ワイル商会
「ワイロさんが言ってたお店ってここだけど…」
ワイロさんたちを分かれる際、経営しているというお店の場所をもらっていたので学園生活を見据えて買い物に来たのだが…そこにあったのはお店というにはあまりにも大きくまるで豪邸のような建物だった。
「ミーニャ?本当にここで会ってるにゃ?ここはワイル商会。この国でも有名な商会にゃよ?」
「そうなの?」
もしかしてすごい人だったのかなぁ?そういえば運んでた荷物も全部宝石とか遺物とか高そうなものばっかりだったし…もしかして結構場違いかな?
…まぁ大丈夫だろう。とりあえずあの門番さんに聞いてみよう。
「あの...すみません...」
「ん?なんだ?」
「その…ワイロさんに用があって…」
「…それなら建物を入って左にある受付に話を通してくれ。ただ会長は忙しいお方だからあるかはわからないぞ。」
「ありがとうございます…」
ひとまず建物に入ってみるしかなさそうだな。
門を潜り奥へと進み高そうな木製の扉を開く。
「うわ、めっちゃ立派だ。」
扉を開けて入ればあたりが真っ白な高そうな床にこれまた高級そうな赤いカーペット。天井にはシャンデリアが設置されていて中にいる人たちもスーツのような高そうな服をまとっている。いかにもTHE高級という感じを醸し出した場所だ。
「あぁ?なんで獣風情がこんなところをうろついているんだ?」
突如横から不快な言葉が飛んでくる。髪を金に染めた少しガラの悪い青年がどうやら話しかけているらしい。初対面のくせにこんな失礼なことを言うなんて…
まぁ突然訪ねてきたのは私達だし一応丁寧に行くか。
「その…ワイロさんに会いにきて…」
「会長と?獣と一緒にいるようなお前が?」
こいつ…ミーニャを獣って下に見て…ぶん殴ってやろうかな。下でに見てればいいように言いやがって。よしそうしよう。こんなカス野郎が殴られたぐらい誰も文句は言わないだろう。
苛立ちに身を任せ拳に力を入れると横から手が伸びつかまれる。
「小夜…さすがに殴るのはまずいにゃ…」
ミーニャ…そうだよね。さすがに公衆の面前で殴りつけるのはよくないし私たちがわくるなっちゃう。別に私がそう思われる分には別にいいけどミーニャまで巻き込むのは違うな。
それに言われているのはミーニャだ。私だけが熱くなってちゃ意味ないね。
「ちゃんと知り合いなので通してくれませんか?ここn」
「会長は忙しいんだ!亜人は帰った帰った!」
話を聞いてくれる気はないらしい。話そうと出した声を塗りつぶされ足蹴にされる。
「小夜?もう帰ろうにゃ!時間の無駄にゃ。」
「おや…エントランスで何の騒ぎですか?」
「あ、会長!」
正面の階段から不思議そうに首を傾げながら一人の男が降りてくる。会長と呼ばれた男、間違いないワイロさんだ。
「この亜人どもが会長の知り合いだなんてホラ吹いてまして…今追い返していると事です!。」
「私の知り合い?どちら様。…」
あ、こっち見た。…穏やかな表情に暗い何かがかかったな。…
「そうか。ちなみに君はこの方たちをどのような風に追い払ったか聞いてもいいかね?」
「え?そりゃ獣風情がここに立ち寄るなって…ガツンといってやりましたよ!」
「…なんてことを…」
…これは。。この屑の独断っぽいな。私があったこの紹介の人たちはみんな優しく、差別なんてする人じゃなかったし。見た感じ新人のこいつが勝手に言ってることなのだろう。そう思うとこのイライラも少しマシになったな。
「君の処分は後で決める。ひとまずこのロビーから出ていきたまえ。」
「な、会長!?俺なんにも間違ったこといっていないっすよね?なんで」
「黙れ。私はこの場から離れろといったんだ。二度は言わせるな。」
「っつ…この獣風情が…」
虫を見るような目に蹴落とされたのだろう。こちらをにらみながら勢いよく扉を開け外へと出ていく。まぁきっとクビだろう。同情はしないけどね。
「さて、積もる話はありますがまずは謝罪を。私の部下が大変失礼なことをしました。大変申し訳ない。」
そう謝罪をしワイロさんが深く頭を下げる。
「頭を上げるにゃ。にゃーは貴方にそこまで謝罪をもらう理由はないにゃ。」
「…ありがとうございます。それでは話をしましょう。奥の部屋で話します。ついてきてください。」
案内された場所はホールの階段を上った奥の部屋。複数の椅子と机が置かれた部屋、談話室だろうか?そんな部屋に案内された。
「ひとまずお座りしてください。」
案内されるがまま椅子に座る…あ、この椅子座り心地がいいな。多分結構な高級品。…やっぱりワイロさんてすごい?
「先程は部下が大変失礼いたしました。まさかあのような差別的な視点を持っているとは…」
「大丈夫にゃ。慣れっこだし。」
「ミーニャ…」
さっきのやつの態度や今のミーニャの言葉…おそらくこの世界には獣人のような人でありそうではない者たち。亜人の差別があるのだろう。地球だって肌の色で差別するぐらいだ。しっぽや耳なんかついていたら余計あるだろう。…胸糞悪い。
「それで本日はどのような用件で?武器ですか?防具ですか?このワイロ率いるワイル商会にお任せください。宝石から武具、日用品までありとあらゆる万物を取り扱っていますよ。」
場のくらい雰囲気を変えたいのだろう。明るいトーンでワイロさんが話しかけてくる。…納得はいかないし気分は悪いがそのままってわけにもいかないだろう。ここは切り替えなきゃ。
「今日は文具とか日用品を買いに来たんです。私達学園にいくことになっているんで。」
「学園?というと都市の?入試はもう終わったはずでは…あぁ編入試験ですね。」
学園に通うということは今のような所持品では微妙だろう。私達冒険者は戦う武器と防具さえあればどうにかなるが学生となれば違う。文具や日用品。私服に部屋着に…。たくさんいるはずだ。
「まだ試験は受けてないんですけどまぁどうせ受かるので。先にいろいろ揃えておこうとおもって。」
「すごい自信ですね。まぁあなたほどの実力があれば余裕だと思いますが。まぁいいでしょう。でしたらいくつか必要なものをリストアップしておきますね。
「ありがとうございます。」
「ちなみに予算はおいくらほどで?」
「んー…二人で金貨4枚くくらいは出せるかな」
「金貨4枚…すさまじいですね。その金額というとダンジョンをまた攻略したという話は事実でしたか。」
ん?私たちがダンジョンをクリアしたこともう知ってるのか。まだ出て半日もたってないのに…耳が早いな。
「そうですね。その予算なら十分でしょう。いろいろな品を用意してる間にお二方の制服、私服を用意いたしましょう。」
「制服?そういうのって学校側がやるものじゃないんですか?」
「通常の入学ならそうなのですが編入ではご自身で用意する必要があるんです。」
なるほどなぁ…きっとこれも編入が大変といわれる理由の一つなのだろう、知らなかったし聞いていてよかったね。
「それではまずお二方の採寸から始めましょうか。女性職員たちがやってくれるから終わるまで僕はいったん失礼するよ。」
そういってワイロさんは部屋の外へと出ていく。それと入れ違うよいうにメイド服を着た女性が数人部屋へと入ってきた。
「小夜様、ミーニャ様採寸を始めるので装備を脱いでもらってもよろしいですか?」
「下着姿ぐらいまでになれば十分にゃ?」
「はい。それで充分でございます。」
…中国風のドレス装備だったからだろうか?布をなくし肌をあらわらにしたミーニャの胸がやけに大きく見える。…というかこんなにサイズあったっけ?私の倍はあるくない?どこにそんな脂肪が…私だってちゃんと食べて牛乳だってのんで…ネットで見た方法もいろいろ試して…
「にゃ?小夜?こっちを見てるけどどうしたにゃ?」
「なんでもない!!!」
「そ、そうにゃ?」
その後何もなく私達の採寸は終わり、いろいろと服を試していくのだった。
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「おぉ。お二人とも美しいですね。さすがは国を誇る学園の制服。機能美持ちながらデザイン性も抜群ですね。」
学園の制服はバリエーションが豊かなようでコートタイプから一般的なブレザータイプ。パーカーのようなものからジャージのようなものまで様々あり好きなものを選ぶことができた。
私が選んだのはYシャツとロングスカート、それにローブのような大き目のコート。ミーニャが選んだのはYシャツとミニスカート、ジャージのような制服だ。獣人用に後ろにポケットがついたスカートがあり異世界感がバリバリだ。
「今日は何からなにまでありがとうございます!」
「礼はいらないよ。こっちも服やらなんやで儲かってるし強い冒険者と縁も結べた。むしろこっちがお礼を言うほどだよ。」
いらないといっても感謝はしないとね。ワイロさんのおかげで服も制服も学園のことも知れた。私が助けたことよりもっと多くのもの返してもらったし…私は運がいいな。
「ところで学園都市ミラにはどう行くんだい?」
「普通に歩いていこうかと。三日ほどかかっちゃうけどそこまで大変というわけではないので。」
「二日後、学園都市行きの運搬があってね?君たち二人に護衛の依頼をしたいんだが大丈夫かね?」
馬車の護衛依頼って乗せてくれるってこと!?
「ぜひお願いします!ミーニャもいいでしょ?」
「馬車で移動できるなら楽でいいにゃね。」
「決まりですね。では二日後ここの門で待っていますね。」
服から日用品、移動手段まで。本当にワイロさんには頭が上がらない。ここまでよくしてくれる人だ。やっぱり人と人の縁は大切にしなきゃね。
善意の暖かさに浸りつつ私たちは宿へともどる。一週間後の編入試験に向けてゆっくりと体を休ませるのだ。
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