コアラ争い3
「お主出番じゃぞ!」
「はい?」
法廷から退出した後合流してきたサリエルがいきなり無茶振りしてきた。
「さぁ良い解決方法を教えるのじゃ」
「そんな突然言われても困るわ」
「何を言うか! お主はオブギョウさまの生まれ変わりじゃろ!」
「いつの間にそんな設定になったんだよ!」
「その首元の痣が証拠じゃ」
「いやだからこれはだな……」
「無理を言っているのは分かります。ですがナカハマ様、どうか知恵を貸してくれませんか?」
テルサからも頼まれてしまう。
美人に頼まれてしまったら辛い。
「とりあえずタスクが本当にゴールデンコアラを密猟しようとしたのかどうか調べ直すとか……」
「何を言っとるんじゃ!!」
いきなり怒られた。
「タスクがゴールデンコアラを密猟しようとしてたのなんぞ分かっておるわ」
「もしかして証拠はもう掴んでるのか? だったら……」
「証拠なんぞはない」
「ってねーのかよ!」
「見たら分かる」
「おいおい見た目で判断とか裁判官としてどーなのよ」
「サリエル様は単に見た目で判断しているわけではありません」
テルサが擁護する。
「そうじゃ相手がどういう人間かなんてのは魔力を見れば分かる。」
「魔力を見る?」
「そう魔力を見るのじゃ。この世界の人間は全て大なり小なり魔力を持っておる。その魔力は非常に微小ながら身体から溢れ出しておるのじゃ。それは普通の人間の目には見えることは無いがわらわは別じゃ」
「サリエル様はその魔力を見ることができるスキルをお持ちなのです」
「へぇそんなスキルがあるのか」
「そのスキル名は『魔相術』。少なくともこの国でこのスキルをもっておるのはわらわだけじゃろう」
「ふーん、でそれが見えたらどういう人間か分かるってのか?」
「そうじゃ、魔力は色を持っておる。大体は白っぽいのじゃが、悪事を働いた事のある人間。例えば盗みを働いたとか人を殺めたとかその罪が大きければ大きいほど黒に近づいていく」
「簡単に言えば悪人か善人か分かるってことだな?」
「まぁそれだけでは無いのじゃが……とりあえずそういう事じゃ」
「でも見れたところでそれはあんたにしか見えないんだから裁判じゃ何の証拠にもならないよな」
「そうじゃ! だからこそ困っておる。わらわとしては善人であろうジェイルを飼い主として判決を出したい。それでオブギョウさまのやり方を真似たんじゃが……上手く行かなかったの」
サリエルはしょんぼりとしていた。
その姿を見て何となくだが力になりたいと思った。
俺はしばらく考える。
考えつつ裁判所内を見渡す。すると所内を歩く衛兵が目に入った。
この方法ならいけるかもしれない……
「思いついたぞ」
「本当か?!」
「だけどそれをやるにはあの法廷じゃ狭いな。もうちょっと開けた所……できれば屋外がいい」
「なら丁度良い場所があるぞ!」