醜きもの
2016/09/20
傷ついた心には、鋭い正しさではなく、優しい抱擁を。眠れぬ夜には、煌々と照らす灯ではなく、寄り添う闇を。正義も希望も、その明るさで目をくらませてしまうのなら、それは何よりも残酷に人を傷つける。きっと人を生かすのは、過ぎた輝きなどではなくて、決して美しくなどないほんの少しの嘘なのだ。
2016/09/22
短い針が峠を越えると、世界が少し変わる気がする。街の光は弱くなり、静けさが響きわたる。いつも歩く道も、見知らぬ場所に見えてくる。いつの間にか孤独が寄り添っている。電話帳に並んだ人の中に、私を思い出してくれる人はどれほどいるのだろう。人が夜に眠るのは、孤独をしのぐためかもしれない。
2016/09/28
歳を重ねるうちに、許せるものが多くなった。正しく言うのなら、許さなきゃいけなくて、そう思うように無理矢理に自分を押しこめることが多くなった。なんでも許せないことは良くないけれど、なんでも許すように強要することは本当に良いことなのだろうか。許せない私を、許してはくれないのだろうか。
2016/10/08
押しつけられた愛情に応えることに疲れたとき、ふと昔のことを思い出す。どれだけ追いかけても、一度も振り向いてくれなかった人。僕は彼女を愛していた。愛していると思っていた。もう間違えない。そう前を向いても、僕は彼女のいた場所を忘れられない。その愛情は正しくなくても、本気だったからだ。
2016/10/12
あなたを想う夜が苦しくなったのは、いつからだろうか。あなたを忘れたくない気持ちが、忘れたいと変わったのは。あなたと見た景色を避けるようになったのは。似た人を目で追ってしまうようになったのは。いつまでも、あなたには幸せでいてほしい。これほどに私の世界を歪めてしまった、あなただけは。




