第一章 1 「鴉」
完全に趣味で作ったんで適当に見てください
……またこの夢だ
何処かで誰かが泣いている
助けの声を探しては
自由に空を飛び
地を駆け回る。
他人の為に血を流し
決して見返りを求めることはなく。
そんな正義のヒーローに…なりたかった…
_____S市 南西 大神家
今日はいい天気だ。
アラームを止めて、スヌーズ機能を使い、
起きては寝てを繰り返し、
睡眠という快楽を十二分に堪能したものの
バイトまで少し、くつろぐ時間がある。
「続いてのニュースです」
外出前になんとなくつけていたテレビの音を耳が拾った。
ニュースには特に興味はないが、今日は気分がいい。
時間もあるし支度のついでといってはなんだが見てみるとしよう
「S市で、鳥に啄まれたかのような惨殺死体が発見されました。」
さっきまで興味がなかったが聞き慣れた市名が目と耳に入る
あれ、これって近所じゃん
「外傷を調べたところ、大型の鳥に襲われた可能性が高いとのことですが
目撃証言によると黒のマントを着た何者かが現場にいたとの事です。
S市では、このような惨殺事件が相次いでいるので、
引き続き、厳重に捜査を続けるとのことです。」
そう、ここS市では凄惨な殺人事件が繰り返されている
噂によると大型の人食いカラスがS市で突然変異を起こし、
大量発生しているだとか…
そんなこんなしている内に、
バイトに出るには丁度いい時間になった。
さっきのようなニュースを見てしまっては、
外出しようにも尻込みをしてしまう。
意を決してドアを開け、愛車であるロードバイクに乗り、出かける。
俺、大神一也が住んでいる、ここS市では、
中心にある中央公園から東西南北に十字の境界線が伸びていて、
大きく北西、北東、南西、南東と4つの街に分かれている。
北西は元防衛隊の基地である。
北東と南西は、ビルや住宅街で構成された至って普通の市街地である。
続いて南東、こちらは市街地だが非常に治安が悪い
中には犯罪組織のアジトがあるなど噂されている。
そして最後に中心部、
中心にあるだけあって、比較的大きな公園だが
数年前に落ちた、隕石の墜落地点となり
公園と呼べる範囲は以前より狭くなってしまった
そんなS市で俺は暮らし、成長した
S市全体が俺にとっては庭みたいなもんだ
誰も知らないような路地を見つけ、近道に利用する
こうしてバイトに向かっていると
雲行きが怪しくなってきた。
どんよりとした色の空が
人気のない路地をよりいっそ、殺風景にする。
そんな時、
「ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ア"ァ"ァ"ァ"」
という喉を潰すような声とともに
「ひぃ!誰か!」
と懇願する助けの声が
普通、
凄惨な事件をニュースで見て、
その上ここまで殺風景な場面で
そんな声を聞いてしまったら
失禁した挙句、全力で自宅に戻るだろう
だが、俺は違う
正直、俺でも何を思ったのか分からないが
助けの聞こえる現場に、
自然とハンドルを向け、人気のない路地で淡々とペダルを回した。
途端に喉を潰すような音が近くなり
しっかり自分の鼓膜に共鳴する辺りで、
道を大きく曲がった。
……するとそこで
真っ黒い『何か』を俺の目が捉えた。




