#3
ガサゴソと物音を立てたりしている時に誰かが玄関に入ってきた音が聞こえてきた。
「ただいまーって、あれ? 帰ってきてたの?」
「お母さん、お帰りー」
家に帰ってきたのはお母さんだった。
さすがにわたしが家に戻ってきたことに関しては知らなくても当然。
だって、家族には内緒で家に戻ってきて断捨離をしていたんだもん。
「部屋を片付けていたんだね?」
「うん」
「大分、片付いたね」
「まあほとんどいらない物だけどね……」
わたしは送る分の梱包を終え、古着屋さんに持って行く分の袋をまとめ、部屋の隅に置く。
売れなさそうな物を地域のゴミ分別に基づき、作業に移っていた。
一番多かったものは紙くずでその次が型崩れやヨレヨレの洋服、そして、壊れかけたなんだかよく分からないガラクタ。
明日は確か平成最後の生ゴミの日だったはず……。
その時、わたしのお腹が鳴った。
そういえば、アパートで朝ごはんを食べたっきりでお昼ごはんは食べていなかった。
「せっかく戻ってきたんだから、ゆっくりしていきなさい。夕ごはんは何がいい?」
「うーん……カレーが食べたいな」
「分かった」
お母さんはその音に苦笑していたけど、わたしは断捨離をすることに必死だったんだからね!
「わたし、郵便局と古着屋さんに行ってくるから!」
「気をつけて行ってきなね」
「はーい」
わたしは実家の駐車場にとめてある車に二往復かけて部屋の隅に置いておいた物を積み込んだ。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
荷物を詰め込み終え、貴重品が入ったバックを手に、郵便局などに向けて車を走らせた。
たとえ、わたしにとってはいらない物であっても、他の人にとってはほしかった物あるいは必要な物があるかもしれない。
自分にとって本当に必要な物は本人しか分からないから。
今回は思い切って断捨離をしてよかったかもしれない。
いつまでも物に溢れた部屋よりも綺麗に片付けた部屋はすっきりしているのは事実だから――。
2019/04/30 本投稿・誤字修正




