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プロローグ

挿絵(By みてみん)1500年10月某日。

海賊船バイキング号は、カスピ海の大海原を西へと進んでいた。

船長ワトゥサ・バイキングの目的は、金塊と財宝をアゼルバイジャンの港町レロプールへと運ぶことだった。

彼の脳裏には金の山、そして大富豪への道が映っていた。

まさか、あんな大嵐に巻き込まれるとは——夢にも思っていなかった。



「面舵いっぱいーーーっ!!!」

航海士のレオ・クリストフが舵を操りながら、甲板に怒鳴った。


「天気は快晴!風向き北西、風速30ノット!目指すはアゼルバイジャン、一直線だ!」


甲板に立つ乗組員たちは、それぞれの持ち場で忙しく動きながらも、船が快調に進んでいることに少しだけ安堵していた。


「ふふ、こりゃ順風満帆だな」とレオは呟いた。



船長室。

ワトゥサ・バイキングは海図を眺めながら、にやにやと笑っていた。


「へっ……金塊をヨーロッパに流せば、報酬は跳ね上がる。財宝を掴めば、世の中なんてどうにでも転がるってもんよ……!」


部屋の隅にいたスミスが調子よく笑いながら声をかける。


「いやぁ、船長!俺たち、もうすぐ大富豪っすね!バイキング財閥、誕生っすよ!」


「バカ言え。気を抜くな、スミス。横取りを狙う奴がいたら、このバイキング様が許さねえ。海に沈めてやるだけだ!」


そう言いながら、バイキングはソーセージをナイフで刺し、口に咥えた。しかし、すぐに顔をしかめた。


「……なんか違うな。ソーセージって気分じゃねぇんだよ。おい、スミス、スペアリブとかシーフードねぇのか?」


「え、あ、いや……食糧庫には乾パンとビーフジャーキーくらいしか……」


「ちっ、使えねぇな……。スミスよ、お前、クラーケンでも釣ってこい。焼いて喰ってやるわ!」


「ク、クラーケンっすか!?あれ、カリブ海の生き物っすよ!?ここ、カスピ海っすよ!?地理、ちゃんとわかってます?」



その時、甲板では異変が起きていた。


「ケルビーニ、なんか……海水の渦がいつもより強くねぇか?」

一等海士バニュットが眉をひそめた。


「えー?気のせいだろ?風も少し強くなってきたしよ」


「……いや、なんか嫌な予感がすんだよ」


やがて水面が赤く光り出し、緊張が走る。


「船長ー!まもなくカスピ海最深部に到達します!ここ、船の墓場って呼ばれてんすよ!!」


バイキングは不機嫌そうに甲板へ出てきたが、足元に感じる異常な熱に表情を歪めた。


「なんだこの熱さは……?おい、誰かボイラーでも壊したか!?」


突如、閃光とともに爆音が轟いた。


「うわぁああああっ!!!」


湖面が赤く光り、凄まじい爆風が船を襲う。

船は木っ端微塵に吹き飛び、巨大なキノコ雲が空高く上がった。


船員は全員焼死。バイキング号は、湖の底へと沈んだ。



それから300年後——。


カスピ海は世界戦争の舞台となっていた。

巨大航空母艦「ゲルシェンキ」は、激動の中を突き進んでいた。


艦橋ではエスディレオ・ロナウド大尉が作戦指示を叫ぶ。


「全艦に通達!現在位置、カスピ海・ウラル第4海域!ロシア軍ヴェールリオ艦隊は壊滅!魚雷190発、発射準備!」


「撃てッ!!」

190発の魚雷が一斉に水中を走り、駆逐艦が次々に爆発した。


その時、副官キラードが駆け込んできた。


「大尉!重大報告です!カスピ海油田基地から、ウランが盗まれた模様です!犯人はノイズンナーヴェル第一艦隊!」


「何だと……!?ウランだと!?冗談じゃねぇ!」


すぐさま非常無線が鳴らされ、原子潜水艦U31が出撃準備に入る。



空では、セントレア・ヴァイキングが率いる特攻機動部隊が飛び立っていた。


「こちらヴァイキング航空支部!これよりノイズンナーヴェル第一艦隊に対し爆撃を開始する!!」


「大トルコ帝国万歳!!」

戦闘機は音速で敵艦に突進し、次々と炎上・爆発が起きる。


艦内のジェルフォーグ長官は叫んだ。


「全艦員、ウラル地方へ向けて退避!!金塊も忘れるな!全砲門開け!!」


大陸間弾道ミサイルが発射され、「ゲルシェンキ」周辺の艦隊は壊滅的被害を受ける。



午後12時。


ノイズンナーヴェル艦内で突如、凄まじい揺れと熱波が観測された。


「なんだ!?爆撃か!?魚雷か!?」


「ち、違う!これは……熱線だッ!!」


直後、湖面が再び赤く輝き、超高温の爆風が襲いかかる。


「グワァァァァァ!!!!熱いッ……!!」


キノコ雲が天高く昇り、艦隊は消えた。

ウランが引き起こした核融合が爆発の威力を増幅させ、壊滅は一瞬だった。


1802年10月1日午後12時0分。

この爆発により、1000人以上の兵士が命を落とした。


そしてこの「沈没船の悲劇」と「艦隊壊滅事件」は、後に——

**《カスピ海の悪夢》**として語り継がれることになる。


しかし——

この爆発の裏には、まだ明かされていない“驚愕の真実”が隠されていた。


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