しあわせのこと
2016/04/28
何枚布団を重ねても消えない寒さがある。生き物の温もりでしか癒せない淋しさがある。夜明けもまだ遠い空にはいつもと違う星が浮かんでいた。昔よく聴いていた歌を口ずさんだ。そのとき愛した人を思い出した。今の私なら、あなたも愛してくれますか。救いのない問いを空に投げかけ、私は朝日を待った。
2016/05/02
二日酔いで気分が悪い朝、いつも馬鹿にしていたコンビニの味噌汁がこの上なく美味しく思えた。渇きは幸福を増強するのだとしみじみと感じた。日々感じる多くの渇きも。それは満たされたときにたくさん幸せになれるように用意されているのかも。ものすごく都合の良い話だけど、ほんの少し慰めになった。
2016/05/08
小さな幸せさようなら。新たな痛みよこんにちは。そんな日々が連なって、私は歳を重ねます。その人が偉いかどうかは、敬う価値があるのかどうかは、シワや歳の数字でなくて、負った心の傷の数で決まると私は近ごろ思うのです。古傷生傷たくさんつけてそれでも歩くあなたが一番、私は偉いと思うのです。
2016/05/11
何もかも上手くいかなかった日の帰り道、ふと昔のことを思い出した。僕が好きだと言ってくれた人。弱い僕は好意すら怖くて、逃げてしまった。今も何かから逃げ続ける毎日だ。今でも、こんな僕を愛してくれるだろうか。昔よく聴いていた歌がどこからか聞こえた。なんて寒い夜なんだ、と僕はつぶやいた。
2016/05/15
発泡酒を手に取る私の横を、小さな女の子がパタパタと駆けていった。彼女を笑顔で迎える若い母親は、私よりも若く見えた。きょうなにつくるの。お楽しみ。なあに。カナちゃんの好きな物だよ。当たり前の幸せは、厚いガラスの向こうにある絵のように、テレビに映るどこかの絶景のように、遠くに見えた。




