人恋しい季節
2016/03/22
眠れずに朝を迎え、重い頭痛を抱えて、僕はいつものように家を出た。空には灰色の雲が広がり、どこかから小さなため息が聞こえた。すれ違う大勢の中に、僕と同じような人はどれだけいるのだろう。きっとそれは、この世界に希望を持てないほどには多くて、僕たちが寂しさを埋められないほどには少ない。
2016/03/30
僕は冬が嫌いだ。寒くて暗いから。人恋しくなるから。僕は毛布にくるまり歯を食いしばって涙をこらえた。やがて梅が咲き、山の白は薄くなった。大切な人は笑顔で手を振った。こんなときは笑顔で、と誰かが言った。僕もぎこちなく笑って涙をこらえた。暖かい風が僕らの間を通り抜けた。僕は春が嫌いだ。
2016/04/01
心に穴が空いた、なんてものではなく、ごっそりえぐり取られてしまったような気分だった。新しい友人や先輩はみんな温かく接してくれた。これから何十年も続く生活に胸を踊らせる自分がいた。でもふっと肩の力を抜いた一瞬に、精いっぱい笑って手を振ったあの日を思い出す。私はまた精いっぱい笑った。
2016/04/07
孤独に堪えられず、無防備な寝巻姿をコートで隠して、私は夜の街に飛び出した。私と無関係な怒声、無関係な視線、無関係な吐瀉物、そんなもので街はいっぱいだった。震えた携帯電話の画面に私と無関係な写真が表示された。声をかけてきた無関係な男も私を見てはいなかった。私はどこまでも独りだった。
2016/04/11
いつだったか、満開の桜と降雪に興奮していた僕の横で、けだるそうに「寒いのはイヤ」と君は一蹴した。数分前、桜と雪が幻想的だと添え、君は夜桜と恋人の写真を掲載していた。今の生活は楽しいですか。寒いのは今も苦手ですか。きっと心の中でけだるそうに愚痴を言っているのだと思うと頬がゆるんだ。




