〜世界の厳しさを学びけり〜
西暦20XX年人間は退化した。
日常に機械が組み込まれ足は、歩けない程に、手は物を掴めない程に、口は物を噛みきれない程に、退化した。
「俺、もうダメかも知れない・・・」
そう俺は今、残金ゼロ・貯金ゼロ・財産ゼロと人生の崖っぷちに追いやられているのだ。
こんな生活は嫌だ。誰か俺を・・・
「助けてくれぇー!!!!」
そんな時だった。
何だか体から力が抜けて俺は倒れた様だった。
目がさめると俺は知らない地に立っていた。
「え?!おれ、俺が立っているだと!?もう一生立てないと思っていたのに・・!!」
俺にはすぐにこの状況を理解する事が出来なかった。
我々人間が諦めた道の立つと言う事が今我が身に起きており、更に・・・
「け、剣を持っているだと!?し、しかも前には龍!?」
大きさは俺の住んでいる町に建てられているビル程に巨大で、獲物を狩るために鋭く尖った爪が印象的だった。
こんな生き物は存在しないはずだ・・・
この光景を見て俺は昔、親に呼んでもらった本を思い出した。
10年前
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「敬太、この本はね、英雄さんが龍を倒す話なんだよ」
「へぇー!!すごーい!!英雄さんはかっこいいんだね!!!」
あの時の俺はまだ純粋で可愛げがあったな。今となってはフリーターだもんな・・・。
「そうよ、英雄さんはその手に持った大きな剣を一振りで龍を倒すのよ」
「すごーい!!!僕も英雄さんみたいになりたい!!!」
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「あの時と、同じ・・・!」
「グォオオオオ!!!!」
確か、母さんが言っていた。
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「龍が大きな声で鳴いて英雄さんを食べようと寄ってくるの、それを英雄さんは」
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「一振りで倒す!!!!」
「グォオオオオ!!!!」
龍は物凄い呻き声を上げ、火を吹き、やがて地に這い蹲る形で死んでいった。
「本当に、あの時読んでもらった本と一緒だ・・・」
「す、すげー!!!!!!」
町からは溢れんばかりの歓声が鳴り響いた。やがてその声は止み、1人の高貴な男が俺の前へとやって来た。
「町の英雄殿、あなたを正式に宮殿へ招き入れたい」
「あ、あなた様は・・・?」
「名乗り遅れて申し訳ない。私は第17代国王『クロスティア バーラ』と言うものだ」
「こ、国王様?!」