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女装剤(呪の章)  作者: 嬉々ゆう


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3/8

第3話 恋は求める心…やがて嫉妬そして恨みへ

アライオルが姿を消して一年。

ラカの胸に積もった不安は、

やがて“疑い”へと形を変えていく。


そして突然訪れた知らせ――

「アライオルが、他の女と出ていった」


信じたい気持ちと、

抑えきれない嫉妬。


ラカの心が大きく揺れ動く第3話。

恋は求める心、そして……嫉妬へ。




 ・⋯━☞ラカの家☜━⋯・



 アライオルと人族の女性との二人と別れた後、

 一年がまた過ぎた。


 ラカは、何も無かったかのように、

 相変わらず、人々から魔法薬の依頼を受けていた。



「いつも、ありがとう魔女さま!」


「いいえ、どういたしまして!」


 パタン!……


「ふぅ~……」



 いつもなら、なんてことはない仕事である。

 だが、今のラカにとっては、なんの張合いもない

 ただただ、窮屈で退屈な日々。

 つい、一人になるとため息が出てしまう。


 ラカは、ふと視線を向ける。

 そこは、いつもアライオルが座っていた椅子。

 アライオルの幻が浮かんでは消える……

 そして、またため息。



「……はぁ~~~……」



 ラカは、壁に目をやる。


 壁に貼り付けてある「魔女の(こよみ)」は、

 魔法陣のような円で描かれた、二十四節季(にじゅうしせっき)と呼ばれるもの。



「もう、一年が経つのね……」



 そう、呟いていたときだった。



 コンコンコン!


「あら、誰かしら?

 今日はもう、お客は来ないはずだけど……」


 カチャ!……


「! 貴女は?」


「魔女さま! アライオルがっ!!」


「えっ!?」


「アライオルが……アライオルがぁ……」


「ええっ!! アラがどうかしたの!?」



 ラカの家にやって来たのは、

 アライオルと一緒にいたはずの、人族の女性だったのだ。

 だが彼女の吐く言葉には、耳を疑った。



「アライオルが、他の女と出ていってしまったの!」


「はあっ?!」


 ボンッ!


「きゃあ?!……え? なに? え?」


「!!……」



 突然、ボン!と破裂音とともに煙がたち、

 煙の中から、可愛らしい少女が現れた!

 人族の女性の視線が低くなる。



「あ、貴女は……」


「いやぁ! もう! どうしてくれるのよ!

 変身が溶けちゃったじゃない!!」


「変身って……」



 なんと!

 ラカの姿が、少女の姿へと変身!

 ラカは、魔女である。

 しかも、軽く2000年は生きる大魔女でもある。


 普通魔女は、500歳前後までは、

 十代半ばの容姿を保つものだが、

 大魔女とは、その長すぎる寿命のせいか、

 1000年前後は、十代半ばの容姿を保つのだ。


 しかし、大魔女とはいえラカはまだ若い。

 300歳という大魔女としてのラカの正体とは、

 少女の姿こそが、今のラカの真の姿なのだ。


 だが、大魔女としてこの容姿では舐められる。

 だから、見た目年齢を二十代に上げていたのだ。



「あ……えっと……ま、魔女さま?」


「そうよ! これが私の正体よ! 悪い?!」

 ガクガクガクガクッ!

 (人族の女性にしがみついて揺さぶるラカ)


「い、いい、いいあいいいあいいえ!!

 ぜんぜん! 全然、悪くないですぅうぅ~!」

 (平然を装うが全く平然ではない)


「そ! それより、アライオルが?」


「え? あ、はい! 私の名はリタン。

 子爵家の娘で、実は……」



 彼女の話は、こうだった。


 人族の彼女の名は、リタン。

 リタンは、つい先日伯爵家へ嫁ぐはずだった。

 だが、結局は伯爵にはある企みがあることが分かる。

 リタンは子爵家であるのだが、子爵の統治する土地を、

 伯爵が取り込もうと企んでいると言う。

 それに気づいた子爵は、その場でリタンの婚約を破棄。

 普通、格下からの婚約破棄は認められないのだが、

 理由がハッキリしているだけに、すんなり叶ったそうだ。

 

 その一件以来、伯爵は子爵へ降爵。

 爵位剥奪されなかっただけでもマシだ。

 剥奪は過去に何度が例があるらしい。

 また、爵位降爵の制度はあるものの、

 今回の伯爵の降爵は初めてなのだとか。

 そのせいか、国中で大騒ぎになっているらしい。

 なので、アライオルがリタンから離れたのも、

 いつの間にか有耶無耶になってしまったと言う。



「なによそれ! なんなのよ!!」


「やだ! やめて! スカートを脱がさないで!」


「何よこんなもの!!

 私は真っ黒なワンピースなのに、

 生意気にもこんな綺麗なスカート穿いてもぉー!」

 (なぜかリタンのスカートを脱がそうとするラカ)


「いやぁあぁあぁあぁあぁ~~~(汗)」



 ラカは、リタンのスカートにしがみついて暴れる。

 リタンのスカートがずり落ち、

 リタンは堪らず座り込んでしまう。

 そんなリタンに抱きつくように、

 リタンの胸ぐらを掴み吠えるラカ。



「バカ! なにやってるのよ!!

 どうせ寿命の短い人族が相手だからって、

 私から身を引いてあげたのに!!」


「そんなこと言われたって……(汗)」


「誰よ! その新しい相手ってのは誰っ?!」


「ぎょ、行商人の娘の、ナロライという子よ!」


「ナロライ?

 なにそれ、”魅了”って意味じゃない!

 いったい、幾つなの?!」


「じゅ、十三歳だそうよ!」


「じゅっ……?」


「……は、はい」


 しぃ~~~~~~ん……








 しばらく、静寂が支配した。








「じゅう?! じゅうさんさぁ~~~い?!

 ロリコンかぁーー!!

 アライオル! 絶対に許さないからー!!」

 ガクガクガクガクッ!

 (リタンを激しく揺さぶるラカ)


「で、でで…ででででもぉ!

 あ、あ、あら、あら、あら、アライオルわあ~

 こ、こここ、困ってるのよ~~~」


「そりゃあ、困るでしょうねえ!!

 どこの馬の骨かも分からない子に

 迂闊にも魅了されるなんてぇあああ~~~!」

 ガクガクガクガクッ!

 (また激しくリタンを揺さぶるラカ)


「ひいぃいぃいぃ~~~(汗)」



 いったい、どうなることやら……


読んでくださり、ありがとうございます。


ラカの感情がついに爆発した回でした。

嫉妬、怒り、焦り、そして“恋の痛み”。


アライオルの真意はどこにあるのか。

リタンの言葉は真実なのか。

そして“ナロライ13歳”という衝撃の名前。


ラカの心は、まだまだ揺れ続けます。

次回もぜひ見守ってください。


”リタン”とは、”リターン”の「戻る」の意味。

”ナロライ”とは、”魅了”という意味。

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