じんぞくれんごうしせつだんしまつき
魔王と勇者の時代が終わって幾星霜。何人も代替わりして歴史と言う括りになった時、人間の王様の一人は思いました。
魔王領と友好を結んだ方が良いのだろうか?
王様は戦争という物を近隣との小競り合い位しか知りません。それでも傷ついた者とか死んでしまった者とか残された家族と言う者を見るのは痛ましく思っています。施政者としては善良であったつもりはありませんけど無用の犠牲は許し難いと思う程度にはまともでありました。
王様はお付きの賢者にもし戦争をしたらどれだけの事になると調べさせました。賢者の調べた結果では何万もの人が死んで、その十倍の者が路頭に迷って、さらにその何十倍の者が戻れない恨みを抱いたり、こっちに対する怒りを抱くと言うものでした。王様は馬鹿ではないのでこっちから喧嘩を売る真似をする必要はないと結論を出しました。決して、その他にも何十万枚もの金貨が出て行くことが後押しになったのは言わないで上げてください。
王様は他の王様たちに魔王領と仲良くしたらどうだろうかと話を持ち掛けました。他の王様たちも今更魔王との戦争をするほど暇ではないので話だけは聞こうと集まりました。
初めに魔王領と仲良くしようと言った王様が集まりの議長となって話を始めました。人間の王様たちは今更喧嘩をするのは面倒くさいというのが殆どでした。一人血の気の多い王様が征服してしまえと言ったのですけど一人で攻め落とすに必要な物を全部用意しろと言われたら意見を引き下げました。戦いとは数なのです。兵士然り食べ物然り攻め落としたところを治める人材然り・・・・その金額を聞いたら頭を横に振って意見を変えました。他の王様たちはそれを馬鹿にしませんでした。馬鹿にしたらそれを用意できるのかと押し付けられかねないのです。そんな面倒くさい事は誰もやりたくないので皆彼の事を生暖かく漸く気が付いたかという目で見るだけでした。
攻めないかと言った王様が納得した後で誰を送ったらよいかという話になりました。
大きな神殿を持つ古い国の王様が言いました。
「まずは礼儀正しき紳士淑女を送るのが良い。いきなり喧嘩を売るようなものを送るのは目的に反するし、我等が考えなしの馬鹿と思われる。」
南の海に面した国の王様が言いました。
「知恵あって企み事を押さえる事が出来る物を送るのが良い。我等が正しくとも悪い事は近寄ってくるのだから。」
東の荒れ地の国の王様は言いました。
「力強い戦士を送るのが良い。我等は戦に負けた訳でなく、平和を求めているのだが図に乗って攻めてこられても困るので我等は強い者がいるぞと示した方が良い。」
北の荒海に面した国の王様は言いました。
「色々な技を持つ者達を送るのが良い。我等の持つ技が彼等にも利する事となればそれに敬意を持つはずだ。」
山の中にある素朴な民の王様は言いました。
「彼等の事を知るものを送るのが良い。先に挙げた王たちの条件に合う者であっても彼等の流儀や生活を知らなければ無用な諍いの元となる。魔王領の民だとて彼等のやり方がある、我々の間であっても違いはあるだろう。彼等との間ならばもっと違いがあるはずだ。」
雨降る国の王様は言いました。
「立派な贈り物をしていこう。我等はこれだけの物を送るだけの力がある事を示すために。そして、これだけの贈り物を受け取るからには真面目に話をしなければならないだろう。」
実り豊かな西の国の若い王様は言いました。
「美味しい物を作る人と美味しい物と食べる事が出来る者を送ろう。共に同じ食事をすれば喧嘩のしがたくなるものだ。」
戦をしようと言った国の王様は言いました。
「誤解を恐れずに言おう。勇者の子孫を送ろう、戦いあった者達が共に肩を並べる事こそが仲直りの第一歩だろう。」
王たちは互いに違う視点から送る者達を選ぶ。思う所があるのだが互いに足りないところを補うのだろうと当てはまる者達を集めるのであった。
王様たちは多くの物を集めてその中から更に選んで百の者を選んで送り出した。
長い旅路を得て百の者達は魔王領にたどり着く。その旅路の途中で過去の戦いの跡を見て死せる者達の眠りが安らかならんことを願って人間以外の者達の敬意を得たり、小さな街角で朽ち果てんとする幼子の事を拾い上げたりもしたけれど別な話。
魔王領に着いたら魔王様が直々に出迎えに出て歓迎する。魔王様と言っても世界征服を求めるのではなくて自分と仲間たちが過ごせる場所を求めるだけの小さな男。ただその仲間の数が一つの国だったので世界を巻き込んだのだという事を知って送り出された百の者達はこの仕事は無事に終わりそうだと安心しました。
知恵ある者達が落としどころを詰めようと怒鳴りあっている。剣持つ者達は己の強さを見せつけあっている。技持つ者達が互いの技を盗みあっている。歌い手と奏でる物が互いの歌を競い合っている。
争っているように見えても、楽しんでいることは事実であり、それはそれでよいことである。
ゴブリンの学者と人間の国の博士が誰も見ることのない物語は存在するのかどうかということでがなりあったのはうるさいだけでしたけど・・・・・・・・・・・・・・これはどこかのなろうさっかにけんかうっているないようかもしれません。結論としては作者という観測者が見た結果なのだから存在するといいうものでした。ならばエタった作品はという議論が起こりましたけど過去に存在していたという説やその世界のものもがいるから存在するとか、読者さんという観測者が見ているのだから実在するとかといういろいろな説が出てくるのでした。これについては後日ということになりました。
争いはきりがないのでまずは飯でも食べようかと宴になりました。
西の国から送られてきた侯爵様は豚の顔をした獣人と共に一つの皿からか食べ物を分け合って美味美味と言っている。彼も太っているためどっちがどっちだか区別がつかない。侯爵様のおつきの人はこんなところで食事をして大丈夫かと聞いてくるけど
「姿形は違っても美味しい物を共に分け会えるならば友となれる。、ただしから揚げに檸檬をかけようとするのは勘弁だけどな。」
と答えました。この答えの豚の人は感激して今度うまい店に行こうと誘いました。侯爵様も俺の国に招待して共に食い倒れる迄食べまくろうと誘いました。そのお約束は果たされて共に食べ歩いていくつもの店を泣かせました。お付の人はそのたびに謝りに行く羽目になるのです。
山の国から来た老人は岩妖精の親方と酒盛りをしてました。お互いに出来上がった頃にそれぞれのお付の人にお医者さんにお酒止められているのにと叱られてしまうのです。
もちろんそれに懲りる二人ではなくてたびたびお酒を飲んでいるのは業の深いことです。それに付き合っている鬼の人とか竜の人とか西の国の侯爵様やら豚の人も巻き込んでたびたび大宴会が広げられるのです。
宴は互いに楽しみました人の国から来た紳士淑女たちは様々な種族を見て楽しくお話ししました。
「おれはあの小さな娘が良い。けなげそうで愛らしい。」
「人よ、あれは我が従妹殿で齢千年を超える婆だぞ。」
「古妖精のロリ婆結構ではないか!」
「なんであんな貧乳に・・・・・・・・・・・」
「貧乳はステータスである!」
「私はそっちのオークの奥さんを・・・・・・・・・」
「吾は猫耳娘さんを・・・・・・・・」
紳士諸氏は紳士でありました。頭に変態とかつきそうですけど女性に対しては礼儀正しく敬意をもって接していました。彼らに意気投合していた熊の人がいましたけど彼は紳士の意味合いを勘違いしてつかまってしまうのですけど別の話です。
淑女たちもそれぞれに好みの男性のもとで楽しいひと時を送っていました。人間は雑食性なのにどうして彼女だちは肉食なのかと疑問に思っている魔王領の男性がいましたけど、帰ってきた答えはだれがうまいことを言えというのでした。
雨の国から送られてきたものは本でした。雨の国は雨水国と呼ばれていたのに合わせてとても薄い本でした。金銀財宝は竜の人が蓄えています。匠の技は岩妖精にかないません。ならば彼らが及びもつかない部分で価値あるものをと様々な物語を詰め込んだ本を送ったのです。
これはなかなか面白いと受け入れられました。本というものの技術もさることながら物語の面白さに・・・・・・・・・・・
長耳の人がこの物語を歌にしてみたいといいました。ごぶりんの人が子供たちに聞かせる物語に良いといいました。
吾らの物語も本にしないかと竜の人が雨の国の人に頼みました。雨の国の人は快く了承しました。竜の人は長生きなのでいろいろと面白い話を持っているからです。人の国にもいろいろな物語が流れ込むのはとても楽しいことなのです。お互いに物語を通して知ってもらえれば仲良くなるとっかかりにはなるのだろうなと明日が楽しくなりました。
そんな楽しい宴の中で醜い言い争いがありました。雨の国から送られてきた薄い本の中で青の騎士様と赤の騎士様のどっちが攻めでどっちが受けだという内容でした。この内容に人間の国も魔王領の国もどっちの女性たちが青の騎士様が攻めだとか赤の騎士様がへたれ攻めだとか言い合いになっているのです。
幸いなことに攻めとする騎士様の派閥が国で偏っていないことです。
この言い争いを聞いた男の人は回れ右をして別の部屋で飲みなおしをしました。バカ野郎俺も置いていくなと続いていく人の数の多いこと多いこと。宴の広間には醜い言い争いから掴み合いになっている女性たちと魔王様と人間の国の代表の聖騎士様だけとなりました。
聖騎士様は頭を抱えました。まさかこんなカップリング闘争で醜い争いが起こるとは、これでは世界の平和が成り立たない証明ではないかと。
魔王様は頭を抱えました。単純にこの女性たちの話の内容にでした、女性不振となってあっちの道に走られたら魔王領の問題になりそうですが幸いにも後継者はそこそこいます。そっちの趣味もないので大丈夫です。
女性たちの言い争いは尽きませんでした。それどころか部屋にに残っていた魔王様と聖騎士様の姿を見て
「聖騎士様の攻めでしょう。魔王様が強気でいながら・・・・・・・・・」とか
「魔王様の傲慢な攻めに聖騎士様は・・・・・・・・」
等と本人を前にしてひどいことを言うのでした。
その有様に魔王様はブツンと何かが切れる音がしました。
「お前ら何を見苦しいことを言っているぅぅぅ!」
と女性たちを城から叩き出しました。
後日この話を聞いた人間の国の王様たちはお詫びの手紙を出しました。返ってきたのは胃薬と頭痛薬です。人間の王様たちは魔王様と親近感を覚えました。それから話し合いが何度もやってお互いに仲良くなりました。
追い出された女性たちは?国に帰れなくなってお互いの国のはざまにある国で同道の士を見つけてなんだかんだと楽しくやっているのです。人間の国も魔王領もその国には近づかないようにしたいのですけど無理でした。
世界は仲良くなったけどなんかよくないものが解き放たれたのでした。
お付き合いいただきましてありがとうございます。
酔った勢いで綴ってみました。
綴り終わったので飲みなおしてます。