白牛
白牛
いつの日にか私の頭の中にあったものはいつも天敵のことであった。
天敵というのは、いつも信じているものから裏切られるということであっても、私にとっては何かしら、尊いもののように思われた。
だから、私の中ではいつも、死というものは身近なものであって、私の中では、だから天敵というのは、ないに等しいのであった。
身近な存在でさえ、私には天敵でしかなく、私の胸の中にはいつでも、一つのことしかなかった。つまり、突き殺すということ、がそれだった。私には、命に変えてでも、しなければならないことがあった。私は今でも、命の次に何か神聖なものを欲しがるのだ。
私の胸の内では、何かしら熱いものがあって、私を揺さぶり続けた。
命の次に大切なものとは、雌牛である。私を奮い立たせてくれたのは、他ならぬこの雌牛であったので、私にはあなたのことが愛しく思えてならなかった。
私の白い白濁液を雌牛に呑み欲してもらうことこそ、私の希望であった。
私のナニはいつでもギラギラと燃え立ち、私が右に振ると右へ、左へ振ると左へと、大勢の人間を足してもかなわないほど、燃え立った。私の胸の中では、燃え立った。私の胸の内では、交尾のことしかなかったのである。私は勇んで雌牛の前ににじり立ち、今にも突き殺さんばかりの勢いで、のしかかった。