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18話/紅い月

「あぁ…ようやく終わりました…」

クレヴ支部長が言う。


「記憶処理、洗脳解除の気脈を扱える方を、私以外に募集しましょうか…」

独り言を呟きながらギルドに帰る。


その途中。


「あーあ、この町を覆ってしまったのはアンタかい?」

紅いオーラを発する女が目の前に現れた。

ボロボロの服。

乱れた髪。

獣のような目。


「…!」

鎌を構える。


「せっかく引き剝がしてやったのに…」

「問います。何の目的で私に接触したのですか?」


「うるさいねぇ。アタシがどうしようと勝手だろう?」

「ならばそのピリつく敵意だけでも、収めて頂ければありがたいのですが?」


「アハハ!そいつは無理な相談だ!」

「ならばこの場で処罰致しますが。宜しいですか?」

「やってみなよ。やれるもんならね!」




「うぅ…リンゴが品薄なのである…」

「仕方ねぇだろ。あんな事件の直後なんだからな。」


サンゲンとハントは食材の買い出しに行っていた。


「しっかしなんであんなことが起きたんだか。」

「私なんていつまた周囲にいる人が襲って来るかわからず…うぅ。」

サンゲンは耳を動かしながら、警戒しているようだった。

「記憶喪失の次は人間不信か?社会生活できなくなるぞ、お前…」

「そんなことはないので…ん?」


「これは…」

「なんだ?」


「血の匂いと見知った者の匂いが共に…!」


サンゲンの顔が青ざめる。


「まさか…!」


サンゲンは路地裏に駆け出す。

「おい!」


サンゲンが向かった先には。


「あぁ…見つけてくださりありがとうございます。」


満身創痍のクレヴであった。


「はは…このまま死ぬかと思いましたよ。まぁ、それならそれで…」

「戯言は止めてくだされ。今帰るついでに、医療室まで運ぶのである。」

「…ありがとうございます。」

「おいおい…この前の一件を見るにあんたも手練れだろ。何があった?」

「そうだ…ハントさん。一つ話があるんです。あとで私の病室に来てくれませんか?」

「お、おう…」


クレヴを医療室まで運び、その晩ハントはクレヴの部屋へ向かった。


「…あっ、ハントさん、今日は申し訳ありませんでした。」

「いや、良いんだよ。暇だしな。」

「…単刀直入に聞きます。貴方は業星を討ったのですよね?」

「そうだ。」

「なら、再び少し良くない事態になりそうです。」


「私は、業星の姉を名乗る存在に襲撃されました。」




「整気脈"グアダーニャ・ラソン"!」

鎌を振るう。しかし、異様な跳躍により躱される。


「凶鬼乱舞!」

小さな人魂のような物体が周囲を覆う。


「そのような襤褸など焼いてしまえ!」

「させますか!乱気脈"グアダーニャ・ロクーラ"!」

乱れた気脈と共に人魂を払う。しかし。


彼女は私に向かって、咆哮をした。

思わず耳を塞ぐが、聞こえてしまったその音からは、何か囁きのようなものが聞こえる。

「理性ナド」「脱ギ捨テロ」「本能ノママニ…」

「うぅっ…!勘弁してくださいよ、ただでさえ疲れてるのに…」

「止める訳がないだろう?ほら今度はこっちだ!」

ステップと共に、その女は長く伸びた爪で切り付けてきた。

避けられない。被弾する。

そして今度は。


「噛み付き…!?」


彼女の顎をなんとか止める。

「…はは、ずいぶん野性的な攻撃ですね。」

「ハッ!褒め言葉として受け取るよ!」


「さて、理性を残した遊びもこれで終わりだ。」


彼女は再び私に咆哮をする。よろめく。その間に。


「境界…」


私の頭に手をやった。


「凶壊!」


その瞬間、意識が飛びそうになった。

頭の肉が抉れたような感覚がした。


「おーい、死ぬ前にさ。」

「この町に、私の妹を殺した奴がいんだろ?」

「業星って名乗ってたはずなんだけど。」

「業星…?…知らないですね。」


「アハハ!知ってる癖に。じゃ、アンタにもここで理性を棄ててもらおうか。」

彼女が私に何か、意味不明な言葉を囁いて来る。


(…整気脈、"フルホ・コントロラード"…)

自分に対して、洗脳を解く気脈を使っておいた。


「…あれ?効かないね?」

「…」


「じゃ、いっか。そこで果てて腐って、鴉の餌にでもなってなよ。」




「…こうして、君たちに助けられたというわけさ。」

「そしてハントさん。君はあの姉とやらから狙われている。」

「少なくとも傷が完全に癒えるまで、ここを出ない方が良い。」

「…チッ。分かったよ。」


クレヴの部屋を出る。


「理性を棄てる、ねぇ…。」

「ん?理性?」

「まさかあの事件もあいつの姉が…?」


「これは…厄介な事案になりそうだな…。」

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