プロローグ
初投稿です。
暖かく見守って下さい。
ここは異世界のとある国。
そこには2人の有名な鍛冶師がいた。一方は東の街に住み、もう一方は西の街に住んでいた。
その2人の鍛冶師はほぼ同時期に一つ剣を作り上げる。どちらの剣も非常に素晴らしい出来栄えであったのだが、偶然にも2人共自らの剣に竜をも殺すとの意味合をもたせ『ドラゴンキラー』と名付けてしまったのである。
人づてにそれを知った2人は言い争いを始める。
「俺が先にドラゴンキラーと名付けたんだ!お前は名を変えろ!」
「俺のほうが先だ!そっちが変えろ!」
どうも決着がつかないので西の鍛冶師はしびれを切らしついには裁判に訴え出た。
その裁判を担当したのは巷で名判事として知られるオブギョウ様と呼ばれる裁判官であった。
2人の鍛冶師は自分たちの剣を持参し、そこで各々言い分を述べる。
しかし、結局どちらが先に名をつけたかははっきりとしなかった。
そこでついにオブギョウ様は2人にこう提案する。
「この2本の剣、出来のよい物の方をドラゴンキラーと名付けようと思う。それでも良いか?」
2人はそれがいいそうしようと同意する。
続けてオブギョウ様はこう尋ねる。
「だが見た目にはどちらも素晴らしい出来であり甲乙つけがたい。そこでどれだけ竜に有効なのか両者の話を聞いて判断したいと思う。竜殺しと名付けるぐらいであろうから強大なドラゴンを打ち倒した逸話があるのであろう? さあ話せ」
それに対して2人の鍛冶師は口ごもった。
「もしやその剣どちらもドラゴンを斬った事がないのか?」
2人の鍛冶師は静かにはいと頷いた。
それを聞いてオブギョウ様は激怒した。
「一度もドラゴンを斬らずにドラゴンキラーと名付けるとは笑止千万。出なおしてまいれ!」
2人の鍛冶師はその場で平伏し、その後剣には別々の名をつけたという。
余談であるがその剣の片方がとある冒険者の手に渡り実際にドラゴンを打ち倒すのはしばらく後の話である。