召喚主は偉大である。
さあ、ちょっと情報の整理だ。
・今は梅雨です。ぼちぼち明けそうです。
うんうん。
・ここにいる人は「ルイ」という人です。
うんうん。
・勇者だそうです。
……うーん、うんうん。
・あなたに召喚されたそうで
「ちょっと待ったああ!!」
ガバッと立ち上がる。
「いや、勇者ってRPGの世界だろ、ファンタジーだろ、ドラ〇エだろ!!そして俺に召喚されたってなんだあ!俺天気予報見ててカップ麺食ってただけだぞ!」
「カップメンってそれのこと?」
スマホの残骸を指差すルイ。
「なんでじゃああ!それじゃないよお!!それ食べれないよおお!!っていうかコレ直せよ、弁償しろよおお!!!」
そんなつっこみをさらりと受け流し、なぜかひざまずくルイ。
「召喚主、ハレルヤ。あなたに忠誠を誓います。」
「いや、まず俺の名前晴信だし召喚した覚えないし忠誠ってなんだよおおお!!!もおお!!!意味わからない!!!誰か助けてええ!」
外の雨は降り続く。その雨を吹き飛ばすような晴信さんのつっこみの嵐は、梅雨の雨そのものの様であった。
とりあえず部屋の客室に勇者様は押し込んだ。
鎧の音がガッシャンガッシャン聞こえる。脱いでるらしい。
昼から夕方にかけての壮絶なつっこみの結果は、こんな感じ。
・名前はルイ。勇者。
・召喚されて、異世界からやってきたようだ。
・この世界を元の自分の世界と勘違いしている。
・スマホは、携帯食料、「カップメン」だと、180度間違えて認識されている。
そしてそして、
・召喚した人に忠誠を誓う。その人から離れない。
……勘弁してください。早く帰ってください。不法侵入です。
ため息をつきながら、少々料理の下ごしらえをする。量は、とりあえずいっぱいだ。
なんせ、俺は屋台をして生きてるんだからな。
通称、「晴天堂」。
晴れの日にしか経営しない、おでんの店だよ。てへっ。
明日は梅雨明けの予報だ。きっと晴れてくれるだろう。
隣の部屋からなんだか「うへっ、きしょっ」とか聞こえた気がするが、気にしない。気のせいだ。
梅雨明けは、もうすぐだ。
話すすまない!ホンとに進まない!
次回からやっと屋台が出てくるよ!多分!!