水晶迷宮2
出れないって…まじかよ…
これじゃぁ考えた攻略計画も全部台無しだ…どうすれば…
いや、やる事は1つか。
「ダンジョンを攻略しよう‥脱出にはそれしかない。」
俯いてるミーニャに向けてそう話し掛ける。
「攻略ってそんなの無理にゃ!罠や構造、出てくる魔物もよくわかっていない初見のダンジョンにゃよ!そんなの...無謀にゃ。」
「けど無理だったらここから出られずに死ぬだけ。私はそう簡単にあきらめたくないしミーニャにもあきらめてほしくない。」
「生きるために攻略する。これしかないでしょ?」
「…そうにゃね。ここにとどまっても意味ないにゃ。そうと分かれば行くにゃよ!」
そう掛け合い私たちはダンジョンの奥へと進む。先へ進んでも見える景色は先ほどと同じ結晶だけ。ダンジョンなのに何もなくて少し不気味だ。『水晶迷宮』というのだからてっきり迷路みたいな物を想像していたんだけど…今のところただの一本道だな。まぁただの一本道ってわけじゃなくて若干坂だけど。とにかく探索!って感じのあれじゃないんだよね。まっすぐ進むだけ。ロム容量が低い昔のゲームだってもうちょっとましなダンジョンだったぞ。なんだこのダンジョン…
「ミーニャもそう思わない?」
「にゃ!にゃんのことにゃ?」
「いやさぁ、なんかまっすぐでダンジョンらしくないなーって思ったの。」
「…確かにまっすぐなだけの道にゃね…」
何か対応がうつろだ。話をまともにしていないというかどこか別のことをかんがえているというか ...
「…もしかして緊張してる?それか怖い?」
「当たり前にゃ…!?」
「小夜後ろ!」
「っつ!?」
ミーニャの言葉を聞くと同時に後ろに魔力壁を生成する。何かガラス敵なものがぶつかった音がし振り返れば、そこには自分と同じぐらいのと影が二足歩行で立っていた。鉤爪は結晶でできており鱗も一部が結晶でできている。
二足歩行のトカゲ…リザードマンってやつかな?こいつ何で私の後ろを取れた?魔力なんて感じられなかったのに…
「とりあえずミーニャ!助かった!」
「いえいえにゃ。こいつはクリスタルリザード。二足歩行で襲ってくるトカゲにゃ!」
クリスタルとかげねぇ…こいつ目の前にいても魔力が感じられなくない?魔力が無いのか?いや魔力が周囲と全く同じなのか?…
天然の魔力迷彩…いやこのダンジョン内での進化結果かな?
「ミーニャこいつら多分魔力感知に引っかからない。そういう魔物?」
「いや?こいつにそんな特性はなかったはずにゃ」
「となるとこのダンジョンでの固有の能力か?…まわりの結晶と放ってる魔力の質が全く同じなんだよ。多分。」
「確かに…みゃーはその魔力の質?みたいなのは分からにゃいけど確かに辺りは魔力だらけだにゃ。」
「たぶんこのダンジョンだと探知系統の技能は おっと危ない...こいついきなり攻撃してきやがって...」
「いやむしろ戦闘中にここまでのんびりしてる方がおかしいとおもうにゃ。」
それもそうか。とりあえずこいつから片付けることにしよう。攻撃を回避されて中途半端な姿勢のトカゲに魔法を食らわせる。
「アクアランス!」
「!?小夜!」
そうつぶやいた瞬間空間が爆ぜ、私は吹き飛ばされた。...!?何があった?
トカゲを串刺しにするつもりで発動した魔法はトカゲをミンチにしてしまうほどの魔法へと変化していた…考えられるのは魔法の暴走?
「小夜!ダイジョブかにゃ!」
「うん…大したダメージはないよ。
試しに他の魔法も発動してみる。さっきと比べて丁寧に魔法を構築して…なにこれ!?なんか魔力の出力がおかしい!あ、やば。失敗する。
暴れ狂って今にも爆発しそうな魔法を床にたたきつけて何とか自爆を回避する。魔法を叩きつけられた結晶の地面はまるで酸でもかけられたかのようにえぐれている。
床がえぐれてる…『闇球』でこんな威力が出るか?こんな威力『暗黒球』でも出るかわからないぞ…
「ミーニャ?何か最下級の魔法を撃ってみてくれない?ただ慎重にね。」
「わかったにゃ!」
「赤は火。燃える火はあたりを照らす現象。赤を解明し初歩の火で燃え上がれ!『火照』ってにゃぁぁ‼なんか威力がおかしいにゃぁ!にゃ!しっぽに燃え移ったにゃ!」
「『給水』!やっぱりか…ミーニャ大丈夫?」
「にゃー!!勢いが強いにゃ…」
「やっぱり?もしかしてみゃーで実験したのかにゃ!?ひどいにゃ!」
「ごめんごめん。けどこれではっきりしたから。」
私でだけではない魔法の暴走。暴走の内容は魔力過多だとおもわれる。だとすると…
「たぶんここのダンジョンでは魔力がすごく強くなっているんだと思う。だから私たちは下級の魔力を出すつもりで制御した魔法が実際には中級の魔法が発動してしまし、制御を失った。ってところだと思う」
「…ってことはここでは魔法が使えないってことにゃ?」
「いやそんなわけじゃないと思う。弱い魔法も強い魔法を撃つぐらいしっかり制御すれば打てるようになると思う。威力は倍増しているけどね」
「なるほど...厄介なダンジョンだにゃ…」
本当に厄介なフィールドギミックだ。私のメインウェポンである魔法を八割ほど封じたうえで、敵の感知もまともにさせてくれない。敵に奇襲されたうえで制限された実力で戦うことを強制されるダンジョン…クソ難易度だなこりゃ。これがゲームだったらこんな難易度できるわけない!って感じで投げることができたけどここは現実。投げた時点で私たちはまとめて仲良くおさらばだ。...やっぱりミーニャの言う通りダンジョンに入らなければよかったかな。...いやそんなことはない。要はこの厳しい環境でもノーコンテニューでクリアすればいいだけの話!
「先へ進もう。こんなところでグダグダしている時間はない。前に進もう」
「そうにゃね。とっととこのダンジョンをクリアして仇をとるんだにゃ!」
と意気込んで進んだはいいものの…
「もー!全然進んだ気がしない!」
簡単にはいかないよなぁ…結晶のダンジョンは壁も床も天井もすべて結晶でできている。そして進んでも進んでも青みががった水晶しか見えない。
全く景色が変わらない上魔物のバリエーションがない。さっきのトカゲともう一種類。モグラと犬を足して二で割り忘れた生物が出てくるだけだ。
現実でいうのはあれだけどぶっちゃけ飽きた。
「確かに進んでる気がしないにゃ…まぁ喉も乾いているし進んでるのは確かだとおもうにゃ。...喉が渇いたにゃ…全部ポーチに入れるのはやっぱりよくないにゃね…」
喉が渇いているのか…私も喉乾いたなぁ。私もプロードにお水持たせちゃったから取り出せないしなぁ...
やっぱり持ち物はある程度自分で持たなきゃだめだなぁ…便利なものに頼りすぎた...
魔法が使い物にならない。これには当然プロードの持つ空間魔法にも作用している。空間魔法は他の魔法と比べて高度な技術を要する魔法。異なる次元をつなぎ物質を行き来させる。そんな高度な魔法が故少しでも感覚や精度がぶれれば全くと言っていいほど機能がしなくなる。強力な魔法ゆえの欠点だ。
「あー水が出せるスキルでも入手すべきだったにゃ。...レアスキルだから無理だろうけど…」
「水を出す?そんな便利なスキルがあるだね。」
「給水っていうスキルでにゃ、持ってるだけでパーティー依頼が殺到するほど冒険者や旅人ですごく重宝されるレアスキルにゃ。」
水を出す、要するに飲料水を出すスキルかぁ…便利だなぁ…ん?水を出す?それって別に魔法でできるんじゃない?
制御を乱さないように集中しながら魔法を構築する。最初から使えた闇魔法と比べて水精魔法はまだまだ制御が甘い。少しでも気を抜いたら辺り一面が水浸しだ。くしゃくしゃの紙を広げるように丁寧に少しずつ魔法を構築していく。そうして組み上げた魔法を魔力で作った器へとはなつ。
「『給水』」
「この水…どこから持ってきたにゃ?」
「え?普通に魔法で出したよ。」
「…にゃはぁ...」
「え?どうしたの?何かやばいことした私!?」
「いや小夜の規格外さの片鱗が見えて引いてるだけにゃ。さすがにダンジョンソロクリは伊達じゃないにゃ…」
「小夜その魔法のことはあとで教えてもらうとして…床を見るにゃ!」
床? ミーニャに言われた通り床を見れば確かに先ほどまでの床とは違うように見えた。具大的にはつるつるとした結晶の上に何か粒上のものがたくさんのっかていて、それは乱雑に辺り一面の床にくっついている。
…なんだろこれ?
「小夜何か聞こえない…?」
床の何かについて思考を巡らせていると不意に声をかけられた。聞こえる?
「聞こえるって…?…ほんとだ!ミーニャ!何か来てる!」
考えていて気が付かなかったが、コツコツと響く足音しかなかったダンジョン内にブンブンと羽音が鳴っている。奥のほうを見ればうっすらと何かが複数飛んできているのが確認できた。
あれは...蠅?はっきり見えてないからわからないけれど精霊眼での検索ができない。
「ミーニャ?あの魔物に見覚えは?」
「初めて見たにゃ。ダンジョンの固有種にゃ?」
事前情報無しか…。
10匹ほどの蠅たちを警戒して見ているとそのうちの半分が結晶を生み出し発射してきた。予備動作もなしに。
...こういうのって普通予備動作があるだろうが!ノータイムで遠距離攻撃打つんじゃないよ!とりあえずシールドを...
「大丈夫みゃーに任せるにゃ!」
ミーニャがそう意気込み私の前に立つ。
...何するんだろ?そう疑問に思いながら見ていると、なんと飛んでくる結晶を殴り始めたのだ。しかも素手で。...えぇ?
放たれた拳は2mはある結晶を次々と粉々にしていく。...すごいなあれ。
「ふふん!みたかにゃ!これがみゃーの実力にゃ!」
「ってにゃにゃにゃ!?なんにゃこれ?結晶が!」
攻撃を破壊し安堵したのもつかの間、敵の攻撃を砕いた左手先からパキパキと音を立てミーニャの手を覆うように結晶が広がっていく。
あれは絶対的にやばい!
「ミーニャ!動かないで!『吸魔』!」
腰から引き抜き紅月でミーニャに張り付いた結晶を壊す。周りをはがしたからか吸魔が働いたからなのかはわからないがそれ以上結晶が広がることはなかった。
「ミーニャたぶんあいつらの攻撃触れちゃだめだ。触ったら結晶になっちゃうんじゃないかな?」
「にゃるほど!それなら遠距離から魔法で...そうだったにゃ使えないんだったにゃ…」
「大丈夫私に策があるから任せて!ミーニャは気を引いててくれる?」
「わかったにゃ!」
さっきコップを作ったときは普通に作れた。ということは魔力が増えるのは魔法に使うときだけであって直接物質にするのには変わりないってことだ。
それがなんだって?答えはこうだ!えーい!
魔力で手のひらサイズのナイフを作り魔力を載せながら敵へと投擲する。投擲されたナイフが当たった個体はあっけなく体を貫かれ塵と化す。
意外とこの投擲威力が高いのかな?それともあの蠅の耐久が低いのかな?まぁ蠅だしたぶん後者かな。一発でやれることも分かったしどんどん投げていこう!




