おでん・でん・ででん!
おでんを大量に作った後は、ひと時の幸せに包まれる。
昆布の出汁。大根、卵から始まり、鶏肉、こんにゃく、人参、変り種の野菜巾着、がんもにハンペン。他にも牛スジに、はてまて天ぷら、ソーセージにいたるまで色々と。
そんなおでんの具材達。それらは、我ながら、美味い。
……だが、そんな幸せなひと時も今日は独り占めとはいかないわけで。
「おお、うまそうな匂い……」
鎧を脱いで、上下黒い服に身を包み込んだルイ(変質者?不審者だ!キャー!!)が出てくる。
「……」
ジト目で見つめてみる俺。はっきりいってコイツの今の格好は、良く見てライダースーツ、凡人から見たら、作業着みたいだ。ススまみれの。うん。カッコ悪っ。。
「……食うか?」
ジト目で見続ける俺。
「……」
なぜかジト目で見つめ返してくる勇者様。
決めた。絶対に食わせてやらん。
「サイコキネシス!!」
……何言ってんのこの人。やっぱり中二か?中二だろ!?そうだろ!!?
ふとみると、鍋の具材が浮いている。俺のタマゴちゃんが浮いている。
そしてそれは宙を飛んで勇者様の口へと……
「ん、うまっ」
「って勝手に食うなあ!!!まだ許可し取らんわア!!!!」
そんな調子で、おでんはルイの口に消えていった。
すごい量が減り、俺の分どころか、客の分が危うくなった。
勇者様が部屋にお帰りになった後で、俺は、おでんを作り直さなくてはいけなかった。
とほほ。
何気に魔法が初登場。
そこにはつっこまない。あえてつっこまない。
次回、やっと屋台が開始じゃい!いえいっ!!