スマホとかけまして、レーションと説きます。
しばらくの間、開いた口がふさがらなかった。
「やあ、僕はルイ!」
白髪に見えかねない銀色の髪。なんちゃってイケメン。服装は鎧。
手には盾を携え、腰には剣を差していて。
「……お前誰じゃあああ!!」
もう一度。開いた口がふさがらなかった。
やっと気持ちが落ち着いたところで、
「……で、コレどうしてくれるの?」
「……」
液晶が真っ二つ。そんな俺の、半年前に買ったスマホ。
どこからともなく現れた、このルイとか言う奴にぶち壊されてしまった。
「で?」
「……なんですかそれ?」
「は?」
「いや、だから、それ、何?なんのアイテム?変り種のレーション?」
「はい??」
……俺のスマホは、「携帯」食料でございますか?
「もう何モンだよアンタはあ!!!」
「だから、僕はルイ!」
「それでもあんた日本人かああ!どっから沸いてきたあ!!」
「?いや、君に召喚されたはずだけど……」
「うわああああ!!電波系少年だア!!中二病だあ!!!」
頭を抱える俺。転げまわりたい。この人、イタイ。
「だから、僕はルイ!勇者だよ!!」
ひとつの、人生の中の、瞬きのような時間。その中の決断。
……俺は頭を抱えて、転げまわることにした。
がんばれ、主人公!まだ話は始まったばかりだ!