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女装剤(呪の章)  作者: 嬉々ゆう


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1/8

第1話 二人の魔女

魔導大国マイーヤの片隅に、

ひっそりと暮らす一人の大魔女がいる。


名前はラカ。

気まぐれで、面倒くさがりで、でもどこか憎めない魔女。


彼女が作る魔法薬は、どれも一級品。

今日も村人たちのために、こっそり薬を精製している……はずだった。


これは、そんなラカが“ある出来事”をきっかけに、

世界を揺るがす“呪いの魔法薬”を生み出してしまう物語。


まだ誰も知らない、

“女装剤”誕生の始まり。



 恋は求めるもの……

 愛は与えるもの……


 そして呪の本当の意味とは……恋愛。



 むかしむかし、あるところに、

 「大魔女」と呼ばれる「女性魔女」がいました。


 魔女の住む場所は、近くには山があり、川もあり、

 そして「妖精の泉」と呼ばれる、

 「美しい妖精の住む」

 と、されるとても綺麗な泉もある場所。

 

 そんな自然豊かな草原の中に、

 ポツンと魔女の住む小さな家が建っていました。


 彼女は、主に魔法薬の精製が得意な魔女でした。

 彼女の名前は、「ラカ」という、

 齢300を超えてはいますが、とても美しく、

 若々しくもあり、そしてとても優しい魔女でした。


 でも、人から見ると、ラカはとても魅惑的で、

 危うく怪しささえ感じさせる魔女でした。

 

 なので、そんなラカの心を射止めようと、

 200年以上も、何人も何人も近づきましたが、

 誰もラカの心を惹かせる者はいませんでした。


 でも、たった一人だけ……

 そんなラカの心を惹かせた者がいました。

 

 その彼の名は、アライオル。

 彼もまた、「大魔女」と呼ばれる「男性魔女」でした。


 この世界では、

 自分の魔力を使用して魔法を発動する者を、

 「魔女」と呼ぶのです。

 また、自分の魔力を使用せずに、

 精霊の魔力を借りて魔法を発動する者を、

 「魔法使い」と呼ぶのです。


 なので、あえて男女呼び分けるのなら、

 魔女なら、

 「女性魔女」と、「男性魔女」と呼び、

 魔法使いなら、

 「女性魔法使い」と、「男性魔法使い」

 と呼ぶのです。


 このお話は、そんな二人の魔女たちの、

 実ることのなかった、悲しく切ないお話です。



 ・⋯━☞ラカの家☜━⋯・


 ラカは、いつものように朝早く起き、

 いつものように朝の用事を済ませ、

 いつものように仕事を片付け、

 いつものように庭の椅子に腰掛け、

 いつものように午後の紅茶を堪能していた。



「……うん 今日も美味しく淹れられたわ」


 

 ラカが腰掛けるアンティーク風な椅子とは

 不釣り合いなほど小さなテーブルには、

 ラカ自家製のティーセットがある。


 そのティーセットは、

 ラカが紅茶を飲むためだけに開発した

 小さな魔導コンロとティーポット。

 特にこの魔導コンロを含めたティーセットは、

 王都では王侯貴族に大人気商品となる。


 これまでにもラカの開発した魔導具たちは、

 ほとんど全てがヒット商品となり、

 この国と街や商会は多大な利益を上げた。

 本来なら開発者のはずのラカは、

 今頃は、城の一つや二つは建つほどの資産を

 得ていても不思議ではなかった。


 なのにラカは、全ての権利を某大商店へ譲渡し、

 国へは特許を譲渡し、当然の権利である収益や

 利益からも、銭貨一枚取っていないのだった。


 ラカは、魔法薬の精製依頼の売り上げだけで、

 十分に暮らしていけると日ごろ口癖のように話している。


 ラカは一人暮らしなので、今の暮らしで十分満足している。

 魔女やエルフのように長寿の種族と違い、

 100年も生きられない短命の人族たちは、

 短い生涯のうちに稼げるだけ稼ぎ、取れるだけ取る!  

 と言うのが普通であり常識らしいが、

 軽く2000年は生きる大魔女には理解できないものだ。


 金、権力、地位、名誉、そんなものは必要ない。


 時間に余裕のある魔女のラカにとっては、

 人が欲しがる物などには興味が無かった。


 ラカが興味があるのは、「愛」である。


 その愛の象徴となるのが、彼。

 「大魔女である男性魔女」の、アライオルである。



「ラカ!」


「!……アラ!」


「ごめん! 遅くなった」


「うぅん いいの

 あなたが来るのが分かっているから」


「ふふふ」


「必ず来ると分かってるから、

 どれだけ待っても、寂しくないわ」


「ふふ……そうかい?」


 ……チュッ♡



 そう、言葉を交わすと、いつものようにキスをする。

 だが、アライオルが、ラカのもとへ来たのは、

 もう2週間ぶりであった。

 それでも長寿の魔女ラカにとっては、

 ほんの昨日のことの感覚。

 逆に寝るときは、3~4日は当たり前。

 流石に、一眠り数十年の寝坊助ドラゴンには、

 大魔女のラカにも理解できないが……


 なので、ラカは寂しくはなかった。

 アライオルが必ず来てくれると信じていたから。

 

 そう。今日この日までは……



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


ラカの何気ない日常から始まった物語ですが、

この先、彼女の運命は大きく動き始めます。


気まぐれで、ちょっと抜けていて、

でも誰よりも優しい大魔女ラカ。


彼女がどんな“呪い”を生み、

どんな“恋”に向き合っていくのか――


よければ、次の話もお付き合いください。



ラカの命名の由来は……


「愛と呪い」

  ⬇

「Love and curse」

  ⬇

ラブ アンド カース

  ⬇

略して、ラカ


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