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12話/転換点

「はぁ…はぁ…」


ハントとハルトが肩で息をする。

体中に傷。

血が流れている。


「あれ? もうギブアップかい?」


業星が笑う。

傷一つない。


「ンな訳ねェだろ…!」


ハントが立ち上がる。

大剣を握り直す。


「はは、そう来なくっちゃ。」

しかし。

ハントは有効打を与えられない。

それどころか、消耗していく一方。

「業弾」


「オラァッ…!」


ハントが大剣で弾く。

しかし、手が痺れる。


「はぁ…!」

「断ち切る意思を持ち続けるのも大変でしょ?」


業星が楽しそうに言う。


「でもありがとね」

「君がバカみたいに突進してくれるお陰で」


業星は笑う。


「業はどんどん生まれたよ。」


「うるせぇンだよ…!」

ハントが再び突撃する。


「じゃ、ここで恩返し…ならぬ、」

業星が銃を構える。

「業返しといこうか。」


瞬間。


銃口に、黒い炎が集まる。


収束していく。

圧縮されていく。


強烈なプレッシャー。


空気が重くなる。


「なっ…!」


ハントは思わず後退する。

(やべぇ…これは…!)


「因果、業砲」


業星が引き金を引く。


轟音。

どす黒い徹甲弾が、ハントに向かって飛ぶ。


「クソッ…!」


ハントが大剣で防ぐ。

しかし、押される。

大剣が軋む。


「がっ…!」


足が地面を削る。


「ハントさんっ!」

ハルトが駆け寄る。

大剣を支える。


「くっ…!」

二人で押し返す。


「うおぉぉぉお!」

弾丸が逸れる。


後方で爆発。

黒い炎が立ち上る。


「はぁ…はぁ…」

二人とも、限界に近い。


「おっ?」

業星が拍手する。

「やるね。ここまでとは思ってなかったよ。」

「でも。」


業星が笑う。

「次はどうかな?」

再び、銃口に黒い炎が集まり始める。


「マズい、二発目は…!」

ハントが突進する。

しかし。


既に炎は収束していた。

「もう無駄だよ。」


業星が引き金に指をかける。

「クッ…!」

(間に合わねぇ…!)


その時。地面が、揺れた。

「因果…」


業星が引き金を引こうとする、その瞬間。

「赤脈"胎動噴柱(ヴォルケイノピラー)"!」


ローラの声。

周囲に溶岩の柱が噴き出す。


無数に。

無差別に。


「うぉッ!?」


ハントが跳ぶ。

「なっ…」


業星も避ける。

業星の服の端が、焼けた。


「今のは…?」

ハントが振り向く。


「私たちなのである!」

サンゲンが立っていた。

ローラも。


「サンゲンさん、ローラさん!?」

「うむ!」


サンゲンが笑う。

「私は奴を攻撃できなかったが。」

「星域とやらの隅っこに"隠れる"ことはできたのである!」


「要するに。」

ローラが杖を構える。

「私たちは"誰かに何かをする"ことはできなくても、」

「"対象を取らずに何かをする"ことはできたのよ」


「はァ…なるほどな」

ハントが笑う。


「しかも、」

ハルトが言う。

「業星の守りを貫通したみたいです!」


「…獣共が」


業星が呟く。


その声は、冷たい。


「堕ちた星よ」


業星が両手を広げる。


「私に力を貸せ!」


「ありったけをだ」


「貴様らが湛えた業を全て。」


業星の周囲に黒い炎が渦巻く。


「私に寄越せ!」


炎が、業星に収束する。


纏う。


より強力に。

より濃密に。


「…何なんだ? ありゃあ」

ハントが身構える。

「何か、まずい気がします…」


ハルトも太刀を握る。

業星が銃を向ける。


銃口の前に、黒い炎が渦を巻きながら塊を形作っていく。

押し固められたそれは、もはや大砲の弾にしか見えなかった。


「業砲…磊落!」

業星が叫ぶ。


強烈な質量を持った弾丸が放たれる。

「散れ!」


ハントが叫ぶ。

四人が四方に跳ぶ。

弾丸が地面を抉る。


爆発。

地面が砕ける。

建物が倒れる。

風圧だけで体が吹き飛びそうになる。


「うわっ!」

「きゃっ!」

四人とも、地面に叩きつけられる。


「危なかった…!」

ハルトが立ち上がる。

「これは…」

ローラが震える声で言う。

「こんなん喰らったら、良くてミンチだぞ!?」

ハントが叫ぶ。

「うぅ…片耳が聞こえなくなったのである…」

サンゲンが頭を押さえる。


「まだだ」

業星が言う。


「輪業!」

業星が銃を乱射する。

夥しい数の弾丸。


それらは全て外れる。

弾丸が影に沈む。

そして、背後から現れる。


「クソ…!」

ハントが振り向く。

「後ろに意識を持ってかれる…!」

前を見る余裕がない。


その瞬間。

「業弾」

前から弾丸が飛ぶ。


「しまっ…!」

ハントが躱せない。

肩に当たる。

「ぐっ…!」

「ハントさん!」


ハルトも前後から襲われる。


「くっ…!」

太刀で捌く。

しかし。捌ききれない。

脚に被弾。

「がっ…!」


ローラも、

「きゃっ!」

腕を撃たれる。


サンゲンも、

「ぐぅ…!」

胴に当たる。


四人とも傷を負う。

「はぁ…はぁ…」

「どう?」


業星は不気味な笑みを浮かべる。

「まだやるか?」


「…。」


「…やるに、決まってるだろうがァ!」


「ローラ!杖構えろ!」

「えっ!?」

「…嫌な予感しかしないんだけど。」

そう言いつつも、ローラは言われた通り杖を握り直した。


(あの野郎の亜人を見下す性格、利用してやるよ!)


するとハントはローラの体を掴み…。

「えっ?」


体を回し…。


「えっ?えっ?」


業星に向かって投げた。


「はっ?ちょっ…えええ!?」


「はは、獣を投げるなんて…中々イイ性格してるねぇ、君も。やっぱり人間は最高だ。」

「じゃ、遠慮なく撃ち殺させてもらおうよ。」

ローラに銃口を向ける。

すると。


「無差別に、あいつを狙わない様に…!」

「剣先を広げろ…!清水脈"残透延"!」


ハルトの太刀が回りながら飛んで来る。

業星の肩を掠める。


「なっ…。」

反応が遅れた。その一瞬。

業壁の展開が間に合わず、飛んで来たローラが掴んでいた杖が頭に当たる。

ローラ自身も狙っていたわけではない。ただ、投げ出された勢いのまま、握りしめた杖が業星の頭を打った。


「がっ…。」


さらにその刹那。

ハントが突進していた。


「喰らいやがれ!」

業壁の展開が遅れ、業星は深い傷を負った。


「私が…」


業星は胸の傷よりも、杖の当たった頭の傷を気にしているように見えた。

「亜人から...攻撃を受けた...?」


業星は呆然とする。

いつ振りだろうか。

いや、


「あの時…振り…」


業星の脳裏に映像が流れる。


戦場。

硝煙。

死体。


そして。


エルフの矢が、英雄を貫く。


「あ…。」


業星は膝をつく。


「そう、だった…。」


「あの日…。」


業星は震える。


「獣たちに…やられた…」


「私の…大切な人を…!」


過去が、蘇る。

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