7月21日 異世界人と2日目 その①
異世界人がやって来て2日目の朝を迎えた。
残念ながら俺の寝床は占領されたままだ。
居間のソファーから起き上がり、洗面台で歯を磨き顔を洗う。そういえば、昨日シオンに歯ブラシの使い方を教えてやったのだが、歯磨き粉の味にびっくりし、アァー! と悶絶した。違う味の歯磨き粉に交換する事を要求するシオンに対し、俺は『これは大人用の歯磨き粉だ』と説明し、交換するとしたら『お子様用』の物しかないと、大人の余裕を見せつけながら『大人用歯磨き粉』を使って歯を磨いて見せた。
すると、シオンは顔をしかめながらも黙って歯を磨いた、子供扱いされたくないようだ。
現在朝の7時ちょうど、シオンはまだ起きてこない。
顔を洗ってさっぱりした俺は台所に移動し朝飯の準備を始める。
昨日買ったばかりの卵とソーセージを冷蔵庫から取り出しフライパンに掛ける、いい匂いがする頃にはシオンも起きて来るだろう。
卵の焼け具合を窺いながら、また昨日のことを思い出す。
俺はシオンに鼻毛を抜かれた後、ある質問を投げかけた。
それは、何年も前に死んだ人間を生き返らせる事は出来るのかと。
シオンの答えはNOだった。
身体は復活出来ても、魂が復活出来ない。
どんな魔法でも、完全に消滅した魂を復活させる事は不可能なのだと、遠回しに、俺の妹の魂はもうこの世に残っていないと伝えられた。
特に昨日のような突然の事故で死んだ場合、魂はあっという間に霧散して消滅するらしい、逆に、怪我や病気などでゆっくりと死んだ場合は、魂はすぐには消えず、この世に長く留まるとの事だ。
昨日の事故の時、シオンが2つの魔法を同時に使っていたのは、1つは身体の復活、もう1つは魂が消滅してしまうのを防ぐ魔法だったのだ。
シオンは『二重奏』という高等な技術だとドヤ顔で説明していたが、俺にはその凄さがいまいち理解出来なかった、両手で同時に文字を書くようなもんか?
因みに、四重奏まで出来るらしい。
結局、妹は生き返らない……。
そのことを聞いて、がっくりと落胆する自分と、心底安心した自分がいた。
あの時、俺がもっとしっかりしていれば、妹は死なずに済んだ。
生き返ったとしても、兄貴失格の俺には妹に合わせる顔が無い……。
現在グンマー国にいます。
リアルが忙しいのじゃ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)