第2幕ー8
趣味爆発の作品です。
その朝、リネットとシャルルは、うるさい目覚ましの音で目を覚ました。アクアポリスの寮でこれからミエスタに向かわなければならないのである。リネットとシャルルは欠伸をすると、冷蔵庫にある食べ物を取った。これから長期戦になる為に腹ごしらえをしていなければならない。
「おはよぉ、、、んぁぁぁあーー、シャルル全然眠れないよーー。あー、ローガンに連絡とっておかないとね。んでさぁ、朝食は、やっぱりパンとジャムだよねー。いつもと変わらない日常。でも不思議よね。なんか、それが壊れそうな気がするの。大きな何かが壊れそうな。そういえば、ブルエスター帝国が遂に、陸上に向けてミサイルを放ったみたいね。なんか陸上の大型艦隊が沈んだって話聴いたんだけどね。」
リネットは食事の支度をしながら、シャルルに問いかけた。するとシャルルは寝起きなのか曖昧な返し方をした。
「どうせ、その始末とか調査も私達航空部隊もやらされるんじゃないかしらね。そうなると余計めんどくさいことになるわよね。ただでさえ忙しいのにね。もうやっていられないのにね。」
朝食が終わると、直ぐに軍服に着替える。そして警報がなるとアクアポリスの総合基地に集合しなければならない。リネットとシャルルは湖底軍隊総合基地の駐在地へと足を赴くとそこには同期でありながらも既に少尉へと位が上がっているローガン・モーヴェンとアルバトス・リーがいた。そして、今回リーネットと同じ航空機に搭乗するシャーリー・ブラウンと、ミラ・ヴェネットもいた。4人は同期であった。
「シャルル、お前、今日は寝坊しなかったんだな。」
アルバトスは、冷やかすように言った。シャルルはかなりの寝坊の常習犯でもあり軍の集まりに遅刻する事もあった。それにより連帯責任で、腕立て伏せや追加のランニングをやらされる事とあった。
「シャルルは、普段は寝坊するくせにこういう大事な時にはちゃんと来るんだからなぁ。お前には常に全力で仕事に望んで貰わないとな。まあほらっ、ちゃんと確認しとけよ。この後の日程表。ミエスタに向かうのは1時間後だ。俺たちは先に向かう。気をつけろよ。ミエスタにあるドームで被爆者達の救護を優先しろってことだ。そのために航空機を手配したんだとよ。まあ多分安全だろ。シールドと貼られているって話だしな。」
すると航空部隊に司令がなった。シャルルとリネット、ミラとシャーリーは2人1組になると、湖底の水中用航空機に搭乗した。
そして合図がなると、5機の水中用航空機がアクアポリス総合基地から飛び立った。
しばらくすると高度2000mまで到達した。、カスピ海の水深は5000m近くまであり陸上まで3000m以上上だ。シャルルは欠伸をした。
そしてふと愚痴を口にした。
「あー、朝から退屈ね。ミサイルの被害を受けたからってまさかあたし達まで行くはめになるとはねえ。」
睡眠不足が関係しているのだろうか。何故か操縦に自信が出なかった。それに対してミラも口を挟んだ。
「あたし達が出勤する意味がわからないものね。あたし達、折角の休みだったのにさぁ。まあ魚人とか出てきたら空から殺すっていうのもありかもね。」
プロペラのエンジンが聞こえると同時に、水泡が出ていた。それだげでなく九十九式機関銃も搭載されている。
「ミエスタまであと何分かしら??」
「あと10分ってとこかしらね。ここから急旋回させて、フルスロットルで行こうかしらね。」
機体を急旋回させると、突然煙が立ち込めて来た。視界が曖昧になった。どうやらミエスタに投下されたミサイルによる爆風が原因で、視界が不明瞭になってしまったのだ。おかげで航路が定まらず、ミエスタまでの到着が遅れそうになってしまった。
「水圧も、気圧も問題なしと、よし航空エンジンも順調、、しかし、酷いわね。煙が立ち込めて何にも見えやしないわよ。」
リネットは、気圧装着や油圧装置をチェックしながら窓を見つめたがミサイル投下による爆風と煙で全く外の様子が見えなかった。
「この航空機は水中を飛んでいるということを忘れないでね。一応私これでも、秘策を考えているんだから。」
シャルルは、一斉に水中放射システムを起動した。すると周りの煙は消えて、視界が少しずつ明瞭になってきた。そして荒廃したミエスタの様子が見えてくるとため息を零した。
「いざとなったらこの機関銃で、ブルエスターの奴らをぶっ殺せばいいって訳でしょ。どうせ上のやつらの考え方なんて、こっちはお見通しよ。これ以上魚人を刺激してどうするわけよ??奴らは超能力の持ち主なのよ。私達のアビリティじゃあ勝ちっこないわよね。」
シャーリー・ブラウンが愚痴を零すと、ミラが今度は意見を言った。
「とにかくやるしかないじゃない??下手すりゃ殺されるわよ。奴らは兵器でとんでもなく恐ろしい威力を持っているんだし、それに核ミサイルを打つような奴らよ。まあ街も見えてきたことだし、更に急旋回と行こうかしらね!!」
シャーリーは機体を急旋回させた。その時無線が鳴った。別の航空機に乗っていたアルバトス・リーとローガンからだった。
「シャーリー!!ミラ!!リネット!!、シャルル!!応答願う。ミエスタの街の様子をデータで送る。いいか爆撃で凄まじいくらい煙が出ているのが分かるだろ。3つ頭や4つ頭の鮫や、6つ頭や7つ頭のシャチの魚人まで彷徨いっているって話だぜ。」
アルバトスは無線を飛ばした。
それに対応するとシャーリーは答えた。
「こちら、シャーリー、なんなのよ。多頭系サメ族にシャチ族までいるってこと??なんなのよ。そいつら。鮫の魚人族が、トップにいるとは聞いた事あったけど、シャチがいるなんて聞いてないわよ。なんなのよ、そいつら??」
「とにかくお前らも気をつけろよ。奴らは超能力者だ。こちらだって殺されるぜ。とにかく血気が荒い集団だ。見つけたらとにかく陸上部隊へ知らせるんだ。いいな。とにかく現状で分かっているサメ族の幹部の奴の名前を知らせる。ガルティエ・ロゥだ。トリプルヘッドシャークだ。」
「了解。ありがとう。アルバトス!!」
シャーリーは、無線を切った。
「ドームまで後10分ってとこかしら??ここから一気に急旋回するわよ。フルスロットルで行こうかしらね。」
シャーリーが操縦桿を握ると左へと機体を急旋回させた。そして窓から荒廃し壊れ果てたミエスタの街と廃ビルが見えてきた。
「酷いわね。これじゃあ。人々が助からないのも当然だわよ。許さない本来私達人間は、争うべきではないのよ。それを身勝手な戦争なんかしてさ。何の利益になるって言うのよ。見て、あそこが爆心地の廃墟よ。あそこでミサイルが爆発したのよ。彼処にビルがあるわ。着陸しましょう。」
操縦桿を握ると、機体は右に急旋回した。一気にミエスタの廃ビル目掛けて、高度を700mまで下げた。そして4人は見るも無惨に朽ち果てたミエスタの街を眼下にして言葉を失ったのであった。
「こんな惨状、理解できない。こんなに朽ち果てた街の中からどれほどの人々達を助けなればならないのかしらね。」
ビルの屋上から見える廃墟と化した街を見つめる4人の耳に不意に助けを求めるような声が聞こえてきた。その声が聴こえるように4人はビルの下を覗くと3人ほどの市民が助けを求めて叫んでいたのだった。
「おーい!!誰か居たぞ!!助けてくれ!!敵じゃないぞー!!!」
「大丈夫ですかー!!今助けますから!!」
シャーリーはビルの屋上から助けを求めている市民に向かって叫んだ。恐らくドアから行った方が見つかりにくいと考えた4人は、焼け焦げたドアから中へと侵入した。
「ちょっとこのビルやだわ。ぐちゃぐちゃじゃない??」
「核兵器が凄まじいのが分かるわね。きっとここにいた人達は何も知らずに亡くなったんでしょうね。ミサイルは何もかも奪っていったのよ。この街に住む人々の生きる希望もね。」
「下の方にいる人達って何人くらいいるのかしら?」
ミラはシャーリーに質問した。人々を助けたところでも飛行機に乗せられる人数には限りがある。するとシャーリーは、答えた。
「今のところ私が確認した所では10人ってとこかしら??でも飛行機に載せられるとしたら4人が限界よ。」
被爆者達の人数に対して飛行機に乗れる人数は圧倒的に足りなかったのだった。
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