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第1幕ー9


その頃陸上世界では一切連絡が付かない、ミズーリのニュースで持ち切りであった。東京湾岸署の北原純一は、ミズーリがカスピ海に沈没し他のでは無いかと本気で疑いをかけ始めていた。北原は、出勤すると、コーヒーを片手に、雑誌を開いた。そこには、キノコ雲が上がる、写真がスクープ写真として写っていた。ミズーリ沈没事故として、大体的に報じられていた。


「全く、これで何度目だよ。前もなんかミサイルが激突して巡航船かなんかが沈んだって事故あったよな。」


北原は、部下の捜査一課の前島良平に、質問した。


「そうですよ。確かチャレンジャー号でしたっけ。乗っていた日本人が4人も亡くなったんですよね。当時、我々も捜査に当たっていたのでよく覚えています。遺族が国へ賠償金を請求しても、事故原因が全く掴めないんですから。噂によれば核実験が行われているとかで核の保有国が責められて大変な事態になったんですから。イスラムが関わっているんじゃないかとかね。」


「確かその亡くなったのって女子大生4人だったよな。そう、、確か、、海洋大学に通ってたって言うな。でもその中の2人って、、」


「あんまり大きな声で言えないんですけど、、結城捜査課長の娘さん達だったそうです。

双子でとても父親思いの子だったらしいんですよ。結城捜査課長は、あの事故は殺人だって必死に訴えたそうです。自分は刑事を辞めてもいい。何としても、、核兵器で自分の娘さん達が亡くなったからって、、国が所属する非核団体に入って、必死に国民に呼びかけて、、やりきれませんよね。結城課長は、あんなに娘さん達の花嫁姿を見たいって言っていたのに。」


前島は当時の捜査資料を出した。2023年10月某日、カスピ海を巡航中だった巡航船チャレンジャー号は、突然、謎の爆発を遂げて沈没した。そしてその際もキノコ雲のような凄まじい煙が上空へと伸びていたという。


「おい、、北原、、前島、、、事件だ。場所は、東京都杉並区。刺殺体が発見されたそうだ。捜査一課に次ぐ。犯人確保だ。」


「はい!!」


警視庁捜査一課課長の結城貞治は、前島と北原に捜査命令を下した。

結城と共に、パトカーを運転する北原は、車で杉並区へと向かった。


「北原、、今日は、俺にとって最も来たくない日にちだ。娘達の命日でな。思い出したくねえさ。俺はあいつらが生まれた時から、2人の花嫁姿を拝んでやるまでは死なねえって、思ってたのによ。あの時、、旅行なんか行くのを止めてりゃ良かったって今でも後悔しているさ。」


「課長、、、、今回のミズーリの沈没の件もやりきれませんよね。一体何が原因で船が沈没したかなんて、原因も掴めないなんて。」


「馬鹿野郎!!!核兵器以外に何が考えられんだ。イスラムの馬鹿な核実験のせいで、娘は死んだんだ。そんなのは、、許される事じゃねえんだよ。いいか、、俺たち人間が、、自分で作っちまたんだ。俺たち人間が戦争なんか起こしたから産まれたのは、多くの犠牲者だ。ドイツもそうだ。ヒトラーがホロコーストなんかやったせいで何万人のユダヤ人が犠牲になった。

戦争なんかやっていい事じゃねえ。何がカスピ海の悪夢だ。俺はそんなの信じねえ。いくら金を要求したって、失ったものは同じなんだよ。死んじまった娘達は二度と帰って来ないんだよ。」


結城は、、辛い思いを北原に話していた。そして、死亡した娘達。そこへニュースが流れた。今回のミズーリの沈没事故に日本人の海兵が乗り合わせていたというニュースだった。

ニュースの記者は写真を出した。室田公平。

結城もよく知っている男だった。


「公平君、、、公平君じゃないか!!!!」


「課長、、お知り合いなんですか??」


「ああ、、そんな公平君が、、、巻き込まれただと、、、、。なんてことだ。

娘達の大学の友達だった子だよ。よく娘達から話を聞いていたし、、娘が生きている時にも挨拶をした事があった。娘達が死んでから、お墓のお参りにも来てくれてな。」


「そうだったんですか。」


「かみさんが病死してからしてから俺は男手1つで娘達を育てた。そしてあいつらは将来は大好きな海に携わる仕事をして俺を経済的に助けたいからって自分から海洋大学受けて、俺は最初は反対したよ。漁師にでもなんのかっつってな、でも聞かねえんだよ。そして後で聞いたら海上自衛隊に入りたかったらしい。そのために海洋大学受けてよ。全く、、何でこんなことになっちまうんだかなぁ。なあ、、後で終わったら墓参りに行きてえんだ。ちょっと付き合ってくれねえか。」


結城は、北原に言った。事件が終わると、パトカーはその足で墓地へ向かった。ここに、結城家の墓があるのだ。結城は、毎年、花を欠かさず持って来ている。


「綾、、琹、、、俺は元気にやってるぜ。

お父さんな、、今は捜査一課課長にまで昇進したんだ。毎日、毎日、上層部に頭下げてな。嫌な事件と睨めっこでさ。お父さんな、、お前達には本当助けられたんだよ。かみさん死んで、、俺も仕事行きたくなくてよ。そんな時でもお前達はあんなに優しく助けてくれてよ。

なのに、何でこんな事になっちまったんだろうな。」


「結城、、、お前、、来てたのか。」

そこへ1人の男が現れた。彼もまたチャレンジャー号の事故で1人娘を亡くしていた。

既に定年退職した元警視で湾岸署の村尾潤一郎であった。


「村尾さん!!!ご無沙汰してます。」


現役時代、村尾には大変お世話になった。また偶然にしろ、村尾の娘と結城の娘達は、大学が一緒で親友同士だったという。


「結城、、そうか、、お前の娘さんも今日が命日なのか。」


「村尾さん、本当にあの時はお世話になりました。村尾さんがいなかったら俺は本当に自殺していたかもしれない。あの時本当に辛かった俺の事を非核団体に連絡入れてくれたのも、遺族の会を立ち上げてくれたのも全部村尾さんのおかげです。」


「結城、、お前が遺族の会を立ち上げてくれてな、今でも子供を失った親達が悩みを相談してくれたりしてくれてな。定年退職後もこうして刑事の仕事に携われるのは、本当に、嬉しい事だ。これはな、娘が好きだった食べ物だよ。

娘の由佳は、餡蜜が大好きだった。」


すると結城も思い出していた。


「由佳ちゃん、、俺も覚えていますよ。よく家に遊びに来てくれましてね。本当にいい子だった。綾と琹とこんなにも仲良くしてくれてね、、、俺、、やっぱり許せませんよ。今回のミズーリだって、、、琹と綾と由佳ちゃんの友達だった子で、俺もよく知っている子が巻き込まれたんです。俺は、、」


「課長、、、その事で今回上層部から捜査依頼があったんです。今回の事故の件で捜査して欲しいって。」


北原は、、結城にそう伝えた。そしてそんな中、、今回の沈没事故に関して新たな調査が出回った。海上自衛隊本部は、イスラム国を含めての核保有国を徹底的に追及した。そして、この事態が国家を巡る一つの事態を巻き起こす。

その夜、結城は一人でコンビニに寄り、ラーメンを買って家に帰った。帰る時間はいつも遅く大体23時を過ぎる。そしてテレビを付けながら寝るという毎日だ。朝、出勤前には2人の写真が入った仏壇を合わせている。そして同じ頃、公平も2人そして亡くなった4人のことを思い出していた。


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