表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

つくりもの

2016/08/15

ため息も、悲しみも、きっとそれは正しいのだろう。正しいことを突き詰めれば、必ず絶望へと行き着くのだから。それがこの世界だ。生きるために目をそらそう。僕らは夢を語らねばならない。空しく輝く夢を見ねばならない。ほんとうも、かりそめも、行く先は絶望だけれど、歩きやすいほうを選べばいい。



2016/08/28

初めて歩くあぜ道の非日常的な風景に、少しの後ろめたさが背中を押して、私の心は浮き立っていた。当たり前のことを忘れていた。こんな場所も、私は歩けるんだ。その気になれば田んぼの中も。服や靴が汚れても、草の匂いが慰めてくれた。平坦なアスファルトの上で揺らぐ空気を、私は遠くから見ていた。



2016/09/08

夜の冷ややかな風が、時の流れを感じさせる。あれほど嫌っていた暑さも、もう少しと思うと名残惜しく思える。もし明日また暑くなったら、きっと早く終われと思うのに。ひと回りすれば、本当にまた来るのだろうか。「またね」が最後の人たちのおぼろげな姿が頭をかすめた。ひと回り。どれくらいだろう。



2016/09/08

うん。すごいね。僕はいつも通りの相づちを打つ。笑いが起こる楽しい話。筋の通ったキレイな話。愛想の良い笑顔を、僕はうまく作れているだろうか。そんなことばかり考える。それでさ、と切り出してみて、なんでもない、と笑ってごまかす。みんな話したいことを持っている。僕の醜さを見る猶予も無く。



2016/09/12

音も光も少ない夜の薄まった時間は、あまりにも長く感じられる。時計は規則正しく時を刻むのに、時の速度は限りなく遅く、止まっているようにすら思える。虫の声は昔と変わらない。河の流れる静かな音も、弱く瞬く星の光も。今はもう変えようのないことを思い出す。変わったのは、弱いままの僕だけだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ