内した。ついついデルヴィスは辺りを見渡してしまった。やはりここが本当に湖の底なのか気になる。
「キョロキョロするな。不審がられるぞ。」
デリューベルクがデルヴィスに注意を促した。
やがて大きな部屋が見えて来た。その大きな部屋に入ると軍隊長の威厳を持つ人物が座っていた。その人物こそがベテルギゥス・クロウリーであった。
「ベテルギゥス様、陸上人を連れて参りました。」
デリューベルクがベテルギゥスに言うとベテルギゥスは険しい表情で口を開いた。
「来たか。陸上人の者共、いやデルヴィス・リーフィレイア、ジェレミア・エヴァンス。本日付けでアクアポリス士官学校に入学してもらったと思うがその条件としてアレイティ湖底軍の陸上部隊として入隊して貰う。ジェレミア、お前には特殊な能力があるとデリューベルク及び医者のヴェディピエールから報告を受けている。良いな。知っての通りこの国は旧南カスピアン王国アレイティ帝国と旧北カスピアン王国ブルエスター帝国と戦争をしている。そしてブルエスターの総統アロイスザンは我々の国の降伏を要求する為にアレイティ帝国の街に核ミサイルを放った。戦争を終結するつもりなのだろう。だがもし負ければ植民地とされ我々の帝国は奴らの者となってしまう。良いか。軍隊員としてお前達は全力で戦って貰うぞ。codeを起こさせないためにもな。途中で手を抜くのは絶対に許さないからな。デルヴィス・リーフィレイア、お前には改名してもらうぞ。」
「はい!!!」
そういうとベテルギゥスは杖のような物を出したのであった。そして催眠魔術のような者をデルヴィスへ掛けた。するとデルヴィスの脳内からデルヴィスとしての記憶が抹消された。
「デルヴィス・リーフィレイア、今日からお前に3つの名前を与える。アレイスター・リーヴィルヘイト、ブレイス・リーヴァルヘイト、クワイガン・アラハルトだ。暫くはこの名前を名乗るが良い。そしてジェレミア・エヴァンス。お前の名はクロス・レッサーだ。これからクロスと名乗るが良い。分かったら返事をせい!!!!!!!!」
「クワイガン・アラハルト。クロス・レッサー、湖底軍隊へと所属をして国の為に、闘う事に賛同するか??」
「はい!!!!!!」
「声が小さい!!!貴様軍人だろうが、そんな声ならば周りに響かんぞ。」
「はい!!!!!!!!!!!!!!!!」
「声が小せえんだよ。てめえ殺すぞ、こら!!!腹から出せよ。、こら!!!!!」
デリューベルクはクワイガン(デルヴィス)の腹を殴りつけた。あまりの激痛にクワイガンは悶絶した。想像を絶する拷問であった。
「これから入隊式を行う。もし参加の意思が無ければ、命は無いと思え。俺が貴様らの命を救ったと言う事に感謝するのだな。」
デリューベルクの拷問はスパルであるが根性を鍛えるにはうってつけであった。
クワイガン(デルヴィス)とクロス(ジェレミア)は、デリューベルクに質問した。
「デリューベルクさん、入隊式はどこで行われるのですか??」
「言葉を慎め。デリューベルク隊長と呼べ。ああ??なんだその態度は??貴様俺に背を向けるとはどう言うつもりだ??」
デリューベルクはクワイガンの頭を掴むと壁へとぶつけた。凄まじい痛みにクワイガンは思わず、本音を口にした。
「痛いです!!!!隊長。」
「軍隊に入ったらな。これくらいの痛みに耐えなければならない。痛いですなどと言っていたらやっていけんぞ。これから大講堂にて入隊式を行う。とっとと向かえでくの棒。」
デリューベルクは怒り口調で怒鳴り散らした。
午前11時になりアクアポリス士官学校にて湖底軍隊の入隊式が執り行われる事となり、総勢200名近くの湖底軍隊員がアクアポリスの軍隊総合基地に移動させられた。全5階建てのドーム型の建物は上から下の階にかけて真ん中のステージを謁見できるように席が配置されているのであった。新人軍隊員及び士官生達は壮大な入場音楽と共に入場し着席した。クワイガン・アラハルト、クロス・レッサー以外は全員湖底人であった。ベテルギゥス・クロウリーが現れると皆一斉に拍手喝采をした。白い軍の制服を着て20センチにもなる無精髭をはやし威厳に満ちていた。やがて拍手喝采が終わると大臣の1人であるルナティエ・リヴェルデ・ドン・ラヴォン=ルディペンが立ち上がり演説台へと上がった。
「新人軍隊隊員の諸君。ようこそアレイティ帝国湖底総合軍隊及び士官学校の世界へ。我が名はルナティエ・リヴェルデ・ドン・ラヴォン=ルディペンだ。これより諸君には軍人としての輝かしい未来。そしてたった一度しかない人生を掛けてまでこの軍隊へと入隊した事を心より歓迎する。我が国アレイティ帝国はかつてカスピ海帝国と名乗りカスピ海の領土全域を支配する大帝国であった。しかし紛争が頻発すると遂には南北は分裂した。かつて大西洋のバミューダに存在したアトランティス大陸は核実験に失敗して国は滅んだ。滅んでもなお、アトランティス大陸の復興の為に身を守ってでもこのカスピ海に移り住みこの国を作った祖先には感謝の念しかない。その時の国王こそユーヴァイス・ウェナブ・アレイティ1世だ。この国王から名を貰い我が国はアレイティ帝国とした。」
大臣は国の伝説を語り始めたのであった。
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