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女装剤(呪の章)  作者: 嬉々ゆう


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6/8

第6話 箝口令

呪の魔法薬の騒動が広がり、

ついにラカは王都へ呼び出されることに。


魔導大国マイーヤを築き上げた大魔女ラカ。

国王にとっては師であり、母であり、

誰よりも頭の上がらない存在。


そんなラカの前で、

“呪の魔法薬”の真相が語られ、

国全体を巻き込む決断が下される。


第6話――

国家が動き、呪いが封じられる。



 ・⋯━☞魔導大国マイーヤ☜━⋯・


 ・⋯━☞王都マイーヤ王城☜━⋯・



「はあ……まさか、坊やに呼び出されるとは。

 もう二度と、ここには来たくはなかったのにね」



 ラカは今、魔導大国マイーヤの王都、

 「マイーヤ王城の城門前」にいた。


 ラカの住む平原は、魔導大国マイーヤのリーフ村付近。

 リーフ村とは、ラカが魔法薬の精製法を広めた村であり、元々は掘っ建て小屋が数件並ぶだけの名も無き集落だった。

 ラカがこの地にやって来たのは、今から200年前。

 まだ、「マイーヤ」などという名ではなく、

 「マギヤ」という名の小さな国だった。


 そして何を隠そう、ラカこそが、この国を魔導大国と

 呼ぶのに相応しい国へと発展させたのである。

 

 まだ100歳ほどだったラカは、まだ見た目は幼女だった。

 だが、もうその頃には「大魔女」の片鱗を見せていた。


 国中に広まった疫病を沈静化し、そして撲滅。

 隣国からの攻め込みには、魔導癖(バリア)で国を守り、

 魔物たちの津波(スタンピード)でも大活躍。

 更に、外傷や骨折程度なら完治する、

 回復魔法薬(ポーション)の開発。

 その他にも、魔法に因んだ事柄での貢献。

 そして、歴代国王の嫡男への魔法の家庭教師など。


 これらの実績を100年かけてやり遂げた。

 この国に、魔法を大きく広めたのはラカなのである。


 当然、それほどの大功績だ。

 マギヤ国王も、ラカを次期国王(嫡男)の王妃として迎え、この国を更に発展させてほしいと願ったのだが、ラカは、アッサリと拒否した。


 元々、面倒事の嫌いなラカ。

 王妃になどなれば、毎日公務に追われる日々が来る。

 会いたくもない連中の顔を拝むのも吐き気がする。


 そんなこと、嫌に決まっている。


 そもそも魔女とは、勝手気ままな者が多いのだ。

 だからラカは、人気の無い平原にポツンと一軒家を建て、今も一人で暮らしていたのだ。


 そして、そのラカの大功績から数年後。

 当時のマギヤ国王は王位を嫡男に引渡し、

 その名もラカの提案で、「マイーヤ一世」と命名。


 それから、また時は流れ100年。

 現在王国は、マイーヤ四世が治めている。


 しかも、同じくラカが家庭教師として魔法を教え、

 そして育てたのは言うまでもない。

 やっと解放されて十数年が過ぎ、

 ポヤッとのんびり暮らすのが性に合うというもの。

 それでも十数年に一度は呼ばれることもあり、

 その度に歴代の国王たちの相談に乗っていた。


 それこそが、ラカが現国王に向かって

 「坊や」呼ばわりをする由縁なのであった。



 ・⋯━☞マイーヤ城門前☜━⋯・


「大魔女ラカ様! ようこそマイーヤ王城へ」


「ん! 坊や……国王様に呼ばれて来たわ」


「はっ! 報告は受けております! 開門!」


「かいもーーーーん!!」


 ガッ……チャン!


「自分が提案したものだけど、我ながら大層ね」



 門番の掛け声とともに、跳ね橋が倒され、

 王城の鉄製の城門が物々しく開門される。

 

 実は、この設備もラカの提案したものだった。



「さ! 大魔女ラカ様! お通りください」


「はいはい じゃあね!」


 ヒュウゥウゥ……



 ラカは、箒に乗って50cmほど浮いて場内へ。


 騎士団以外の王城に勤務する者の殆どは、

 魔法で空を飛べる実力を持つ。

 これも、この国が魔導大国を誇示する意図がある。



 ・⋯━☞王座謁見の間☜━⋯・



「大魔女ラカよ、よくぞ参られた!」


「ふむ……」



 この国の宰相がラカに言う。

 ラカは、一応は形式的に跪き、頭を下げる。

 だが……



「おぅおぅ、ラカ殿! 我らの仲だ。

 そんな、其方らしくない態度はやめようではないか?

 ”このクソガキめがあー!”って

 言われていたのは、いつの日か……」


「ふん! あのハナタレ坊やが、今じゃ王様かね」


「ふあっはっはっ! それでこそラカ殿よの?」


「先に言ったのは、坊やじゃないの? 今更でしょ!」


「はあっはっはっ! ラカ殿も相変わらずよの?」


「王よ! 大魔女ラカ殿よ!

 仮にもここは、謁見の間。

 他の大臣たちの目もありますし……」


「おおっ! そうだったな?

 ラカ殿、ちと戯れが過ぎたようだ」


「ふふん 私はこの方が楽なんだけどね」


「はっはっはっ……」



 ラカも今では、現国王でさえ頭を下げる存在。

 大臣たちも、ラカには一目置いているくらいだ。

 ラカがいなければ、

 今の魔導大国マイーヤは存在しないのだから。


 それから、まるで学校の校長先生のような、

 やたら長ったらしい能書きが続き、

 やっと本題に入る。



「でな、ラカ殿よ! 余も其方の作り出した魔法薬。

 あのバカげた効力には目を見張るものだった!」


「……ごめんなさいねぇ?

 まさか、私の知らないところで、坊やの耳にも入る

 ことになってしまうなんて、思わなかったのよ(嘘)」


「……それは、真であるか?」


「え、ええ……本当よ?」


「ふぅむ……」

 (疑いの目でラカを見る国王)


「本当だってば! 私の研究好きは知ってるでしょ?

 考えもなしに、研究していたら、

 偶然にも出来てしまったのだから、

 しょうがないじゃない!

 それを、アンタんところの騎士さんが、

 間違えて持ってってしまったのだから、

 文句の言いたいのはコッチの方よ!」


「あいわかった! すまなかったな(汗)」


「いえいえ! やめさないな!

 王様がそう簡単に頭を下げるもんじゃないわよ?」


「ふむ、そうだな……」



 現国王にとってのラカとは、育ての母であり、

 魔法の先生であり、姉であり、

 どう足掻いても、越えられない師でもある。

 国王とて、そうそう無下にはできない相手である。

 下手に機嫌を損なう言動などもってのほか。

 国民の感情を逆撫でるよりも危険人物でもあった。

 なにしろ、スタンピードの際には、

 地形が変わるほどの殲滅魔法を放った逸材である。

 怒らせたら、この国など一晩で砂漠と化すだろう。



「とにかくだ! 国全域に緘口令を敷いた!」


「んまっ!」


「これは、ラカ殿! 其方にも……だぞ?」


「!……分かってますってば!

 今後、例の魔法薬を作らなきゃいいんでしょ?」


「……そう言うことだな

 レシピとして文字に残すこともダメだ!」


「はいはい……」



 こうして、ラカの作った「呪の魔法薬」は、

 この国から、姿を消すこととなった。


 ただ、一部を除いては……


読んでくださり、ありがとうございます。


今回、ラカは久しぶりに王都へ呼び出され、

国王とのやり取りの中で、

“呪の魔法薬”が国家機密として扱われることになりました。


ラカの過去、国との関係、

そして彼女がどれほど大きな存在なのかが

改めて浮き彫りになる回だったと思います。


呪いは封じられた――

しかし、本当にそれで終わるのか。


次回もぜひ見守ってください。


”マギヤ”とは、どこかの国の言葉で、”魔術”という意味だそうです。

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